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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

続・バクマン。

2009-07-25 19:00:08 | Weblog

先日のブログ「バクマン。」は、ちょっと書き足りない感じだったので、続きを書きます。上の画像も同じものではつまらないので、亜豆美保に着彩してみました。

バクマン。には、漫画雑誌の編集者が重要な登場人物として描かれています。集英社の少年ジャンプ編集部をかなりリアルに描写しているようです。

昔から編集者は、漫画の中にちょくちょく登場してきたりするものですが、だいたいステレオタイプな描き方をされているものでした。

例えば、数日間徹夜で描いている漫画家の部屋の前で、漫画家が脱走しないように見張りながら原稿のアップを待っていて、ようやく完成するとバッタリと倒れこむ漫画家を尻目に、しっかりと原稿を抱きかかえ腕時計で時間を確認「よし、まだ間に合う!」と言いながら編集部や印刷所に向かってダッシュする編集者...というような。

または、原稿を持ち込んできた漫画家志望者を前に「うーん...そうねえ..」とか言いながら原稿をパラパラっと見て、やがて漫画原稿をテーブルの上でトントンとそろえて「主人公がねえ...暗いんだよね、君みたいにさぁ」などとのたまう。

というような感じで類型的に描かれるイメージがあります。(それにしても上記の漫画家いびりの常套文句は、先輩編集者から代々受け継がれてる文句なんですかねぇ)

私は最近はあまり多くの漫画を読んでないので、編集者が主人公や登場人物として活躍したり編集部が舞台の漫画もけっこうあるのかもしれませんが、このバクマン。はかなり漫画家と編集者との漫画をめぐるやり取りが臨場感をもって描かれてます。

漫画原稿を持ち込むサイコーとシュージンのドキドキ感・緊張感、一方それを批評する担当編集者 服部哲の心の動き「これなら将来化ける可能性あるだろ?...とにかく手持ちにしておくべき!」...といった持ち込み現場の雰囲気はリアリティ十分。

でも考えてみるとこういったやり取りは、この漫画の作者(原作:大場つぐみ × 漫画:小畑健)と編集者が年がら年中やっている打ち合わせなのだからリアリティは当然なのかもしれませんが。

どうやらサイコーとシュージンは良い編集にめぐまれたような気がします。一方、天然漫画家 新妻エイジの担当 服部雄二郎は?なんかちょっとたよりないような感じですが、案外こういうタイプが出世するような気も...

編集者との出会いっていうのは漫画家にとっては一生を左右する重大事ですよね?

必ずしも漫画家の作品の魅力を理解し、持ち味を引き出そうとしてくれる編集者と出会えるとは限らないわけです。

それに漫画雑誌の編集部で働いているわけだからそんな人はいないと思いたいところですが、もしかしたら漫画自体に熱い情熱を持っていない人だっているかもしれない...

大手の出版社の人事がどうなっているかは知りませんが、普通の会社と同じような人事の仕組みであれば本人の希望とは違う部署に配属されることだってあるわけですよね。

ほんとうは文芸の方をやりたかったのに、なぜか漫画雑誌の編集部に回されてしまったということだってあるのでは?そして「あの小説家の担当になりたかったのに...漫画なんて」と心の中でつぶやいてる編集者がいてもおかしくはありません。

そういう人が担当になったら...

というふうに考えると、サイコーとシュージンが一番最初にジャンプ編集部に作品の持ち込みをしたときのサイコーの目つきが思い出されます。服部編集者をじっと見つめる冷徹な目つき...この人は当たりなのかはずれなのか、信用していいのだろうか!?

現実にはそんな中学生はいないでしょうけど(^口^)...いやいや、ときどき、えーっ!?っていうような子供もいますからねぇ。

でもサイコーに、叔父である川口たろうという漫画家の人生を目の当たりにさせることでそのあたりの説得力を持たせているわけですね、すばらしい!

やはりサイコーとシュージンのキャラ、そしてサイコーの目つきに大場つぐみのメッセージを感じてしまいます。





ウェブコミックは誰に向かって描く?

2009-07-21 21:47:01 | Weblog

先日まで描いていた【時空マジシャン】Chapter.2のOPムービー画コンテをwebcomic.tvサイトにアップロードしました。サイトのほうはちょっとサボっていたのでひさびさの更新。

画コンテをアップする前に表紙をつけたんですが、その表紙用に描いたイラストが上の画像です。背後に気配を感じ振り返る占い師。そこにはザリガニが...

