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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

セル画風(iBooks Author制作日記22)

2013-01-21 17:37:27 | iPad版制作日記

今日の画像は、「怒る雄作」です。

そりゃ小学生の娘がホームベーカリーで焼いたパンを勝手に店に並べたら、「なにやっとんやー(`・ω・´)」と叱らなあきまへん。ビシッとお仕置きせなあきまへん。

というシーンなんですが、なかなかサクサクとは進みません。けっこう地味な展開をアニメでおもしろい動きにしようといろいろトライしたり、画像ももっと見やすくしようとペンタブで加筆したりフォトショで画像補正したりしてるうちに、どんどん時間が経ってしまいます。

たとえば雄作がナナを叱るシーンでは、普通に集中線をアニメさせて迫力を出すか、それとも雄作の身体を一瞬ブレさせてその上から静止画をかぶせて雄作が声を荒らげる様子を表そうか、とか試行錯誤します。

で実際にやってみると、頭で想い描いた効果が出なかったりしてがっくりすることが半分以上なんですが、でもたまに予想外におもしろい動きになったりすると、『電子コミックならではの表現だよね(^ω^)ニヤリ』とするわけです。

一方、画のほうは、セル画タッチがだいぶ慣れてきました。

3DCGで普通にリアルにレンダリングした場合では、キャラの表情に血を通わせるのにかなり苦労していましたが、上の画像のようなセル画調ではペンタブで加筆することでかなり楽に思ったような表情が作れます。うれしいにゃー(=^皿^=)。

3DCGでキャラの肌の温もりを伝えるのって、けっこう矛盾しているというかかなり対極にあるような気さえします。なにしろ金属であったりケミカルな表現が得意だったりするので。

でもその一見対極にあるような壁を乗り越えて、温もりを感じさせる手法を見出すことができれば、今までに無い表現ができるんじゃないかと期待してやってきたかもしれません。

そしてセル画風がその解答であるかどうかはまだ判りませんし、解答は一つというわけでもないでしょう。それにセル画風は、ぜんぜん今までにある表現だし。

でも解っていることは、キャラの温もりを通して作者である自分の息づかいを伝えたいので、やっぱり温もり表現は不可欠ということ。

当初、電子コミック【ナナのかぼちゃパン】は、絵本タッチの画像にしたい、というようなことを書いてました。

青葉の森ベーカリーというパン屋を舞台にした、ホームベーカリーでパンを焼くことが大好きな女の子のいたずら物語、ということで『絵本タッチがピッタリでしょ』と決め付けてたんですよね。

ひとくちに絵本タッチといっても様々な描き方があるけど、自分の言う絵本タッチとは、細密なペン画やカチッしたCGではなく、画用紙にグワッシュなどの絵の具で筆のタッチが残るような素朴な画のイメージです。

実際にそのようにして描いた絵本タッチ画像をスキャンして、素朴な動きのアニメにしたら、またぜんぜん別の雰囲気になっていただろうと思います。

でも自分はそうしませんでした。いつも作り慣れている3DCG画像を加工して、この物語に似合うタッチに近づけていった結果、上のようなセル画風に落ち着きました。

これ以上、ガサッとした自分の言う絵本タッチにすると、自分としては表情とかの表現がやりにくくなってしまうので、このあたりが丁度良いかもしれません。

細部や背景など、まだ統一できてないところはあるんですけど。





楽観的?(iBooks Author制作日記21)

2013-01-16 20:00:10 | iPad版制作日記

iBooks Author制作日記も21回目になりました。

もうそろそろ終わらせて次に進みたいところなんですが、たとえばAndroid版制作日記とか...うん!?AndroidはOS名だから、iPad版制作日記と揃えようとすると、Kindle版制作日記かな...でもそうするとNexus版とかKobo版とか全部やることになりそうな...まぁそれは後で考えればいいや。

自分の作品の場合は、普通のマンガのようにページ枚数分のデジタル原稿が揃っていれば、あとはリーダーアプリにおまかせというわけにはいかないのが悩ましいところ。

iBooks Authorでは、HTMLウィジェットを貼り付けて、アニメや音声を再生できたのでマルチメディア表現が可能だったのですが、Android環境のリーダーについてはまだぜんぜん調べてないので解ってません。

できればスタンドアローンのマンガアプリとしてではなく、標準のリーダーアプリ対応のマンガ作品として電子書店の本棚に並べたいところです。

さて上の画像は、電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の8ページ目のストーリーボード用画像です。

ナナの眼がきらっと光ったところ。

前ページは、ナナの父・雄作が「店に変なパンを並べたのはおまえか?」と怒りの表情でナナの秘密基地に押しかけ、ナナ危うし!というところでした。

ナナのこの表情は、何かピンチを切り抜ける秘策でも思いついたのでしょうか。

それにしても上のナナの顔は、ちょっとちんちくりん、というかバランスがおかしい。

ややうつむき加減で上目遣いでにやっとした表情と、それをやや下から描こうとした結果、変なバランスになってしまったようです。

ナナはもっと美少女だったはず。でも美少女も写真によっては、そう見えないときもあるしね。

まあいいでしょう。いいのか(#゜Д゜)!?

