Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

サクランボのジャム作った

2013-05-27 08:18:16 | 
先日、伊勢原の郊外にある大きなヤマ桑の木になっている鈴なりの実をもいできた。ジャムにでもしようと思ってネット記事を泳いで参考にした。長野県在住の女性のブログが丁寧に日本らしい季節感を活かした手作り食の優れたレシピをいつも披瀝していている。その女性の数年前の記事に桑の実ジャムの文章が載っていた。これを参考に枝ごともいできた桑の実をジャムにしようと意気ごんでみたがあえなく頓挫してしまった。女性が穏やかな筆致にて諭しているように桑の実ジャムは下ごしらえが手間仕事だ。黒いへたをジャムにするくらいの量を外すわけだから、これはラッキョウのへたとりにも劣らない難行仕事になってしまう。雑事に追いかけられている時期だったもので気持ちの切り替えができずにあきらめてしまった。黒ずんで熟した桑の実は毎朝専用庭へやってくる雉鳩や雀が啄ばめるように片隅に積み上げてやった。

これに懲りた筈なのに、今度は真っ赤に熟したサクランボの鈴成りを見ていたら、いつもトーストで使うアオハタや明治屋の定番「マイジャム」以外のものが食べたくなった。一つサクランボのジャムでもと思って、自生する酸っぱそうなサクランボを庭の持ち主に許可してもらって持ち帰ってきた。園芸種だから甘みなどあることは期待できない。しかし果皮の赤色はちょうどよい照り具合だ。ジャムにするにはよい頃合である。さっそくネットを泳いだら先達さんの優れ参考レシピが満載している。洗って下拵えする。へた取りは自然に剥がれるので苦労はしない。しかし今度は種を実から取り除く苦労が待っている。ひたすら便利を追求してきた戦後社会で、身近な日本のスローフードが面倒臭い手仕事ゆえに廃れていく様子がなんだかよくわかる。

小さな瓶が1個程度の量だと思って種取りを無念夢想で行う。サクランボが500グラム、砂糖500グラム、レモン汁はレモンの半切れ位を絞る。ネット解説によるとサクランボにはペクチンという凝固成分が少ないらしい。アク取りも丁寧にせよとのことだ。この2ポイントを守ることにする。夜勤明けの開放感に浸って読書する傍ら、焦がすことを注意しながら煮詰めてみる。心配していたサラサラにはならないで上手く固まってくれた。しかしあれだけの原料で歩留まりの悪いこと。明治屋の「マイジャム」の小瓶が1個半という苦労の成果だ。冷まして瓶に収めてから昼のトーストに使って賞味してみる。味の方はどうだろうか?イチゴやオレンジのジャムと比較した味は、果実が放つ香りなどの個性が今一歩淡く抽象的である。しかし色栄えが素晴らしい。トーストに塗って食べながら思った。これは季節の色というものを食しているのだということを。