自分の信じる道に一歩踏み出そうとしている占い師。しかし前に進もうとすると彼女のスカートを何かがひっぱって邪魔をします。「私を進ませまいとしているのはいったい誰?」何かおそろしげな敵がいるのかと思いきや、足元に小さなザリガニが一匹、彼女の邪魔をしているのでした。

ちいさなザリガニでもシュビビビビビッと追っかけてきたらちょっと怖いかも...

というようなシーンを占い師が異界を彷徨っているときに挿入しようかと思ってます。

さて今日の制作日記は「ウェブコミックは誰に向かって描く?」というタイトルをつけました。この場合は一般的なウェブコミックという意味ではなく、私の場合に限ってのこと、つまりウェブコミック【時空マジシャン】のことです。

漫画を描くとき、まず誰に向かって描くか、つまり読者層や年齢層などを決めてから描きますよね、普通。雑誌の編集部に持ち込むことを前提にしているなら、その雑誌の読者に向かって描くことになります。

ところが私がウェブコミックのアイディアを練り始めたときは、読者層についてはほとんど考えませんでした。正確に言うと『さて、読者層は...』と考えかけて、『この場合はとりあえず読者層は置いとこう...』ということで先に進みました。

その当時、私の頭の中は『静止画と文字、それに加えてアニメ・音声・サウンド、それからインタラクティブな仕掛け、それらを駆使して漫画を描きたい』という気持ちに満ち溢れていたのでした。今も満ち溢れてますがp(*^ε^*)q。

その時の気持ちの源泉を求めてたどって行くと、CD-ROMが全盛だったころまでさかのぼります。まだインターネットがボチボチ話題になりかけたころでしょうか。

PCもアプリケーションも現在とは比べるべくもなく非力でしたが、なぜか私達は楽しげにコンテンツなどを作っていました。今その当時のPC環境に戻されたら非常に苦しげな表情になるでしょうけど。

ある制作チームはゲーム的な学習教材のCD-ROMを作っていたし、また別のチームはデータベース的な検索機能がある図鑑のようなコンテンツを作ったりしていました。

私も企画デザインやマルチメディア事業部という部署にいたので、いくつか企画書を作りました。その時考えたいくつもの企画の中で、今も私の頭の中で生き残っているのがマルチメディア・コミックです。その当時は日の目を見ることはなかったですが、その後インターネット時代になり現在ウェブコミックとして自主制作しているわけです。

マルチメディア・コミックの企画書では、女の子が主人公の宇宙ものでしたが、ウェブコミックではマジシャンものにしました。

話がそれました。

ウェブコミックは誰に向かって描いているのか...あの時なぜ読者層について考えることを保留したのか、それは読者層うんぬん以前に複数のメディアを統合した漫画がそれなりの形になるのか!?もしかしたら作品の体を成さないのでは!?とかなり本気で心配していたからです。

読者層のことは、ウェブコミックの一作目が曲がりなりにも完成したら二作目でゆっくりと考えればいいや、と思っていたわけです。

現在自分が誰に向かって描いているか改めて考えてみると、デジタルな時代ならではの表現を模索している人もしくは興味のある人、新しい試みが好きな人もしくはそういった試みを評価する人、情報を受信するだけではなくその情報を新たな情報に加工して発信する視点をもっている人(つまりブロガー)...といった人たちを無意識のうちに想定して描いているかもしれません。

それから私が一緒に働いていた同僚達、同じプロジェクトに携わり新しいソフトウェアやコンテンツを作りたいと目を輝かしていたメンバー達、彼らに『今こういうの作ってるんだよ、自主制作だけど』と言いたくて描いてるような気もします。

また、漫画やアニメが好きな人達、昔好きだったけど今はあまり読んだり観たりしなくなった人達...それから、えーと大学時代の友達、あと小学生のときに漫画友達だった清水君...すべての人じゃん(^Д^)。

