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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

OPサウンド(iBooks Author制作日記47)

2013-11-26 19:25:22 | iPad版制作日記

制作がエンドレスになりそうな雰囲気の電子コミック【ナナのかぼちゃパン】ですが、作者としては一刻も早くiPad版を仕上げて次のAndroid版に取り掛かりたいと気持ちがはやっている今日この頃です。Android版といっても、たぶんKindle版でしょうけど。

そんな気持ちを抑えつつ細かい修正などをやっています。

たとえば上の画像のように、前半と後半でかなり顔が変わってしまったナナの父・雄作の描きなおしなどですね。もちろん顔色が明るいほうが最近の雄作です。

コミックスが数十巻にも及ぶ長編マンガなら、登場人物の顔が変わってくるのも仕方ないですけど、短編なのにこうも変化したらちょっとまずいので。

制作開始した当初は、絵本タッチにするつもりでいろいろ画像をいじっていたので前半と後半で変わってしまったんですよね。最終的には絵本的とは言えませんが、マンガを表現するために自分にあったスタイルに落ち着きつつあるといったところです。

制作がストップしているWebコミック【時空マジシャン】のころ、3DCGでフォトリアルにレンダリングされた画像がどうも生きてない感じがして、「血を通わせる」ことから始まりました。

そしてその後、写真のようにダイナミックレンジが広く、ハイライトから暗闇まできれいに階調が割り振られていればマンガとしての表現力がある、というわけじゃないことに気づき、そっからまた方向性が変わったかもしれません。

始めのうちは、セルシェーダーなどでマンガ調・アニメ調にレンダリングするのは、『ちょっと違うかな』と思ってました。でも現在はそこに近づきつつあるようです。

まだ、アウトラインの線の濃さで試行錯誤をしています。

【ナナのかぼちゃパン】本編のトップページにオープニングサウンドをつけました。『おおっ!』という感じで、先日のエンディングサウンドと共に、始まりと終わりがびしっと決まったことでぐっと引き立ちました。

サウンドは、「魔王魂」さんの音楽素材を使わせていただきました。非常にシーンに馴染みやすい曲調のサウンドが豊富で、これからもお世話になると思います。

今回使わせていただいた「魔王魂」さん、そして【時空マジシャン】のときにお世話になった「FTK CREATIVE SYSTEM」さんをはじめとして、ハイクオリティなサウンドとネット上でコラボレーションできる環境が整ってきました。

またネット上で活動されている声優さんも多くいらっしゃいます。

自分の電子コミックには、音声・サウンド・アニメといった要素が欠かせないので、昔では考えられなかった時代になってきたなと改めて思う今日この頃です。

以前は、マルチメディア・コンテンツを作ることなんて大変だったですからね。今でも大変ですけど。

あと足りないものは、......敷居が高くないマンガツールですかね。たとえば手描きのマンガに、音声・サウンド・アニメなどを簡単に付加できるツール。

自分が知らないだけで、すでにあるのかもしれないですけど。





レシピ(iBooks Author制作日記46)

2013-11-16 17:20:34 | iPad版制作日記

電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の制作は、各ページの仕上げ(音声の挿入、前半シーンの修正など)と平行して「かぼちゃパンのレシピ」にも取り掛かりました。

上の画像のように、レシピは静止画と文字と音声で描きます。アニメは無しなので、HTMLウィジェットも使わない予定。いや~、画像を動かさなくてよいと非常に楽チンです。

【ナナのかぼちゃパン】は、ナナの宝物「家庭用パン焼き機」で焼いたかぼちゃパンに、父のパン職人である雄作がアドバイスをして完成した「ナナのかぼちゃパン」が店頭に並ぶストーリーなので、その重要なアイテムである「かぼちゃパンのレシピ」を付録として付けました。

今回の電子コミックは、本編とストーリーボード(画コンテ)、それと「かぼちゃパンのレシピ」というコンテンツで構成されています。

マンガの本編以外にいろいろ付ける意味は、コンテンツの増量のためではなく(それも多少はあるけど)、自分が制作過程のメイキングや裏話、その他対談など本編に関連したコンテンツが好きだからです。

だから小説などを読んだときに、あとがきや解説がないとがっかりしますもん。

そういった周辺コンテンツは、本編の内容をより深く理解するのを助けてくれるわけですが、そればかりではなく作者の人柄などを感じることができます。そして、その作品がどういう背景から生まれてきたのか理解したり想像したりすることが楽しいんですよね。

なので自分の作品には、メイキングをはじめとした関連コンテンツをたっぷり付けようと思っていました。でもメイキングはブログでいやというほど書いているので、今回はレシピです。

作品によっては取材記を付けるのもおもしろいでしょうね。

たとえば「ツチノコ捕獲隊」というようなマンガを描いたとしたら、ツチノコの目撃情報があった場所にいって取材をしたり、ノヅチとかバチヘビとか日本全国で約40種もあるという呼称とともに各地の伝説や資料を掲載したら充実したコンテンツになるでしょうね。

