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動画・音声・インタラクティブ性などで織り成す新スタイルのマンガ制作日記

ポストワーク(iBooks Author制作日記16)

2012-11-30 20:32:50 | iPad版制作日記

「う~ん、ステキな焼き上がり!」焼きたてのかぼちゃパンに惚れ惚れするナナ。

前回のブログでお見せした手描きの画像はストーリーボード用で、今回の画像は3DCGをベースにポストワークを施した本編用です。

ポストワークは、レンダリング画像に「Photoshop」などのレタッチソフトで修正を加える作業ですが、さらにその後「Clip Studio」というペンタブ用ペイントソフトで手描きで自分好みのマンガタッチに仕上げているので、元画像のCGっぽさはほとんど飛んでしまっています。

素朴なマルチタッチコミック【ナナのかぼちゃパン】には、CGっぽさは似合いません。一番最初にこのマンガのアイデアを考えたとき、頭に想い描いた絵本的なイメージに上の画はかなり近くなってきましたv(。・・。)v。

でもこの後アニメで動かすことを考えると、画像処理や手描きの修正は一枚一枚手を加えなければならないので、けっこう厳しいんですよね。特に手描きの部分が。

全画面・全画像を一律に色味や明度を変えるのであれば機械的にやってしまえるんですけど、一枚一枚・一部分一部分を自分の頭にあるイメージに近づける作業なので大変です。

合理的なアメリカの制作スタジオでは、こんなやり方考えもしないんだろうなきっと。実際は知らんですが...けっこうやってたりして(* ̄∇ ̄*)。いやいや、やっぱりないない。

ていうか、レンダリング画像に手描きで修正なんてありえないでしょうね。アニメーション作品の大量な画像を何らかの理由で修正しなければならない場合、プログラムを組んでがーっと一気に全部修正してしまうか、それが不可であればレンダリングし直すんでしょうね...私が思うアメリカ人思考では、きっと。

そもそも彼ら(アメリカの制作スタジオ)にとってポストワーク自体ありなんだろうか???

私が思うに、あるパートをまかされたCGアーティストが、レンダリング画像をペイントツールを使ってシコシコと手直しするという状況はどうも想像し難いんですよね。仮にどんなに上手に修正できたとしても。

もし彼らがポストワークをやるとしたら、どの箇所に、何のフィルターを使用して、数値レベルの設定はいくつで、といった修正履歴をきちんと残し、再現性や再利用性をしっかりと確保する、というのが私が考えるアメリカ人思考です。

う~ん、何か書いているうちに変に脱線してきてしまいました。それにブログの読者は、「アメリカの制作スタジオの現場はこうやっている!」という情報がほしいと思うのに、私の変な想像ですみません「(^-^;)。

日本の制作現場でも「ポストワークありかなしか」の議論はあるわけですが、私は「あり派」です。

もちろんモデリングデータとマッピングデータで、リアルタイムにレンダリングしていくようなゲームなどの場合は別ですけど。

私はこのブログでもしばしば「3DCGのキャラに血を通わせる」という言い方を使ってきました。レンダリング画像を、明度・彩度を調節したり、眉・目元・口元などをいじって表情を誇張したり、場合によっては別にレンダリングした画像を合成したりもします。

そうやってポストワークでいじっているうちに、本当にキャラに血が通ってくる瞬間があるんですね。

私にとってCGは、キャラに血が通っているか否かが最も重要な要素なので、「あり派」なのです。

「レンダリング後の画像に一切手を入れない」というこだわり派の気持ちが理解できないわけではありませんが、上記の理由のほうが自分にとっては重要なので。

さて今年もあと1ヶ月、オ━(゜Д゜;)━マイガー!

【ナナのかぼちゃパン】、年内完成は厳しくなってきました。







マンガの近未来(iBooks Author制作日記15)

2012-11-22 20:03:20 | iPad版制作日記

iBooks Authorで作るマルチタッチコミック【ナナのかぼちゃパン】の制作日記も15回目になりました。

短編なのにこんなに時間がかかるのは、各ページの画面をタッチするとウィジェットが起動してアニメが始まるという仕掛けなので、やはりそれなりに制作時間がかかってしまいます。とくに凝っているつもりはないんですが。

でもこの作品を完成することができれば、iPad版の電子コミック制作ノウハウが自分なりに確立するので、ひとくぎり付けることができます。

iPad版が完成したら、次はAmazonのKindle Fire版にしようかな。そしてその次は...いやいや先のことより現在のこのiPad版に集中しなくては。まだまだつまずく可能性はありそうなので。

