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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

モーションコミック(iBooks Author制作日記49)

2013-12-25 19:15:38 | iPad版制作日記

DMC(Digital Motion Comics)というモーションコミックサイトを見つけました。

Manga2.5という、マンガ原稿を動画化(モーションコミック化)した新しいコンテンツを配信しているサイトからたどっていくうちに、そのDMCにたどり着いたんですけどね。

そのDMCには、Marvelなどのアメコミやフランス語圏のバンドデシネ系の重厚なファインアートなモーションコミック作品が並んでいます。いかにも「う~ん、肉食!」という感じで、日本のライトな雰囲気のマンガとはやはり違います。

でもその違いがいいんですよ。日本のマンガやアニメなどがクールジャパンとして世界に発信されていますが、それぞれの国の文化を背景に生み出されてきた作品の表現が同じような雰囲気を醸していたらつまりませんからね。

数年前にアメリカのMarvel Entertainmentが、「Motion Comics」(モーションコミック)という新しい動くデジタルコミックを配信すると発表しました。

そのときはそれなりに興味を感じたんですけど、その後あまり動向を追いかけることはありませんでした。でも今回DMCのサイトを見て、「Motion Comics」は着実に進化しているようです。

一方Manga2.5は、モーションコミックとしてはDMCと同じような手法で動画化していると思うんですが、日本のマンガ原稿をベースにした可愛いコンテンツが並んでいます。

具体的な制作手法は、


 1. マンガ原稿をコマ・キャラ・背景・吹き出しなどのパーツに切り分ける。

 2. 着彩する

 3. それぞれのパーツを必要に応じてアニメーションさせる

 4. 音声・サウンドを付加


といったところでしょうか。もちろんこれをベースいろいろとアレンジを加えることになるわけですが。

問題は、3番目の「それぞれのパーツを必要に応じてアニメーションさせる」ところです。

背景をじわじわと右→左もしくは左→右に動かしたり、上下にゆっくり移動させる。ときに微かにズームアップしていく、という動きがかなり多いですね。

そうやって背景を動かしつつ、その上のレイヤーに配置したキャラに喋らせることで、少ない画像数で全体的に動的なアニメ感を出しています。

キャラが喋るときは、背景に重ねたキャラ画像をゆらしてみたり、頭から上だけちょっと動かしたり、口パクや瞬きを組み合わせて表現。このあたりは、キャラをぜんぜん動かさないで音声を流すやり方もあるし、それぞれの作品でまちまちのようです。

日本のモーションコミックの場合、現在のところWebフラッシャーやマルチメディア・クリエーターといった職種の人達が、このあたりの作業を担っているんじゃないでしょうか。

自分の経験上、短編でも1作品完成させるのに非常に大変な作業量なので、今後どのあたりで切り分けて協業していくかが重要。どこで切り分ける?ここでしょ!o(- -;*)ゞ

私も自分に合った表現を追及していますが、それが世の中の流れとベクトルが違うと寂しいもんです。でもこのようなモーションコミックの現状を見ると、自分の方向性も悪くないようで嬉しくなりました。

さて自分のモーションコミック作品【ナナのかぼちゃパン】の方は、iPad縦向き時に表示するストーリーボードの一部を描き直しているところです。

1ページ分のサイズが大きくなりすぎて、HTMLウィジェットが起動しないページは分割したんですけど、それに合わせてストーリーボードも分割しました。

「iBooks Author」で作ったコンテンツは、横向き時と縦向き時がちゃんと対応しているわけじゃありません。

でもページ数は揃えておきたいので。

あと6日ですか...。



簡単デジタルブック(iBooks Author制作日記48)

2013-12-12 19:09:15 | iPad版制作日記

「iPad版制作日記」というカテゴリーで、「iBooks Author制作日記」と称して最近はブログを書いています。

「iBooks Author」の使い方や情報を求めてこのブログを訪れた方々は、そういった情報があまり書かれていないのでがっかりするかもしれません。

始めのうちは、「iBooks Author」に用意されているテンプレートを活用して、いかに自分の表現スタイルにマッチした電子コミックを作るかという試行錯誤をしていました。

その結果、HTMLウィジェットを埋め込むというやり方が最も自分の求める表現に近づけると分かってからは、もっぱらFlashで電子コミックの中身を作り「Toolkit for CreateJS」でHTML5ベースでパブリッシュするという作業がメインになりました。

「iBooks Author」での作業は、空のページを作りそこにHTMLウィジェットを配置するということで、電子ブックのガワとして活用している感じです。

でもガワつまりテンプレートが出来ているという意義は大きいんですよ。ガワ作りにかけるエネルギーをすべて中身のコンテンツに注げるわけですから。

いろいろなテンプレートの中から自分の作りたいコンテンツに合ったデザインを選び、簡単にデジタルブックが作れるというのが「iBooks Author」の基本的な使い方なんでしょうね。

電子コミック【ナナのかぼちゃパン】は、その基本的な使い方とは違っていますが、「iBooks Author」でちょっと凝ったマルチメディア・ブックをつくりたいときの仕組み、つまりウィジェットを埋め込むという「iBooks Author」が予め用意している機能を使っているので、無理やりの力業というわけでもないんですよね。

で上の画像なんですが、【ナナのかぼちゃパン】のレシピのページです。

レシピのページは、HTMLウィジェットを使わず静止画と音声だけなので、「iBooks Author」で手軽にデジタルブックが作れる見本のような感じになりました。

自分の場合は、動きがないとだめなんですけど、つまりアニメーションと音声がセットじゃないと表現する気がしないんですが、静止画と音声で十分な人は、「iBooks Author」で手軽に音が付けられますよね。

上の画像のパンケースの下に、音声のコントロールバーが見えます。あれをタップすると音声が再生されるわけです。

ちなみに音声を配置する手順は、以下のとおり。


 1. ツールバーのメディアをクリックする

 2. メディアブラウザが表示されるので、オーディオを選択

 3. 配置したい音声ファイルをページにドラッグ&ドロップする
※音声ファイルはm4aファイルのみ読み込み可能

 4. ページに表示されたコントロールバーのサイズや位置を調整する


画像を各ページにバーッと読み込んで、あとは音声を付加すれば「デジタル紙芝居」が簡単に出来ちゃいます。

それから、eラーニングなどにも適しているんじゃないでしょうか。講師の映像を加えればさらにリッチなコンテンツになりますしね。

そういえば、タブレットを授業で活用している小学校のニュースを見ました。

自分が子供のころは、紙とペンでちょこっとマンガを描いたりしましたが、今は文字も静止画もサウンドも映像もデジタルで組み合わせて表現する環境が整っているので、それがあたりまえの子供たちが将来どんな表現をみせてくれるのか楽しみです。

そのころにはデジタル爺さんになっているであろう自分が、若者たちに負けじと新作を発表して競い合いたいものです。