ところで先ほど、Android版とかKindle版とか書きましたけど、まだぜんぜん調べてないにもかかわらずちょっと楽観的です。

というのは、自分にとっては電子コミックの本体ともいえるマルチメディア表現の部分が、「Toolkit for CreateJS」によってHTML5ベースのコンテンツに書き出すことができているからです。

私がiPad版電子コミック制作に取り掛かり、最初は自由度の高いiPadアプリとして作ろうとしました。

でもXcodeでObjective-Cという環境で制作するコミックアプリは、描くという感覚からはだいぶ離れていて、その方向性には疑問符がつきました。

その後、紆余曲折して現在の制作手法・環境に至っています。

では現在の方向性は正しいかといえば、自分としては間違っていないような感触です。

電子書籍のオープンフォーマットEPUB3がHTML5を採用していること、スタンドアローンのマンガアプリよりもEPUB対応のリーダーアプリで読む電子コミックの中の一つでいたい、という状況を考えれば良い方向に進んでいると思います。

『こっちでいいのか!?』と迷いながら進んできましたが、だいぶ霧が晴れてきた気分(^ω^)。





さあ、環境は整ってきた!(iBooks Author制作日記20)

2013-01-08 20:12:48 | iPad版制作日記

年末年始はマンガ三昧、マンガ描き放題、のつもりでしたが普通に過ごしてしまいました。

忘年会をやり、新年会をやり、酒を飲み、雑煮を食べ、まったりしてしまいました。

さあっ、英気を養ったところで、iBooks Authorで描く電子コミック【ナナのかぼちゃパン】の制作再開です。

そうそう元旦の日経新聞によると、Appleが月内にも日本語書籍の販売を始めiPadなどに配信するとのこと。いよいよ開店休業状態だったiBookstoreが動き出すようですね。

でも新聞の記事をよく読むと、「(米アップルは)講談社や小学館など出版大手から書籍の提供を受けることで大筋合意」と書いてあります。ってことは「小筋」はまだでしょ?...まぁ近いことは確かなんでしょうけど。

AmazonのKindle Storeは昨年一足先にオープンしたし、その他の電子書店も一応出そろった感じで、欧米に比べ出遅れていた日本市場もこれで普及の準備が整ったというところでしょうか。

日本勢の中では、Koboの楽天・三木谷社長がかなり熱いっすね。なにしろ「打倒アマゾン」とプリントしたTシャツを作ってるし(=^▽^=)。う~む、わかりやすい。

Koboといえばスタートダッシュで迷走してしまいましたが、良いデバイスと魅力的な書店を展開してくれれば、いくら相手が強大とはいえまだまだチャンスはあるはず。

たとえば電子ペーパー端末で、タブレット並みのレスポンスと鮮やかな発色のE-Ink端末をお願いします。

そう、私が描いてるマルチメディア系の電子コミックを表示できるような。

それから魅力的な電子書店のほうは、マンガ文化で育った日本ならではの迷宮のようなマンガ書店が良いですね。あんまりきれいなピカピカなブックストアーより、ちょっと小汚くてもよいからおもしろそうなマンガ本を発見できそうな予感がする迷宮のような配置で、なおかつ迷子にならない分かりやすく本にたどり着ける書店です。

書籍の品揃えに力を入れるのもけっこうですが、電子書籍ならではの新しいスタイルの本にも力を入れてほしいですね。

まぁ確かに最初は、「あの本を電子書籍で読んでみよう!」と思って電子書店で検索しても見つからなければがっかりして、「なんだ、こんなもんか...」となってしまうので品揃えを充実させようという気持ちは分かります。

でもそれと同等、もしくはそれ以上に、デジタルならではの新しい表現に力を入れてほしいわけです。

いつでもどこでも1000冊の本を携帯できるとか、読みたいと思ったら即ダウンロードで読書開始。ということだけが電子書籍革命というわけではなくて、新しい読書体験、こっちのほうが自分にとっては重要であり魅力的です。

まだまだ本格普及はこれからだから、徐々にそっちの方向に向かうとは思いますが...いや、もしかしたら向かわないか!?

たとえばマンガであれば、葛飾北斎のころから延々と続く、手描きの線画と文字による完成された表現。

美しく完成された形だから、変わりようが無い?

確かに「静止画」と「文字」によるすばらしい表現方法は、これからも永久に不滅でしょう。

でも一方で、デジタルの時代になって登場人物に喋らせることができるようになりました。そして、クライマックスでシーンを盛り上げるサウンドも簡単に挿入できます。

さらに主人公達がテレビを観るシーンでは、そのマンガの中のテレビに映像を流すことも可能です。主人公が書いてる日記に、読者がコメントすることもできます(必要であれば...ん?必要ないか( ̄∇ ̄;)ゞ)。

せっかくそういうことができる環境が整ってきたんだから、やっぱりやりましょうよ!

作るの大変ですけど(* ̄∇ ̄*)b。