Webcomic.tv

動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

かもめのジョナサン

2007-07-31 19:35:35 | Weblog

先日Webcomic.tvサイトの更新作業をしながら、ザ・ハイロウズの【FLASH】
というベストアルバムを聴いていると『ジョナサン~音速の壁に~♪』という
歌詞が耳に入ってきました。

その【十四才】という曲を聴くたびに『ジョナサンといえば【かもめのジョナサン】しかないよな...「音速の壁」とか「きりもみする」という歌詞からしても...うん、間違いない。かもめのジョナサンのことだ!』と一人納得して、そこで思考は終わっていたのでした。

ところがその時は『...そういえばジョナサンは最後どうなっちゃったんだっけ?異次元的スピードで飛ぶ技術を身につけて、その後ジョナサンは...?』
という具合に気になり始めてしまったのでした。

非常に読みやすい小説で、夢中であっという間に読み終えてしまったことは
憶えているのですが、ジョナサンが超高速で海に向かって急降下しているイメー
ジやきりもみしたり失敗して海につっこむシーンばかり頭に浮かび、その後の
物語の展開がどうも想い出せんのです。

ジョナサンと同じような飛行技術を身につけた光り輝くカモメが二羽あらわれて、
ジョナサンを挟むように飛んで...それから...とにかくジョナサンは孤高の境地
までどんどん上り詰めていくんですよ...それで、どうなったっけ?

そんなわけでもう一度読み直すことにしました。

私の頭の中で、ふたたび一羽のカモメが翼を胴体に押し付けたりひねったり
しながら生き生きと飛び始めました。

なるほど、やっぱり読みやすいですね。
基本的には「カモメ・空・海」だけという感じで複雑な場面設定などは
まるっきりありませんし、それにかもめのフォトが数ページおきに大量に
出てくるし。

ジョナサンは、他のかもめ達が生きるために我先に餌を取り合っている姿を尻目
に超飛行術の能力を身に着けます(ジョナサンは他のかもめ達をさげすんでいる
わけではなくそういった生活ができないカモメなのです)

ふむふむ、この「他の人が持っていない能力を自分は持っている」という状況が
読者を引き込むんですね。現実世界では嫌と言うほど凡人生活を送っている私と
しては物語の中とはいえたまにはこういった気分を味わいたいですから。

もちろんこの能力を会得するためにジョナサンは命懸けの超高速急降下を何度も繰り返すわけですが。

そしてさらに「超カモメ」となったジョナサンの目の前に同じく超飛行能力を
持つカモメが現れ、ジョナサンを仲間達のもとへ導きます。
そして光り輝くカモメ達の中で修行を続け、やがてどのカモメよりも最も白く
輝くカモメになっていきます。


昔【かもめのジョナサン】を読んだときは、満足感と共に本を閉じたと思うの
ですが、今回は残念ながらそうはいきませんでした。

以前のブログで【星の王子さま】について書いたときもあるシーンで同じように
感じたのですが。それは「心の目で見る(大事なことは目では見えない)」というシーンでした。

ジョナサンでは、瞬間移動の秘訣として「カモメの肉体に心をとらわれない」
ことで時間や空間を超越するというシーンがひっかかってしまいました。

【かもめのジョナサン】が初めて出版された時点では、この巧妙な言い回しは
その先にある世界に到達するための考え方として説得力のある表現だったのか
もしれませんが、その後さまざまな作品を読んで目の肥えた現在の読者を納得
させるにはちょっと弱いかなと感じました。

【かもめのジョナサン】の作者リチャード・バックも【星の王子さま】のサン=
テグジュペリも飛行気乗りだったそうですが、大空を飛んでいると夢のある
物語が心に湧いてくるのでしょうか。


【時空マジシャン】トップページ更新

2007-07-25 17:38:54 | Weblog

このブログではウェブコミックの制作日記を書いているわけですが、ウェブコミック本体はwebcomic.tvサイトに置いてあります。

その本宅というかwebcomic.tvサイトの手入れ(更新)を長らく怠っていたので
とりあえずトップページを更新しました。

作品の【時空マジシャン】はウェブページが出来るたびにアップロードしていた
わけですが、それ以外のページはほとんどほったらかしでした。

先日久々にトップページを見てみたら、ダサイ!とくにメインの画像が!!
これじゃせっかくサイトを訪問してくれた人が直帰しちゃうよね
と思いまして急遽更新することにしました。

上の画像が更新前、下が更新後デス。

前の画はハロウィンのかぼちゃが浮かんでいたりプテラノドンが翔んでますが、
なんともマンガっぽくないというか...しょぼい。

こんどの画はマンガ的な楽しげな雰囲気が少しただよってきたかなと。

この間、遅ればせながらVue6にバージョンアップしたので、この画から使って
みました。ちょっと背景のリアリティが増したような気がします。

それにしても主人公の顔が...のんびりしてますなあ。

本当は【マジシャン・セロ】や【空飛ぶ貴公子ピーター・マービー】のようにキリリッと顔をひきしめてビシッとポーズを決めてほしかったんですが、どうもこの主人公はそういうキャラじゃないようで、のほほんとした感じのほうが似合うようです。

さて、今度の週末は「時空マジシャン Chapter2」のネームをやらねば...


