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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

石ノ森章太郎・サイボーグ009を作った男

2008-06-30 16:46:04 | Weblog

もう1ヶ月以上前なんですが、5月25日にNHKのETV特集で【石ノ森章太郎・サイボーグ009を作った男】という番組を放送していました。

とても興味深い内容だったので『よし、ブログに書こう!』と決めたのですが、私のブログは絵日記です。今度の週末に何か009っぽい画像を作ろうなどと思っているうちに、なかなか時間がなくてあっという間に1ヶ月...

精神科医の名越康文さんがインタビュワーとして、養老孟司(解剖学者)・姜尚中(政治学者)といった方々と対談しながら萬画家・石ノ森章太郎とその代表作であるサイボーグ009の魅力を読み解くという番組でした。

私などが普段想像もしないような視点で語っておられたので、新鮮な驚きと興味を持って見ることが出来ました。

また、サイボーグ009の数あるエピソードの中でも名作と言われる「地下帝国ヨミ編」をこの番組でも取り上げていたので、昔感動したあの物語を久々に思い出しました。

やっぱり傑作ですねえ。特にラストシーンは昔読んだときもジーンときましたが、今回改めて『なんてすばらしいラストシーンだ!』と思います。

美しいんですよね。夜空の流れ星に「世界に戦争がなくなりますように...世界中の人がなかよく平和にくらせますように」と祈る姉弟、そしてその流れ星は009・ジョーと002・ジェットが悪に立ち向かい犠牲となって燃え尽きていく姿であった...

このシーンに限らず石ノ森氏の萬画表現の美しさとか巧みさは、以前から天才的(もちろん天才なのですが)な切れ味をいろいろな作品上でしばしば感じさせてくれたような気がします。

たとえば主人公の感情・気持ちを顔の表情だけでなく、小道具や自然(植物や天気など)、さらに土地の風物などの比喩で表現したり、時間の経過を同じく自然などを描写することで美しく巧みに描いたシーンに唸らされたりしたものです。

あの漫画の神様・手塚治虫が石ノ森の才能に嫉妬した(ジュンという石ノ森のファンタジー作品を手塚が否定的に批評したという件)というくらいですから、当人にとってはさほど難しいことをしている意識はなかったのでしょうけど。

実はこの番組でちょっと驚かされたことがあります。単に私が知らなかっただけで、もしかしたら石ノ森ファンの間では有名なことだったのかもしれませんが。

それは石ノ森章太郎が本当は小説家か映画監督になりたかったという事実です。

しかも漫画家という職業が一生を懸けるに値する仕事ではないのではと考え悩んでいたとのこと。

この事実には驚かされました。『あの石ノ森章太郎がそんなことを考えていたとは!』と思いました。

石ノ森章太郎という人は、私の中では「漫画を描くために生まれてきた人」というイメージだったからです。

なにしろ少年漫画~少女漫画~成人モノ、そしてお得意のSF~時代劇~ギャグにいたるまでまでありとあらゆるジャンルで描きまくり、その結果【石ノ森章太郎萬画大全集】は500巻770作品にまでおよびギネスブックに認定されているわけですから。

その漫画の申し子がそのような悩みを懐いていたとは思いませんでした。

ただしその当時(石ノ森氏が若かりしころ、たとえばトキワ荘時代)の社会的背景を考えると、理解できるような気もします。なにしろ今でこそ漫画・アニメは日本が世界に誇るべき文化にまでなりましたが、その当時はまだまだ一般的な職業としては認知されていなかったでしょうから。

でもその事実を知ると、先ほど書いた彼の美しい比喩的表現・文学的表現は合点がいきます。

本当は書きたかった小説や撮りたかった映画というメディアの手法を漫画で表現していた...まだまだ社会的には低く見られていた漫画という表現手段を「本当はここまで表現できるすばらしいメディアなんだ!」ともしかしたらうったえていた、もしくは自分自身を納得させていたとさえ思えてきます。

さて、この番組の後半では「天使編・神々との闘い編・2012 009 conclusion GOD'S WAR」というヘビーなテーマの作品に迫っていますが、その感想はまた今度書こうと思います。

