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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

【ナナのかぼちゃパン】は絵本タッチ

2012-05-26 17:21:26 | iPad版制作日記

iBooks Authorが自分に適した制作ツールなのかどうか、実際に作品を作りながら試してみようというわけで、短編マルチタッチコミック【ナナのかぼちゃパン】の制作開始です。

【ナナのかぼちゃパン】はちょっとほのぼのとした内容なので、あまり3DCGっぽいリアルな画質は似合いません。というわけで上の画像のように絵本タッチにしました。

Poserでレンダリングした画像をベースに、Photoshop上でIntuosを使って手描き風味を加えつつポストワークして仕上げたものです。

ちょっと絵本タッチになりすぎたかも...もうちょっとマンガっぽくしたいところです。もっとIntuosで輪郭線をしっかり描けばいいんでしょうけど、でもそうしたくない気分もあって、そのあたりはもう少し試行錯誤をしてベストなバランスをみつけなくては。

マンガの画風やタッチって、作者によってぜんぜん変わらないタイプと、どんどん変わっていくタイプがありますよね。

読者としては、変わらないタイプの方がストーリーを追いやすいとか、安定感・安心感があるという利点がありますが、その反面毎回代わり映えしないのでちょっと厭きがくるという部分もあるかもしれません。

変わるタイプとしては、久しぶりに連載マンガを読んだら「同じキャラかー!?」っていうぐらい変わっちゃって驚かされるときもたまにあります。自分の好みの方向に変化してる場合は良いんですが、反対の場合はショックですよね。

巨匠・手塚治虫が「自分の絵は、ストーリーを表現するための記号のようなもの」というようなことを書いています。その「マンガ絵=記号論」を読んだ時、それぞれのキャラを記号としてとらえているのであれば、その都度あまり悩まずに早く描くことができるのだろうな、と思ったことを憶えています。

たしかに手塚治虫の画風は、初期から後期にいたるまで子供向け・大人向け等の多少の描き方の差異があっても、全体的には画風があまり変化しなかったイメージです。

ご自身の絵を記号と捉えていたとしても、何と魅力的な記号であったことか。

先日、【バクマン。】の最新刊(18巻)を読みました。

小畑健は、【バクマン。】というマンガの内容上、何人ものマンガ家の作品を描き分けなければならないわけで、いろいろ工夫を凝らしていますね。特に最近は表情がすごい!「ちょっとやりすぎじゃないの!?」っていうくらい表情のデフォルメがすごい!

マンガだから誇張!という意識が強いように感じます。それから小さなコマの中でもパースをかなり効かせてますよね。

そういえば【ヒカルの碁】を連載してるときに、【月下の棋士】の能條純一の影響を受けている時期があったように思います。能條タッチの影響が素直に画に表れているところにむしろ好感がもてましたけど。

でも最近、サイコーやシュージン達キャラの顎を異様に尖らせているのはなぜでしょう?あまり尖ってないほうが良いと思うんですが...

今日は【ナナのかぼちゃパン】の内容に合わせて画のタッチをちょっと変えたということから、思いつくままに書いてしまいました。

自分はとてもマンガ絵を記号としては捉えられないので、その都度悩みながら描くしかありません。

そのあたりは、描くという行為の根幹に係わっているような気がします。






マルチタッチコミック

2012-05-18 18:57:00 | iPad版制作日記

Appleでは、iBooks Authorで作成した電子ブックを「マルチタッチブック」というんですね。iBooks Authorの使い方をAppleのサイトで調べていたら、そう呼んでいました。

ということは、電子コミックはマルチタッチコミックということですよね。いいじゃないすか、マルチタッチコミック!

