上の画像は、前回
ストーリーボード用としてお見せした鉛筆画を本編用にレンダリングしたものです。
真正面から描くつもりでしたが、どうも別人のようになってしまい、【ナナのかぼちゃパン】の冒頭で出てきたお客のおねえちゃんだと気付いてもらえないといけないので、横向き画像にしました。
セル画調にしているつもりですが、何かあまりその効果が出ていなくて中途半端な感じ。自分の中では、これからもっとセル画調を強める方向性になりつつあります。いや、もしかしたらセル画調を通り越して手描き調にどんどん崩していくような予感が...( ̄∇ ̄;)。問題はそのやり方ですが。
もともと自分はコラージュのような手法が好きで、2DCGとか3DCGの長所を取り入れつつ、さらに写真や物質素材そのものを取り込んで合成するようなことも時々やります。
最終的に出来上がった画像が魅力的であれば、どのCGツールを使おうがポストワークをばんばんやって3D空間を歪めようとも、制作過程が合理的でなくても、それらにとらわれることはあまりありません。
「CGツールにとらわれることはない」と偉そうに言ってますが、それはつい最近のことで、昔はおもいっきりとらわれて振り回されてました。
今でも思い出すのは、「C-TRACE」という自分が3番目に使ったCGツールのことです。当時、NECのPC-9801RXというパソコンとフロッピーディスクでCGをやってました(・ ・;)。
「C-TRACE」はレイトレーシングの3DCGソフトで、きれいなレンダリングをしてくれるツールでしたけど、いかんせん演算が遅かった。まあそれはCPUのせいですけどね。コプロセッサという浮動小数点演算装置を挿してましたけど、1ピクセルごとにプチ......プチ......プチ......プチ......プチ......という感じでモニターに描画するんですよね。
夜、寝る前にレンダリング開始して、プチ......プチ......っと画像が描かれていくのを見ながらベッドにもぐり込む。そして朝起きてわくわく期待しながらモニターをのぞくと、『まだ半分しかできてない...ガクッ』という感じでしたね。
その激遅なレンダリング速度を数倍の速さにしてくれる「トランスピュータ」というボードが売られていました。いかにも速そうな名前でしょ?
『これだ!これさえあれば何だって描ける!!人生が変わる!!!』と思ったものでした。
でもとても高価なものだったので、当時の自分の稼ぎでは手がでなかったんですよね。今思えば買わなくて良かったんですが、トランスピュータ。
そうなんですよ、そのころからかなぁ、『このツールさえあれば...』というふうに振り回されるようになったのは。このハードウェアさえ使えれば、このソフトウェアさえ手に入れば、自分の作品がすばらしいものに生まれ変わるかのように思ってしまってたんですね。ツールはあくまでも自分の能力を補助する道具に過ぎないのに。
でも実際、画質をあまり落とさずにファイルサイズを劇的に圧縮してくれる優れものの圧縮ツールがなければ、自分の仕事は成り立たなかったわけです。
また、「Macro Mind Director」というオーサリングソフトに出会ったおかげで、自分の感性を生かしたCD-ROMコンテンツなどを作ることもできました。
ですから優れたツールとの出会いが仕事を支えていたのも事実です。とは言うものの、ツールに振り回され何か大事なものを見失っては本末転倒なわけで、やはりその当時なにか狂っている時期がありましたね、うん。
でも、でも、『あの鬼のように高性能なワークステーションと、セットで販売されているモデラーとレンダラーさえあれば...』と夢みた日もありました。
そうそう、プリミティブの組み合わせでしかモデリングができなかった自分にとって、人体のような自由曲面体が作れるメタボールとか、うらやましかったんですよね。メタエディターのサイバーな画面が頭に焼き付いて離れなかったものです。
実際、高機能高価格なワークステーションと最先端のCGツールでしか表現できなかった画像・映像で仕事をし、その利益をさらに先端の機材とCGツールにつぎ込む、というやり方で仕事をしていたクリエイターの方もいたようです。
もし自分が清水の舞台から飛び降りるつもりで大借金をして、最先端の機材を導入していたとしても、思ったような作品は作れなかったでしょうね。きっと灰のように燃え尽きて終わっていたと思います。
話を戻して、そういったツールの呪縛にとらわれなくなったのはそう昔のことではないというわけです。昔のスーパーコンピュータを凌駕するPCが低価格で売られ、人間のような複雑な形状もモデリングできるCGツールも安価で手に入れられるようになったし、CGの達人でなくても楽しめるPoserのようなソフトも現れました。
だからもう『あのツールさえ手に入れば...』とか振り回される必要もなくなり、後は作るだけ。
自分もあの当時燃え尽きていたら、たぶん創作意欲も枯渇してしまい、今こうやって自分に最も適した制作スタイルも模索することもなかったでしょうね。
そういえば、先ほど自分が3番目に使ったCGツールが「C-TRACE」と書きました。ちなみに1番目は、「FMグラフィックエディタ」。2番目は「スーパータブロー」というソフトです。
いや~、いろいろ想い出してきましたよ。そういえば、その当時職場では「Z's STAFF KID98」というグラフィックソフトを使用してました。う~ん、懐かしい。懐かし過ぎてくらくら眩暈がしてきた。
今日は、コラージュ的な電子コミックの描き方について書くつもりだったんですが、「C-TRACE」あたりからどんどん話が逸れてしまいました。
なぜか古い記憶に結び付いている脳神経が急に太くなったような(´^ω^`)。
いや~、長々と書いてしまった。