と言いながら今回のブログのタイトルは「マンガの近未来」。ちょっと先のことです。

「マンガの近未来」なんてタイトルは大げさですが、先日ベッドの中でなかなか寝付けずにごろごろ寝返りを打ちながらちょっと考えただけのことです。いつもはベッドに倒れこむとバタングーなんですけどね。

出版不況の中、マンガ雑誌やコミックスの売り上げも年々右肩下がり。一方、ついにAmazonが日本の電子書籍市場に参入して、本格的に電子書籍時代の幕開けか...という状況です。

マンガの売り上げが落ちているのは、出版不況が原因というだけではなく、昔と違ってゲームや携帯・スマホなどマンガ意外の楽しいものにお小遣いを奪われているというのも大きいと思いますけど。

日本が世界に誇るマンガ文化も時代の大きな変化の中で、今後どのように変わっていくのだろうか、ということを寝返りを打ちながら考えてみました。

まずマンガ家への道・コースが変わってくるのかもしれませんね。

マンガ賞受賞 → 商業誌デビュー → 担当編集者と共に雑誌連載を目指す、という従来の王道から、個人(もしくはグループ)で描いた作品をいきなりネット上の電子書籍ストアで販売、というコースに変わるんでしょうか。

今は、マンガ専門学校とか大学のマンガ学部なんてある時代ですが、マンガ家を目指している若い人達はどういったコースを考えているんでしょうね。

それから、マンガの描き方がデジタルになる。

もうすでにペンタブレットで直接デジタルデータとして描いている人はけっこう多いと思います。紙にペンと黒インク派、ペンタブ派の割合的なものは私にはぜんぜん分かりませんけど。

すんなりとデジタルに移行できる人と、なかなか馴染めない人がいるでしょうね。自分は後者でした。というか他の人よりかなり早くペンタブに取り組んだんですけど、初期のペンタブがかなり使いにくくてすぐに断念してしまいました。

『ペンタブは使えん!』と自分で決め付けてしまい、その分ずいぶん後れてしまったんですよね。それにデジタルコミックへのアプローチが、紙に描くマンガをそのままデジタルに持ってくるというのではなく、3DCGやアニメ・音声・プログラムといった要素を取り入れたいと思ったので、ペンタブが絶対必要というわけではありませんでした。

その分さらにペンタブ導入が後れました。まぁ今も使いこなしてるとまでは言えませんけど。

寝返りを打ちながら、電子コミック時代の近未来をさらに想像してみました。

もしPCで描いた電子コミックを電子書籍ストア上にアップするだけ、という時代になったとしたら編集者の役割、資質、求められるものが現在とは当然違ってくるでしょう。

マンガ家も世界のマンガ好きの読者を意識して描くようになるし、文化的な違いも考慮しなければなりません。バトルなどの暴力的な表現やエロはどの程度までOKなのかとか。

そうなると語学も含め、そういった面からマンガ家にアドバイスをしサポートできる編集者が求められるし人気がでるでしょうね。世界で売れるマンガとはどういうものかを的確にアドバイスできる編集者は、音楽のアレンジャーのように何人ものマンガ家を担当するひっぱりだこになるかもしれません。

今まで日本の国内では、さまざまなジャンルの人気マンガが生み出されてきました。スポコン、学園もの、ギャグ、時代&歴史もの、SFファンタジー、恋愛&ラブコメ、動物もの、ホラー、探偵&ハードボイルド、ギャンブル、グルメ、音楽もの、RPGもの、魔法使い、旅行もの、ヤンキーもの、ドキュメンタリー、釣り、恐竜、極道、不条理、そして囲碁&将棋、書道...思いついたままでジャンル分けになってないかも(o^皿^o)ゞ。

世界の読者をターゲットにして、今後どのようなジャンルが人気がでるのであろうか...

先ほどの暴力とエロ表現がかなり厳しく制限されると考えると、マンガのおもしろさの追求もずいぶん様変わりするかもしれませんね。

マンガは日本のクール・コンテンツなんて言われてますが、これからグローバルな電子コミック時代になったとき、マンガ大国の座を維持できるか...