今までマルチメディアコミックという言い方をときどきしてたんですが、いまいちピンとこないし、ちょっと古臭い感じもします。これからは、電子書籍の中のマンガという意味では「電子コミック」、インタラクティブコミックという意味では「マルチタッチコミック」というように使い分けようと思います。

さて、前回のブログで、「ちょっとした短編を作りたくなってきた。でも懸念材料あり。」と書きました。

やっぱり実際にマルチタッチコミックを作ってみないことには、自分にとって必要なツールなのかどうかは分からないので、短編マンガを作りながら試してみることにしました。

それから「懸念材料あり」というのは、[ページが表示される] → [ウィジェットをタッチ] → [アニメや音声開始] → [ウィジェットを閉じる] → [フリックで次のページに進む] という一連の流れが面倒くさくないだろうか、ということです。

初めはこの操作が電子コミックらしくて良いと思ったんですが、はたして楽しい操作なのか面倒くさいのか良く分かりません。

そのあたりは作りながら動作チェックする過程で分かるでしょうけど。

あとウィジェットで確認したのは、パラパラアニメとサウンド再生だけですからね、実際に作り始めたら『こういう場合はどうすんだ?』とか『う~む、困った』という場面が次々と出てきそうですが、とにかく作ってみることにしました。

ところで何を作るか?

Xcodeで開発中のiPad版電子コミック【Wings ウイングス】の一部を作ってみようか、それとも...

同じものじゃつまんないし...というわけで、【Wings ウイングス】のほうはXcodeにまかせて、iBooks Author用に【ナナのかぼちゃパン】という超短編マルチタッチコミックを作ることにしました。

上の画像は、鉛筆画をPhotoshopで加工したものです。

iBooks Author向きの絵本ぽい作品にするなら、こういうタッチでも良いかと思うんですけど、いつもの3DCGタッチにするかまだ決めてません。

上のようなタッチでいくなら、最近ぜんぜん使ってないintuosの出番かも。

ぜんぜん使ってないということは、使いこなせてないというわけだから...どうしようか。

もしiBooks Authorもうまくいかず、intuosも使いこなせないというダブルパンチになるとショックはでかいかも。

いや、『iBooks Authorでマルチタッチコミック完成!』しかも『intuosもばっちり!』というように、ポジティブにいきましょう!





続々・iBooks Authorを試す

2012-05-08 19:39:55 | iPad版制作日記

iBooks Authorが良い感じなので、引き続きいじってます。

iBooks Authorを試し始めて最初のうちは、『超簡単と言われている割にはどうも...』という感じでしたが、ウィジェットがけっこうサクッとできたあたりから『いいねいいね、いい感じ!』に変わってきました。

静止画ベースのマンガを描く人も、私のようにアニメや音声やインタラクティブな仕掛けなどに凝りたい人も、それぞれのやり方で電子コミックを作成できるというところに可能性を感じます。

ここのところiBooks Authorをいじったり調べたりしているうちに、iPadを横向き・縦向きにした時のマンガの見せ方について自分なりにある程度納得できるようになりました。

iBooks Authorで作るコンテンツは、基本的に横向きで読むようにデザインされているんですね。そして横向き時の画面が見開きではなく、1ページになるようです。まぁ真ん中でくぎって見開きにすることもできるんでしょうけど。

縦向きの場合は、どちらかというと補足的な役割としてとらえた方が良さそうです。たとえば写真、文字、映像、音声などでデザインされた電子ブックは横画面でじっくり読み、縦画面にしたときは写真などをサムネイルで小さく表示しておき、文字だけでさーっと追えるようにしておくという見せ方です。

横向きが基本ということで、横向き固定にすることもできます。(書類インスペクタで[縦向きを無効にする]にチェックを入れる)

でも横向き固定は、せっかくのタブレットの魅力を損ねてしまうので、ぜったい横向きで見せたいという何らかの意図がないかぎり、どうかなと思います。

さてそこで私が考えたアイデアは、上の画像のように縦向き時は画コンテやネームを表示するというものです。

もともと自分は、完成作品だけじゃなく構想時のアイデアを書いたものや、画コンテや裏話など制作過程にも興味があるので、自分の作品ではそれらを一緒に観て貰いたいという気持ちがあります。

なので縦向き時はネームや画コンテというわけです。

iBooks Authorでは、表紙をめくると最初に表示される、イントロメディアというページがあります。ここにインパクトのある画像や動画を表示して、読者を作品に引き込もうという演出ページです。

ここを利用して、縦向き時はネーム等が見れるということを示しておいてもいいですね。iPadを縦方向にしたらいきなりラフな鉛筆画が表示されて「なんじゃ、こりゃ!」と面食らってもいけないので。

