Webcomic.tv

動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

劇画バガボンド

2007-04-03 22:29:33 | Weblog

3月2日のブログで映画バガボンドについて書いたので、今日は劇画バガボンドのことを書こうかと思います。いわずと知れた井上雄彦氏の人気劇画ですね。

私は雑誌ではなくて単行本でバガボンドを読んでます(いや~、いつのまにか
マンガ雑誌派から単行本派になっちゃいました)

私の机の横に雑然と積み上げられた本の山にバガボンドの20巻目が見えてまして、その帯に『俊速の3800万部突破』と書いてあります。
最新巻の25巻の帯には累計部数のことは書いてないですが、いったいどこまで
伸びるんでしょうか...その人気の秘密は?

もちろん画は上手いし、武蔵をはじめ小次郎や吉岡清十郎・伝七郎兄弟等の
キャラクターも魅力的に描かれています。でもそれ以上に主人公以外の登場人物
つまり脇役の人生の描写に井上雄彦マンガの特徴と人気の秘密がある!
と私は思ってます。

昔のマンガは脇役の人生にあまりスポットライトは当てませんでしたよね。

特に勧善懲悪ものが主流だった時代は、いきなり強くてかっこ良い正義の味方の
ヒーローが何が何でもとにかく悪いギャング団や悪代官をやっつけるという物語
が多かったのではないでしょうか。
つまり悪役には人生もへったくれもなくただ悪ければよかったわけです。
正義は勝つということが言いたかったわけですから。

次に、スポーツ根性ものが受ける時代になると登場するやいなや最初からスーパ
ーマンという主人公ではなく、血のにじむような努力の結果ライバルを倒すとい
う努力型ヒーローが台頭してきます。
ライバルや脇役の人生もそれなりに描かれていたと思いますが、あくまでも主人
公をおびやかす存在としてその強さや怖さを表現したいがためのものでした。

そしていよいよ主人公だけでなくライバルや脇役の人生にも踏み込んで、その
生き様を描くことにより物語全体に深みを与える時代がやってきました。

以上、私Shigの独断と偏見による異様に単純化した漫画史でした。

井上雄彦という漫画家は脇役の人生に踏み込んで描く描き方が半端ではないですよね。

佐々木小次郎は武蔵の最大のライバルですから、その人物像をしっかりと描く
必要があるわけですが、まるで主人公を武蔵から小次郎に切り替えたかのごとく
幼少期から青年期までをじっくりとかなり長い間に渡って描き続けたのには驚か
されました。

そして小次郎の前に立ちふさがった強敵、猪谷巨雲の人物像もしっかりと描かれ
ていたし、さらに小次郎に一撃で倒される間垣市三の子供時代のエピソードまで
とり上げてその人生に踏み込んでいました。

このように主人公とライバルそれぞれの人生を読者に見せて十分に感情移入を
させたうえで、命がけの激突が生み出す感動こそ井上雄彦マンガの魅力なのではないでしょうか。

それにしても吉岡清十郎の斬られっぷりはすごかった...



最新の画像もっと見る

コメントを投稿