Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

立夏の蕎麦

2013-05-17 18:04:13 | 
愛用している安川電機製の特別配布用棟方版画カレンダーも5枚目が半ばを過ぎている。待望の5月は熊本・人吉城址公園のアヤメ景色が描かれている。大好きなこのパートの絵が早くこないものかと、念じていたら5月は足早に去っていこうとしている。「人吉城雨中」という志功の記す正規表題があってその余勢をかってか?「アヤメアメアメ」と志功ならではの奔出する陽性なサブコピーが欄外に付記してある。降りしきる雨の中を歩くすっ呆けた表情の元気な母子、これが実に良い顔をしている。こんな顔を眺めれば不機嫌な自我も一瞬くらいはエポケーされること請け合いである。舞い飛ぶ鳥の群れ、強い南国・九州の雨足、咲き誇るアヤメ、まさに「ぴちぴちじゃぶじゃぶ らんらんらん!」の世界を志功の鑿が駆け巡っている。昔、薩摩の美山地方を歩いていて、この版画みたいな5月を物語るような強い雨に出くわしたことがあった。忘れ難い光景だ。

立夏が過ぎて梅雨ももうすぐやってくる。気候のせいだろうか。連日の朝食がパンから蕎麦へ切り替わってきた。昨日は相鉄ローゼンで買ってみた「二八そば」の乾麺、今朝は渋谷・本町にある製麺屋さんの半生麺である。

こういう廉価版の蕎麦に蘊蓄は無用である。いつも食べる新宿なら立ち食い蕎麦の「かのうや」横浜の市街なら「味奈都庵」のような良心的な廉価蕎麦店の味に伍しているくらいの味ならば、自分なりの合格点をつけることにしている。乾麺の「二八」は半生麺の1人前よりも割高な設定で自信があるのだろう。水洗いして丹念に引き締めると、たまに茹でる山形産の筒状束で売っている乾麺よりも上等な味がする。山形をコピーにしたあれは古風な巻紙のデザインに吸い寄せられる蕎麦だけど肝心の味のほうはイマイチである。具は長ネギのみじん切だけだ。


副菜には青森産長芋のスライスへ美濃地方で作っている最近よく使っている黒酢を垂らすことにしている。これからの季節、方々を歩いた折に乾、半生を問わずに蕎麦を買ってきて味を比較することも蒸し暑く口がまずくなる夏の余興くらいにはなりそうである。