そういえば昔は、「ツチノコ捕獲か!?」というような新聞記事をときどき目にしたり、「生け捕りで賞金1億円!!」と聞いてビックリしましたけど、最近はあまりうわさを聞かなくなったような。

マンガ以外のコンテンツを勝手に付けたり、思いついたことをすぐに試せるというのは、電子コミック/電子出版時代ならではの魅力です。

そういったことを企画するのは編集部の仕事、マンガ家はマンガを描くだけ、ではつまりません。

とはいえアイデア的には思いついても、労力的・技術的に不可というのが多いんですけど...。




悪戦苦闘(iBooks Author制作日記45)

2013-11-02 19:10:42 | iPad版制作日記

悪戦苦闘の末、電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の最終ページがほぼ完成しました。

前回のブログで、アニメーションが止まってしまったと書きましたが、その後アニメが動いたけど音声が再生されなかったり、音声とアニメの動きがずれたあげくアニメが止まったりとかなり厳しいことになってしまい、制作を始めてから最大の危機的状況でした。

原因は、やはり音声・サウンドだと思います。

無声・無音で作っていたときは、Flashで作り込んだアニメを「Toolkit for CreateJS」でパブリッシュし、「iBooks Author」のページにHTMLウィジェットとして読み込むという手順で何ら問題ありませんでした。

HTMLウィジェットのサイズが4~5MBに達すると、iPadをタップしたときにHTMLウィジェットが起動しないという問題はありましたけど。(その時はページを分割して乗り切った)

ところが音声ファイルが揃って、アニメに音声を同期させ始めたら、iPadでプレビュー中にアニメが止まるという現象が出始めたんですよね。

問題点を整理すると以下の3つになります。

 1. 音声とアニメの動きがずれる

 2. ウィジェットを再生中にアニメの動きが止まり、音声はそのまま再生される

 3. アニメは問題なく再生されるが、音声がまったく再生されない

2番目と3番目は、問題を解決すべくいろいろと試したところ、それぞれの動作結果だったという意味です。

1番目の「音声とアニメの動きがずれる」というのは、ある程度は覚悟してたんですけど、許容範囲を超えてめちゃくちゃ激しくずれてます。Flashのタイムラインのフレーム数とfpsから割り出したタイミングで音声を鳴らすというものだったんですけど、ここまでずれるとは思いませんでした。

やっぱり(第3世代)iPadのスペックでは追いつかなかったのかもしれません。先日売り出したiPad Airなら大丈夫かもしれませんが、旧世代のiPadでもちゃんと動作しないことにはダメですからね。

音と動きがずれるのは大問題ですが、さらに動きが止まってしまったのには参りました。

サウンドオブジェクトの問題なのか、それとも負荷がかかり過ぎたのか...

もう抜本的に見直さなければ先に進めないと思ったので、一番理想的なやり方を再度試してみました。

そもそもiBooks Authorで扱えるサウンド・フォーマットがAACオーディオ(m4a)だけなのが問題で、wavやmp3がOKならばFlashで読み込んでそのまま使えたのに...と愚痴ってもしょうがないけど。

理想的なやり方というのは、まずwav音声を使ってFlashでアニメを作りこみます。

次に、Toolkit for CreateJSでパブリッシュ。

書き出されたsoundsフォルダ内の音声ファイルをAACオーディオ(m4a)に差し替える、というやり方です。

もちろん書き出されたJSファイルも、m4aファイルが使えるように書き換えてあげる必要があります。

このやり方は、【ナナのかぼちゃパン】制作開始時に試してみたんですけど、その時はうまくいきませんでした。今回は再挑戦です。

その結果、Webブラウザでの動作チェックでは、音声が鳴りアニメも問題なく動作しました。ところがiBooks Authorに持っていってiPadでプレビューすると音がうんともすんとも鳴らないんですよ。Webブラウザでうまくいったときは『よっしゃ!』と思ったんですけどね。

どうしても音声が鳴らないので、苦し紛れに今までのやり方と合体させてみました。今までのやり方とは、音は鳴るけどずれるという問題があるやり方です。「iBooks Author制作日記8」で書いたやり方ですね。

ただし関数の実行は、Toolkit for CreateJSによって書き出されたJSファイルの、timeline functionsの中で実行します。そうすると音声再生のタイミングがアニメの動きとぴったり同期するので、ずれの問題も解決です。

iPadでプレビューしたところ音声もアニメも問題なく動作しました。

上の画像はラストシーンなんですが、ナナがこちらに走ってきてズームアップで静止します。そしてエンディング・サウンドの再生開始。

う~ん、苦労しただけにうれしいですね。

本来なら、Toolkit for CreateJSによって書き出されたplaySound関数で音を鳴らしたいところなんですけど、どうしても鳴らないので苦肉の策です。

はぁ~、良かった。次に進める。