というわけで縦向き時の問題も自分なりに納得しつつあります。

あと音声やサウンドについても試してみました。

iBooks Authorでサウンドをどのように扱うのか、あまり情報が見つからなかったので実際に動作チェックしました。

.wavと.mp3と.m4aの3つのサウンドファイルを作って、それぞれボタンを押したらサウンドを再生するようにして、ウィジェットに固めたものです。

するとウィジェット・オブジェクトに上記ウィジェットをドラッグ&ドロップしようとすると、その時点ではじかれてしまいました。

「HTML Dashcodeファイル"sound.wdgt"は追加されませんでした。このファイルには対応してないフォーマットのメディアファイルが含まれています。」と表示されて、ウィジェットを配置することもできませんでした。

なので、.wavを削除し、次に.mp3を削除という具合に一つずつ試していくと、最終的に.m4aだけになったときにやっとウィジェット・オブジェクトに配置することができました。

サウンドもちゃんと再生されたので、.m4aファイルで音は作れば良いんですね。

ちなみに.m4aファイルはiTunesで.wavや.mp3から変換することができます。

3回にわたってiBooks Authorについて試用感を書いてきましたが、だんだんちょっとした短編でも作ってみたくなってきました。

いま私の頭の中にちょっとした懸念材料があります。

そのあたりについてはまた次回。






続・iBooks Authorを試す

2012-05-02 20:15:33 | iPad版制作日記

前回は、初めてiBooks Authorを使ってみて、その使用感を書きました。

自分が作りたい電子コミックは、iBooks Authorのテンプレートをそのまま利用して出来るものではないので、テンプレートをカスタマイズしなくてはなりません。

カスタマイズしようとすると、やはりその仕組みをある程度知らないとうまくいかないので、ちょっと面倒くさいなという感じでした。なにしろiBooks Authorは超簡単というのが頭にあって、すぐにでも電子コミック制作に取り掛かれるかもという期待があったので。

簡単なツールというのは得てしてそんなもんですよね。提案されたとおりに使う分には易しいけど、自分好みに改造しようとするや否やたちまち複雑になるもんです。

さて今回は、iBooks Authorでアニメーションを試してみました。

私が描きたい電子コミックにおいて、アニメーションは重要な表現要素だと考えています。

音声は当然使いたいわけですが、静止画で音声が聴こえるというのは、どうも臨場感がなくて自分的にはNGです。

ストーリーの流れの中でインタラクティブな仕掛けを施したい場合、そこから急に動きのあるシーンに変わっていくのも不自然な気がします。つまりこのマンガではキャラ達が動くのは当たり前、ということにマンガの始めからしておきたいわけです。

もちろん毎秒24コマというフルアニメである必要はないし、そんなことしたらヘビーになっちゃいますしね。

電子コミックに最適なアニメ表現は、いつも描きながら考えています。

話がそれましたが、iBooks Authorでアニメーションを表示するには、HTMLウィジェットを読み込むというやり方で可能です。

以下の手順で試してみました。


 1. HTML文書にJavaScriptでパラパラアニメのコードを書く → Safariで動作チェック

 2. Info.plistファイルを作成(アプリの情報をXML文書にまとめたもの)

 3. 上記HTMLファイルとInfo.plist、画像ファイルを同じフォルダにまとめ、フォルダ名に「.wdgt」という拡張子をつける → フォルダがDashboardウィジェットに変わる

 4. iBooks Authorで作成中のコンテンツを開き(前回練習用に作ったもの)、アニメーションを表示するページを選ぶ

 5. ツールバーのウィジェットボタンをクリックし、HTMLを選択 → ページ内にウィジェットオブジェクトが配置される

 6. 3のDashboardウィジェットを5のウィジェットオブジェクトにドラッグ&ドロップする

 7. iPadをMacに接続し、動作チェックする


動きました。キビキビとした動きでアニメしてます。上の画像です。

上の画像は、ブログ用に4つの画を合成したものですが、この画と同じようにバク宙アニメがループで動いてます。

ページが表示されるといきなりアニメをするわけではなく、画面をタップするとウィジェット画面になり、アニメーションを開始します。

なので、まずページには静止画のマンガを表示しておいて、アニメを見たければタップすればいいわけです。静止画だけでどんどんページをめくっていっても良いわけだし。

電子コミックらしくて良いんじゃないでしょうか。

まだ課題はありそうですが、もっと進めてみたくなりました。

うん、良い感じ!