たとえば韓国は、自国の文化を世界に発信する意識が非常に高いです。Kポップや韓流ドラマの売り込みをはじめとして、キムチを世界遺産にしようとするなどさかんと活動しています。

また中国では、いつのまにかアニメの制作量が世界一だとか...クオリティではまだまだ日本に及ばないと思いますが、力の入れようが半端じゃないのでいつ大化けしないともかぎらない。

そう、これからグローバルな電子コミックの時代を迎えたときに、これらの国からヒット作が出てしまうと日本がマンガ大国だったのは過去のこと、なんて話になりかねんと心配なわけであります。

はたして日本のマンガの未来を担う人材は、グローバルを向いているであろうか。

というあたりで一睡もできず睡眠時間は終了。

う~む、最後のほうが暗くなってきてしまった(´・ω・`)。





焼きたてかぼちゃパン(iBooks Author制作日記14)

2012-11-15 19:40:47 | iPad版制作日記

上の画像は、かぼちゃパンが焼けて、蓋を開けると湯気がちょっと立ち上がったところです。

実際は、ホームベーカリーの蓋を開けても眼に見えるほど湯気が立つわけではないんですけど、焼きたての美味しそうな雰囲気を出すために微かに湯気をたててみました。

ところがその湯気がどうも良い感じに立たないんですよね(^^;)。

フォトショップで湯気の画像を作成して、Flash上で蓋を開けたときに縮めておいたその画像を、アルファ値を変化させつつ拡大してフワッと立ちのぼらせるんですけど。粉っぽい煙というか、どうもいまいちわざとらしい感じになってしまいました。

それから、前回のブログでナナがかぼちゃパンを頭上に持ち上げている俯瞰の画像を掲載しましたが、その周りに集中線を配置しました。こちらはけっこう良い感じで満足な出来。

集中線とは、マンガのコマの端から中心に向かってシュッシュッと勢い良く放射状に引いた線です。登場人物が「ハッ」としたときとか、迫力を出すときなどに多用されます。

【ナナのかぼちゃパン】の場合は、普通にペンで引いたような鋭い線は似合わないと思ったので、もう少し太くて雑な線にしてみました。

その線をFlashのタイムライン上で5フレーム置きに配置したところ、ナナの「かぼちゃパン完成~!!」のシーンにインパクトを与えることができました。余裕があれば複数の集中線を用意して、ランダムに表示したいところですが、1パターンの集中線でもまぁなんとか...大丈夫そうです。

パン焼き機の蓋を開けたときフワッと立ちのぼる湯気や、画面に迫力を出す動きのある集中線など、電子コミックならではの表現力にはこだわりたい、いやこだわらないといけないと思ってます。

以前このブログのどこかで書いたと思うんですが、職場でマルチメディアコンテンツの企画を話し合っていた時か何かの時に、コンテンツ内のキャラとかオブジェクトの動きについてスタッフの一人が言いました。

「ちょろっと動くのって、あんまりおもしろくないよね」と。

つまりアニメのように本格的に動くんじゃなくて、中途半端にちょろっと動くのは、むしろつまらないというわけです。この指摘はいつも私の頭の片隅に残っていて、制作中に何かを動かそうとするとき、この動きは意味があるだろうか、魅力的な動きになっているであろうか、ということをいつも考えさせてくれます。

それから焼きたてパンの「チリ、チリ、...パチッ」という微かな音。めったに聴けないし、ほとんど聴こえないけど美味しそうな音ですよね。

このマンガではかぼちゃパンが重要なアイテムなので、少しでも美味しそうな雰囲気を出すためにこの効果音を付加したいところです。でも録音できないし、代わりの音が見つかるまで保留中。

駅の近くのパン屋から漂ってくる小麦粉・イースト菌・バターなどが焼けるときの香ばしい香り。

あれが再現できれば最高なんですけどね(* ̄∇ ̄*)b。



うつ気分の対処法(iBooks Author制作日記13)

2012-11-07 19:33:08 | iPad版制作日記

iBooks Authorで作るマルチタッチコミック【ナナのかぼちゃパン】5ページ目を制作中です。

ナナはパン製作の秘密基地で、かぼちゃパンを焼いています。秘密基地といっても、ナナの親が経営する「青葉の森ベーカリー」のロフトというか屋根裏部屋にホームベーカリー(家庭用パン焼き機)と材料を持ち込んで、密かに焼いています。(親は知らないふりしてるだけ(=^▽^=)b)