少年漫画とか年齢層とかのターゲットは、自分はあまり意識してないようです。読んで理解できればOKくらいな感じ。

もうじきOPムービー制作にとりかかります。

今、声優さんにお願いしているところなので。





バクマン。

2009-07-13 15:21:10 | Weblog

バクマン。1~3巻まで読みました。久しぶりの漫画感想文です。

漫画家を目指す少年達の青春漫画執筆活劇。Death Noteの二人(原作:大場つぐみ × 漫画:小畑健)による新作だけにいやがうえにも高まる期待。その期待は裏切られませんでした。

カバー折り返しのコメントに小畑健さんが「今回ファンタジーは一切なしです。ドキドキです。」と書いてますが、たしかにファンタジー的な現実離れした超能力や展開が無いので、描き手側としては読者が感じるであろうおもしろさを計算しにくいと思うのでドキドキですよね。

漫画家志望の青春ものというと、主人公の一人称で心象風景が語られるちょっと暗めの物語を思い浮かべます。地方から出てきて漫画家を目指す青年が大都会の片隅(練馬区あたり?)で、同じ道を志す仲間でありライバルである友人達と心細いながらも夢をにぎりしめて過ごす青春の一コマ...というような。

ところがこの「バクマン。」は、そのような湿り気は微塵も無くカラッとしてます。少年ジャンプらしい「友情・努力・勝利」的テイストで描かれています。

18歳までに漫画家になり作品をアニメ化する、という夢が叶ったら美少女・亜豆美保と結婚という約束を早々取り付け(このあたりのすばやい展開はイマドキな感じですよね)、漫画パートナー・シュージンとの友情と近い将来の不安(かならず創作の方向性や意見の違いという問題が浮上してくるのはまず間違いないでしょう)、そして天然漫画家・新妻エイジとのライバル勝負...といった内容をクールな主人公・サイコーを通して熱血味で描いています。

漫画家な人々というと、私はどちらかといえば計算高くない人が多いのではないかと勝手に思ってます。子供のころから漫画が好きで漫画を描いていれば幸せ、自分が創り出した世界に遊び、それ以外のリアルな現実社会にはちょっと疎いという人が多いのではないか、と私は独断と偏見で思うのですが。

いやいや、書いていて違うような気がしてきました。もっとめちゃくちゃに頭が良くてしかも感性が異様に鋭い、そういう人もたくさんいそうですよね...そういえば。

漫画家な人々にはいろいろな人がいるということで(^^;ゞ。

バクマン。のサイコーとシュージンは14~15歳なのに現実を見透かしていて、しかも思考が論理的。さらにシュージンのほうは、社交的でコミュニケーション能力もある。

サイコーはシャイだけど、叔父の漫画家・川口たろうの生き様を通じて漫画家の現実というものを幼いころから見てきているので、その世界を一歩引いて客観的にみることができる。

このような(画力や原作力以外の)設定は原作者である大場つぐみという人が考える、漫画家にとってある意味重要な資質や環境を投影した主人公達なのでは?博打な稼業であっても悲惨な結果になりにくいような気がします。

一方、天然漫画家であり天才肌の新妻エイジの方は、いくら漫画を描くために生まれてきたような人物であっても、何らかの理由で時代の波に乗り損ねてしまった場合、厳しい末路が待っているかもしれません。

この漫画には編集者がたくさん出てきます。本当はそのことについて主に書こうと思っていたのに、その前に長々と書いてしまいました。

最近は漫画家と編集者との確執がいろいろと取り沙汰されているようです。バクマン。では編集者や編集部の現場をかなりリアルに描いていますが、(編集者の)漫画へ情熱や仕事に対する一生懸命さは間違ってもはずさないようにチェックしているんだろうと思います。

なにしろバクマン。を読んで編集部に持ち込みをする若い人たちが増えて、その中から未来の才能を発掘しようという思惑もあるでしょうから。




【時空マジシャン】OPの画コンテ7(完成)

2009-07-08 15:48:54 | Weblog

【時空マジシャン】Chapter.2のオープニング・ムービー画コンテのcut25~28です。これが画コンテの最終ページになります。

画コンテを描きながら『このブルーのさわやかな(?)笑顔(cut27)は、3DCGではけっこう難易度高いよなー...』などと考えてました。でも制作上難しいとか考えながらアイディアを練ると画コンテがつまらなくなるので、すぐに考えるのをやめましたが。