神々との闘い編と2012 009 conclusion GOD'S WARは、まだ読んでないので。


※このページを書くにあたり、下記ブログの記事を参考にさせていただきました。おかげ様で忘れかけていた番組内容を鮮明に思い出すことが出来ました。

 そこに魂はあるのか?:■ETV特集 『石ノ森章太郎・サイボーグ009を作った男』。深刻な傷が癒えるとき。




【時空マジシャン】声を入れました(2~3ページ目)

2008-06-21 18:26:36 | Weblog
       →【時空マジシャン】Chapter.2 本編2~3ページ目(声入り)

登場人物の声だけ後で入れることにして制作を進めていましたので、今ようやく声を入れながら完全バージョンに仕上げているところです。

今日は【時空マジシャン】Chapter.2の本編2ページ目と3ページ目を声入り完全版にしてアップロードしました。

Flashを起動して、声のデータを読み込んで、タイムラインに沿ってブルーやくろ太がしゃべる場面がきたら声を再生させる...

それだけのことなんですが実際にやってみると、口の動きが合わなかったり、声の再生が終わる前に次の動きが始まってしまったり、動きをループさせていたためにループしてしゃべり続けてしまったり...それらを修正しているとけっこう時間がかかる作業になってしまいます。

『だから、ダミーの音声を入れとけばよかったんだよ。それを差し替えるだけで済んだのに!』と自分に怒ってみる...

チームで開発するような仕事の場合は、誰が見ても分かるようにまめにコメントを入れたり、後々のことを考えて修正しやすい構造に予め作っておいたりするわけですが、このWebcomicのようなプライベート・プロジェクトになるやいなや私本来の行き当たりばったりな遺伝子がむくむくと目をさますわけです。

そう...もともと私はアバウトな行き当たりばったりな人なんですよね。

それがITという仕事に携わっているおかげで、スケジュールに沿って仕事を進めたり、物事を正確に伝えたり、合理的な考え方をするようになってきました。

でも表面的には変わっても遺伝子までは書き換えられたわけではないので、ちょっと油断をすると効率や正確性・合理性など無視して作業を進める本来の自分が出てくるような気がします。

合理性といえばアメリカ!

最近はアメリカのアニメーション作品というと3DCGアニメが多いですが、やっぱりアメリカ人の合理性にあってるなあと思うんですよね。

たとえば上下の瞼や眉・口元など表情の表現に必要な部分を自由自在に動かせるようにプログラムしておいて、あとはボタン一つ(というわけには行かないでしょうが)でガーッとレンダリング(画像生成)。

極力ポストワーク(画像生成後のレタッチ作業など)をしないですむように徹底的に効率化しているように見受けられます。

ポストワークするにしても画像補正やフィルターなどを膨大な枚数の画をまとめてボタン一つでガーッとやってしまうようなイメージです。

そしてそれによって稼いだ時間をここぞという重要なシーンの制作につぎ込み「おおっ、すばらしい!」という場面が出来上がるんでしょうね、きっと。

ただ私はそういった合理性の追求と創作というものを両立させるのが下手です。一見無駄と思える妄想の中にけっこうおもしろいアイデアが眠っていると思うので、徹底的に無駄を省くという考え方が苦手かもしれません。

アメリカ人は合理性と創造性を割り切って切り替えるのがうまいのでしょうね。



【時空マジシャン】忍者には樹木が良く似合う

2008-06-15 19:36:16 | Weblog
       →【時空マジシャン】Chapter.2のネーム

もう夕方になってしまいました。今日は近くの公園まで写真を撮りに行こうと思っていたのですが...