お店でその成果を確認したナナは、さっそく秘密基地に戻って次のかぼちゃパンを製作中。

上の画像は、「これがあたしのかぼちゃパンだー!」とばかりに焼きあがったかぼちゃパンを両手で高々と掲げているところ。

ナナの顔や腕のあたりに赤鉛筆で描いたような線が見えます。ペンタブで描きました。

自分の基本的な手描きの画法は、鉛筆などで描いた線画に透明水彩でハイライト部分を抜いて肌色を塗ります。そしてさらに赤茶色やブルーグレーで薄く影を重ねるといった手法です。

そのとき線画の段階で赤で描くと人物などの場合、血の気が感じられるので好んで赤いラインを良く使います。

今回は、その手法を用いてCGと手描きの融合を試してみました。まだ恐る恐る描いている感じですが、けっこう自分がイメージする【ナナのかぼちゃパン】のタッチに又少し近づいたかなと。あと一歩ですかね。

ところで、『さて、マルチタッチコミックの制作にとりかかるか...』とPCの前に座っても、うつ気分でぼーっとしてやる気がおきないときが時々あります。

特に私の場合、夕食後に一眠りして、夜中に起き出して朝まで描くという生活パターンですが、一眠りから目覚めた直後にそのような気分に陥りやすいんですよね。

どのような気分かというと、『ぜんぜんダメじゃん...こんなの駄作だよ..』とか『オレッて駄目なヤツ...どうなってんの?』みたいな(_ _|||)ドヨーン。

そんなときの私なりの対処法は、次の三つです。

 1.ツボを刺激する

  まず手の指先にある「十宣(じゅっせん)」というツボを刺激。じんわりとホルモンバランスと自律神経が整ってくる感じ。

  次に、有名な足のツボ「三里(さんり)」をグッと押して、足の血の巡りを良くする。

  最後に、首の後ろの髪の生え際に横に並んでいる三つのツボ「天柱(てんちゅう)」、「風池(ふうち)」、「完骨(かんこつ)」を親指でグッグッと指圧する。ぼーっとしていた頭に血流が駆け巡り、眼が覚める感じ。

軽いうつ気分のときは、これでOK!『よし、やるか!』って気分になります。

でも、ツボ刺激ではぼーっとした気分から抜け出せないときは、次の手を打ちます。

 2.運動をする

  私の場合は真夜中なので、外で運動をする気にはなりません。なので部屋の中で、まず軽いスクワットを50回(腰を深く落とさないで、軽く膝を曲げる程度)。これで身体の中の一番大きな筋肉である大腿筋を活性化。

  次に、普通の腹筋運動を20回ほど。そして、最後に腕立て伏せを10回(少ない(^^;ゞ)。

  これで、腿・腹・胸の三箇所の大きな筋肉が活性化して、身体全体がポカポカしてきます。『あーっ、良い気分!さあ、仕事するぞー!』って気分になります。

でもね、これでもダメなときってあるんですよね。身体が疲れただけで、気持ちの落ち込みはそのままというときが。そんなときは最後の手段。

 3.とにかくやる

  やる気がなかろうが気分が落ち込んでいようが、とにかく制作する。うつ気分で滅入っていてぜんぜんやる気がしないわけです。それでもとにかくやる。そんなときは上手く描けるわけもないし、捗るわけもない。でも出来が悪いにしろ、ほんのわずかながらでも仕事が進みます。

  そうすると、そのわずかな進捗がうつ気分を少し払拭してくれます。でもまだ気分が回復したわけではないので、つらい状態を脱したわけではありませんが、我慢して続けます。やがて良いイメージが徐々に湧いてきて、それに伴って出来が良くなってきます。そしていつしか気が付くと楽しい気分になっていたりします。

3番目の「とにかくやる」は、ついついWebでニュースを見たり、YouTubeに逃げてしまい、「とにかくやる」と言いながらなかなか出来ないんですけど、とにかくやった結果、仕事も進み楽しい気分になったときは、爽快ですo(^▽^o)♪。

PCワークを長く続けているとうつ気分はつき物だと思うので、いろいろな対処法で乗り越えないとね。

そうそうそういえば、東洋経済オンラインのニュースに、「アップルは電子書籍ストアiBooks(アイブックス)の年内日本開設に向け、出版社との契約に奔走中」と書かれていました。

アップルは、日本でのiBookstoreの運営に積極的ではないような雰囲気だったので、私の期待はしぼみかけていましたが...そうですか、奔走中ですか。

いや~、こういうニュースはうつ気分を吹き飛ばしてくれますね(=^▽^=)。