実際3DCGで「さわやかな笑顔」をうまく表現できるか...このシーンはうっとおしい笑顔になっては台無しだし、いやいやそれどころか3DCGの場合はへたすると不気味な笑顔になりがちなので、そうなってしまったらもう前には進めない。

時空マジシャンを制作しようと決めて、最初に作ったキャラがマジシャン・ブルーです。だからモデリング・データとしてはかなり稚拙で、顔の細部の作りこみはかなりアバウトなんですよね。笑顔などの表情もポストワークにたよってます。そろそろブルーもバージョンアップする時期かも。

cut25。カードから抜け出したマジシャンが受肉してブルーになったのではないか、と考えてみる占い師。「いくらなんでもねぇ...荒唐無稽すぎるし」

cut26。占い師の頭の中で、突如ブルーがムクッと起き上がってシュタッ☆とウィンク。占い師「!?」。

cut27。きらきらとさわやかな笑顔を振りまくブルー。「え!?...な、何?...何、この人...」と戸惑う占い師。「...このさわやかな笑顔は?...いったい...
何の暗示?」

cut28。笑顔のブルーがフェードアウト。同時にクロスフェードして真空シャッフルするブルーが現れる。「なんなのよー...わけわかんないー」という占い師の声を掻き消すようにサウンド、フェードイン。タイトル「時空マジシャン Chapter.2 時空ダンス」表示。

これでChapter.2の1ページ目、隠れ里の女忍者すずめの前で「手妻をおめにかけましょう!」と真空シャッフルをするマジシャン・ブルーのシーンにつながりました。

実はつながりに関してちょっと悩んでまして。というのはページ漫画を先に作ってから、オープニング・ムービーという手順で制作しています。そのため流れやつながりがうまくいってないかもしれないという気がするんですよね。

なぜその手順かというと、私の場合、紙に描くときは普通本編を描いてから扉を描くという癖がついてます。一般的にもその手順で描く人が多いと思うんですが。

そんなわけで時空マジシャンでも、まずページ漫画を描いてからオープニング・ムービーという手順にしました。ところが扉(表紙)と違って、OPムービーはストーリーのあるアニメなので、Chapter.1の終わりとChapter.2のページ漫画の冒頭を後になってつなぐような感じでOPムービーを作ると、つながりがぎこちなかったりうまく流れないかもという懸念がでてきました。

そのあたりを今後なんとかしないと...

さてなにはともあれChapter.2のOPムービーの画コンテが出来上がりました。

今年の夏は、海にも行かず山にも行かず、ビールをがぶがぶ飲んでOPムービーを作るぞー!
おー!!(・ω・。)ノ




【時空マジシャン】OPの画コンテ6

2009-07-04 12:00:04 | Weblog

オープニング・ムービーの画コンテ6ページ目です。cut21~24。

Chapter.1のOPムービーでタロットのマジシャン・カードからマジシャンの姿が消えていくというシーンがありました。

cut21で占い師が驚いているのは、マジシャン・カードからマジシャンの姿が依然として消えたままだったからです。つまり占い師は次にカードをめくるときはいつものカードに戻っているとばかり思っていたわけですね。

Chapter.1で占い師は「なるほどね...なんとなく見えてきたわ」と言っていますが、私Shigに言わせれば『あまい!』*・゜\( ̄(エ) ̄*)...『ぜんぜん見えておらん。マジシャン・カードが伝えたかったのはそんなことではないのじゃ!占い師よ、まだまだ修行がたりんね』ヾ( ̄ー ̄)。

というわけで、占い師が思っていた以上に何かが起きている模様。

それにしてもこのページの台詞はけっこう詰まっているので、カメラを引いて間を空けたりカードからマジシャンが消えるアニメを挿入したりしながら、タイミングよく占い師のしゃべりを入れないと。

いっそのこと台詞をもっと多くして、占い師が声を張り上げて大説明!という手も...そしてカメラをうんと引いて、占い師がちょっと落ち着いたところでズームインして「そう言えばあの時脳裏に浮かんだあの男性は?」という展開d(◕ฺ∀◕ฺ)。...それはない?

さて、Chapter.2の画コンテもそろそろ終わりに近づいてきました。

一時は死んだかと思われた私のPCですが、ここのところ体調が良いのか何とか動いてくれてます。でもいつフリーズするのか心配しながらの作業はストレスがたまります。

びす太を再インストールするか、それとも...