何を撮るかというと木の皮です。つまり樹皮ですね。CGのテクスチャー(模様、表面の柄などの意味)に使おうと思いまして。

というのは今日のネームにも出てきますが、忍者達が木の陰に隠れたり木から木に飛び移るようなシーンがこれからどんどんでてくる予定なので。

やっぱり忍者と言えば月明かりの下、城の屋根瓦にすっくと立つ黒い影...突如どこからか飛んでくる手裏剣、猫のように身を反転させてそれを間一髪かわしながら「だれだ!」と叫ぶ忍者。

「ククク、それはこちらが聞きたいわい」と城側に雇われている忍者がスーっと影から滲み出すように登場。そして手練の忍者同士による秘術をつくした戦いが始まるのであった。

もしくは森の中、目にも留まらぬ速さで木から木に飛び移る二つの影。

シュッ、シュッ、シュッ、シュッ(十字手裏剣を投げる音)。カッ、カッ、カッ、カッ(手裏剣が木に刺さる音)。枝の反動を利用して隣の木に飛び移って逃げようとする忍者。「逃すか!」とばかりに懐からとりだした分銅つきの縄を投げる追っ手側の忍者...「くそっ!」枝を握ったまま縄が足に巻きつき空中で身動きがとれずにうめく逃げ手側の忍者であった。

というわけで忍者には森と樹木が似合います。

ところが私が背景用に使っているView(ビュー)という景観シミュレーションソフトはおかげさまで山や樹木をすばやく作ってくれるのですが、木肌にズームインすると『?...なんか違う!?』となってしまうのです。

樹皮が日本の木っぽくないというか、忍者に似合わない感じなんですよね...なんとなく。

そんなわけで近所の樹木が生い茂っている公園に樹皮の撮影に行こうと思っていたわけです。でももう薄暗くなってきてしまった...また今度にしよう。

それにしても時空マジシャンの舞台となっているこの時代(天正時代)、忍者が活躍していた時代は、樹木もあまり伐採されていないでしょうから樹齢数百年~数千年のぶっとい巨木がたくさんあったのでしょうね。

でも精霊が宿ったような巨木や古木を見ても忍者達は「おお、何とすばらしい古木よのう...」などとは感じなかったでしょうね。

それとも少しはそういった古木を聖なるものとして感じたりしたのでしょうか。





【時空マジシャン】やっと兄妹忍者登場

2008-06-08 15:49:55 | Weblog
       →【時空マジシャン】Chapter.2 本編12ページ目

オープニング・ムービーの占い師は別にすると、ここまでの登場人物はブルー・すずめ・くろ太の二人と一匹でしたが、ようやく新たなキャラが登場しました。

このブログでも制作過程をけっこう細かく書いてきた兄妹忍者のゲンとアヤです。

『もうじき兄妹のキャラを登場させる予定です』とブログに書いてからずいぶん時間がかかってしまって、新たなキャラを登場させるたびにこの調子ではたまらないっすね。

なんかすばやく創る方法を考えねば...

大空を巨大鳥が悠々と飛翔し、向こうには山の峰々、そして手前の樹上には忍者ゲンとアヤが...という広々としたページにしたかったのですが、何か狭っ苦しいですねえ。

人物を小さくすれば広さは表現できるかもしれないですが、それじゃ迫力がなくなるし。やっぱりこういうページは見開きでいきたいものです。

巨大鳥はゆっくり発光する階層と羽ばたく階層、それから画面左から右に移動する階層のムービークリップによる3階層構造にしたにもかかわらず、なんともチープなアニメになってしまいました、ガックリ。

以前『私はチープな表現がけっこう好きで...』というようなことを書いた覚えがあるんですが、チープにも「良いチープ」と「悪いチープ」がありますよね。

この巨大鳥の飛翔シーンはもちろん「悪いチープ」。

今、ブログを書きながらもう一度このページを見直してみてようやく気づきました、なぜ巨大鳥の飛翔シーンが「悪いチープ」なのかが...

巨大鳥の翼がぜんぜんしなってないんですよね。まるでウチワをパタパタさせてるみたいな感じ。

『そうだったのか...ぜんぜん気づかなかった』改めてガックリ。

ゲンが木に飛び移ったときの枝のしなりはけっこううまくいったんですが...

『なんじゃありゃー!』とびっくりして顔をひきつらせるゲン。

一方『鳥でしょ』と能天気なアヤ。

さあ、この兄妹忍者はどうなるのでしょうか?