テッカ(湯田伸一)の中学受験伴走記

私立・国立中学受験生を応援し続けて35年。
中学受験『エデュコ』を主宰するテッカ(湯田伸一)の応援メッセージ。

子どもが納得できない指導は、見直されるべきです

2013-03-15 23:58:48 | 中学受験


 文部科学省は、平成25年3月13日付け「体罰の禁止及び児童生徒理解に基づく指導の徹底について(通知)」を各都道府県教育委員会教育長等宛てに通知しました。
 通知の概要を項目別に挙げれば、1:「体罰の禁止及び懲戒」について 2:「懲戒と体罰の区別」について 3:「正当防衛及び正当行為」について 4:「体罰の防止と組織的な指導体制」について 5:「部活動指導」についてとなっています。
 要は、体罰が、違法行為であるのみならず、児童生徒の心身に深刻な悪影響を与え、教員等及び学校への信頼を失墜させる行為であることを確認したうえで、粘り強く指導すること、やむを得ない対応の例、組織的な取り組みの強化、などを確認するものと理解できます。
 また、体罰問題のような責任の所在が不明確になりがちな問題に対して、中央政府が具体的な通知としてガイドラインを出し続けることは、児童生徒・保護者・学校教職員すべての関係する人々にとって、歓迎していいことのように思えます。

 ところで、「何が体罰にあたるか」という問に対して、個人的な拘りを述べさせていただけば、「指導される立場の児童生徒が、体罰と感じる場合、すべて体罰に当たる」と考えるようにしています。
 本来、どんな子どもでも、自分の指導者に対しては、強い信頼関係を求める「健気さ」を有しているに違いありません。その健気な子どもが納得できず、体罰と感じたのなら、おそらく体罰に違いないでしょう。言い換えると、指導される側の子どもが納得できない指導は、どんな方便を擁しても、指導とは呼べないのではないでしょうか(但し、学校においては、学校規律を維持するため、本人が納得しない身体的苦痛を伴わない懲戒が発生することは想像がつきます)。
 不謹慎な比喩になりますが、「体罰を行きすぎた指導」と言い訳することは、「ストーカー行為を行き過ぎた愛情」と表現することよりも、不愉快に感じます。

 さて、「エデュコでの実態はどうか」と問われれば、設立来これまでに、「一つのルール」を除けば、「授業中の起立姿勢や教室外への退出」を含む体罰はなかったと思えます。同様に、おそらく、ほとんどの進学塾では、そのようなことは行われていないはずです。
 その一番の理由は、公立学校と異なり、進学塾は同じ目的意識を有する子ども達で形成される、いわば、テーマコミュニティであり、はじめから子どもたちが意欲的であることでしょう。この点、塾講師は楽な授業運営をしていると自覚しなければなりません。ですから、子ども達の「健気さ」に一生懸命応えて当たり前といえます。

 ちなみに、先に「一つのルールを除けば」と申しましたが、そのルールは〔凸ピン問題〕です。最低限習得しておきたい事項を確認する問題を〔凸ピン問題〕と称し、もれなく一人ひとりのノートを巡視し、具体的にその達成度を賞賛したり、もう少しだと励ましたりすることを目的にしているものです。
 進学教室の集団指導に対する、保護者からの懸念として聞かれることは、「置いていかれる子どもが出やしないか」「我が子はお客さんになっているのではないか」というものです。一方、私たちにとっては、「思うようにならない子どもに対して、見放さない気持ちを伝え続ける、期待を伝え続ける」ということが使命となります。
 個別指導ではないですから、正解できなかった子だけのために、授業を止めて説明を始めるわけにはいきません。だからといって、「この次は頑張ってね」だけの言葉がけだけでは、子どもにとって「他人事としか思ってくれない指導者」に映るかもしれません。そこで、正解できなければ、「君ならできるはずだ。だから、この際は凸ピンだね」とすることにしたのが凸ピン問題です。

 ここで、正確に申し上げたいのですが、「子ども達は、どのような防御をしてもいい」ルールになっています。筆箱でおでこをガードしてもいいし、ノートで防御してもいいし、予めカチューシャをしてきてもいいルールです。更に、そのようなドタバタを嫌がる子や、やっぱりいやだという表情を見せる子には、そっと触れるだけに止めたりして、無理強いはしません。その狙いは、どのような子どもに対しても、決して見過ごすような態度を見せるのではなく、かまい続ける姿勢を具体的に示せればいいとするものです。
 
 その際、自信を持って子どもに対する「信頼」「期待」「愛情」の表現だといえるためには、なにより、処遇を受ける子どもがどう受け止めているかを常に考え、喜ばれる行い(凸ピン)でなければならないことはいうまでもありません。
 独善に陥ることがないよう、慎重な対応に努めてまいります。子どもが納得できない指導は、当然、見直されるべきです。個人面談・電話・メールでのすり合わせを頻繁に行っていきたいと思っております。

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