【時空マジシャン】 新キャラ

2007-07-15 18:55:28 | Weblog

台風直撃の連休...ウェブコミック制作するしかないですよね、というか久々に
腰を落ち着けてうちこめる休日デス。

ここのところ心身共にいろいろと厳しい状況だったので、パソコンの前に座って
もなかなか集中できず時間ばかり過ぎてしまいます。

そういうときは【時空マジシャン】の新キャラを作って気分転換しましょう。
栗葉の里の住人(忍者)や敵の果心居士忍軍をそろそろ作らなきゃいけないし。

さて、果心居士を取り巻く魑魅魍魎のようなキャラを作るか、それとも栗葉の里
のおっとりした住人(でも実はけっこう強い)を作るか...
気分転換にはやっぱり後者でしょう。

というわけで出来たのが上の画です。

そんなにサクッと出来るわけないですよね、とりあえずプロトタイプです。

得意技は「変移抜刀霞斬り」...ってカムイですか?

手ぶらじゃさみしいので西瓜をかかえてもらいました。それから西瓜について
薀蓄を少々書き添えて完成。

この「くの一」の顔は実はオープニングムービーの占い師なんですよね。
同じじゃまずいのでそのうち作り直すことにしましょう。

占い師の顔も私なりにけっこう工夫して作りこんだ顔なんですが、ちょっと
変わった顔になりました。

モデリングをしてると、顔の形や目鼻立ちなど自分の好みが反映してくるので
かなり意識的に顔の形などを決めていかないと同じような顔になってきます。

手描きの画で極端な場合は、みんな同じ顔で髪の色がベタ塗りかスクリーン
トーンかの違いだけなんてこともありますが、3Dでも(意識して変えないと)
同じことが言えると思います。

今日のブログのタイトルは「新キャラ」ですが、このプロトタイプは最終的に
はぜんぜん違う感じになるかもしれません。
でも原形が出来ているとあとあと楽なので。

名前はスイカ!...じゃなくてナナとかユキ。

あと兄がいるというイメージです。


星の王子さま

2007-07-05 17:02:03 | Weblog

今日は【星の王子さま】のことをちょっと書きます。
小説の感想は久しぶりです、2月5日の【忍びの者】(村山知義著)以来!
ここのところずーっと【時空マジシャン】のオープニング・ムービー制作日記
ばかりでしたからね。

私は星の王子さまをこのたび初めて読みました。

『ええー、うそー、信じらんなーい』っていう反応が多いのでしょうか?
それとも『オレも読んだことないけど...』という人もけっこういますかね。
私の場合ただ単に今まで読む機会がなかっただけなんですけど。
それに図書館で借りてこようとか、書店で買おうとかいう気持ちにはなぜか
ならなかったんですよね。

『じゃあ何で今になって読んだわけ?』と問われれば、

今年の4月ごろサンテグジュペリの星の王子さまの原画が1点日本で見つかった
というニュースがありましたが、『へー、そうなのか...』と私の頭に何となく
そのことがインプットされました。

さらに駅で快速電車を待っている時にちょっと駅の書店をのぞいたら、目の前に
星の王子さまの本(文庫、池澤夏樹・訳)があって『読め!』と言わんばかり
だったので『じゃあ読んでみようか』ということになったわけです...たいした
きっかけじゃないですよね。

献辞に(小さな子供だったころの)親友レオン・ウェルトに捧げるとあります。

私も子供の心を失った...かどうかは分かりませんが普段は大人的な考え方で
生きていると思うので、子供心を掘り起こしながら読んでみました。

それにしても語り手である「ぼく」がおかしな声がするので目を覚ますと
いきなり『ヒツジの絵を描いて』と王子さまに頼まれる(ぼくと王子さまの)
初対面のシーンは、かわいいというか魅力的ですねえ。

それからバオバブが成長して巨木になると王子さまの小さな惑星を滅ぼすので
小さな芽のうちにヒツジに食べさせようと考えたり、かわいい発想がたくさん
出てきます。よくそんなこと思いつきますよね、サンテグジュペリは。

でも子供のころは私もそんな突拍子も無いこと考えていたような気もします。

この物語は読みながらあっちこっちで脱線してあれこれ考えてしまいました。

『自分もやっぱり子供のころのみずみずしい感性はなくしちゃったかな...
社会人として生きていくうちにずいぶん鎧もまとったし、バリヤーも張り巡らし
たから何も感じなくなっちゃったかも...よし、鎧を取っ払ってみるか!
などと考えてみたり、
『いやいや、やっぱり裸で歩いてたらあっと言う間に傷だらけだよ。
世の中甘くないからね...』などとつぶやきながら鎧をまとったり。

王子さま曰く『目には見えないんだよ。心の目でさがさないと

『マンガではよくあるよね、視力を失った剣士が絶体絶命のピーンチ!でも心の
目で敵の剣をかわし逆転勝ち、そんなうまくいくわけないよ...いかんいかん、
これは素直じゃないひねくれた大人の感性だ!』などと葛藤してみたり。

そしていよいよラストシーンが近づき緊張感が高まってきます。

王子さまの足元で黄色いものがキラッと光り、やがて彼は音も無くと倒れます。

そして6年の歳月が過ぎ...

このあたりのシーンはやはり子供のころに読んでその時に感じたことと、大人に
なってからもう一度読んでその感じ方の違いを比較したいところでした。

でも子供のころの私はそんなに感受性が強い子供でもなかったので、きっと
明け方、王子さまの身体がなくなっていたのだから自分の惑星に帰ったに決まっているさ』とシンプルに考えていたと思います。

今この本を読んで(このシーンについて)思うことは、人生で避けることが出来ない愛する人との永遠の別れのことです。

やがてその時が訪れたときに、このシーンは所詮子供向けのおとぎ話だったと
色褪せてみえるのでしょうか...

それとも今と同じようにキラキラと星のように輝いているのでしょうか...