さて、久々の強敵だった第196回は、
タイトル:エバ・ルーナ
著者:イサベル・アジェンデ
出版社:国書刊行会
であります。
以前紹介した『エバ・ルーナのお話』の姉妹編、というか本編。
他者に翻弄されつつ、物語を作ることに目覚めていくエバの姿を描いています。
彼女の名はエバ・ルーナ。
エバは生命、ルーナは月を意味する。
インディオの父はエバが生まれる前に立ち去った、その行方は誰も知らない。
孤児だった母はエバが六歳の時に死んだ、料理女が彼女を引き取った。
エバは女中として様々な家に仕えるが、諸事情で長続きしない。
耐えきれなくなったある日、彼女はたった一人で町へと飛び出す。
エバの才はたった一つ、物語を紡ぎ出すことだけ。
しかしそれが、彼女と人々をつなぐ唯一の絆だった。
独裁者に支配された国でエバは生きる。
あたかも、その名を象徴するかのように……。
主人公エバ・ルーナは不思議なキャラクターです。
彼女は安住の地に着くまであっちこっちを転々としますが、陰鬱さがまるでない。
かといって、何があってもどうにかなるさと達観している楽天家でもありません。
彼女は夢想家です。
一つの言葉から、一枚の絵から、一人の人物から発想を得て、物語を構築します。
そして、それを語って聞かせることをコミュニケーションの手段としている。
もちろん、彼女の物語が心に届かない人々も多数います。
言葉によって作られた関係が物理的なもので破壊されることも多々あります。
自然、彼女はそれから逃げること、立ち向かうことの両方を覚えていきます。
中盤で非常に親切な人(私のお気に入り)に拾われるのですが、その時も、「嫌だったら一ヶ月で逃げます」と言い切ったりしている。
空想家で反骨心の塊という不思議な人物、エバ・ルーナ。
そんな彼女を取り巻く環境はリアリズムに満ちています。
感情に流されやすい彼女を支える人々の言葉は非常に重く、現実的です。
人物および政情不安な国の描写が見事で、物語をがっしりと支えています。
ただし、日本人の肌には合わないかも……ピンとこない人は多分沢山いる。
ステレオタイプなキャラクターに食傷気味な方にオススメ。
サブキャラおよびそれにまつわる話が非常に多彩で、読ませます。
カメラマン、移民者、娼婦、軍人、政治家、ゲリラ、両性具有の天使(笑)等々、主人公であるエバを忘れてしまうぐらいバリエーションがあります。
いったい何人ストックしてるんだか……。
ハードカバー、字ぎっしり、入手困難となかなか手強い相手。
読む場合は気合い入れましょう、半端な気持ちだと挫折します。
ちなみに『エバ・ルーナの物語』、先に読んで正解でした、私は。
読み進めていく過程で、聞いたことのある名前や地名がちらほら出てくるのが楽しかったので(笑)。
タイトル:エバ・ルーナ
著者:イサベル・アジェンデ
出版社:国書刊行会
であります。
以前紹介した『エバ・ルーナのお話』の姉妹編、というか本編。
他者に翻弄されつつ、物語を作ることに目覚めていくエバの姿を描いています。
彼女の名はエバ・ルーナ。
エバは生命、ルーナは月を意味する。
インディオの父はエバが生まれる前に立ち去った、その行方は誰も知らない。
孤児だった母はエバが六歳の時に死んだ、料理女が彼女を引き取った。
エバは女中として様々な家に仕えるが、諸事情で長続きしない。
耐えきれなくなったある日、彼女はたった一人で町へと飛び出す。
エバの才はたった一つ、物語を紡ぎ出すことだけ。
しかしそれが、彼女と人々をつなぐ唯一の絆だった。
独裁者に支配された国でエバは生きる。
あたかも、その名を象徴するかのように……。
主人公エバ・ルーナは不思議なキャラクターです。
彼女は安住の地に着くまであっちこっちを転々としますが、陰鬱さがまるでない。
かといって、何があってもどうにかなるさと達観している楽天家でもありません。
彼女は夢想家です。
一つの言葉から、一枚の絵から、一人の人物から発想を得て、物語を構築します。
そして、それを語って聞かせることをコミュニケーションの手段としている。
もちろん、彼女の物語が心に届かない人々も多数います。
言葉によって作られた関係が物理的なもので破壊されることも多々あります。
自然、彼女はそれから逃げること、立ち向かうことの両方を覚えていきます。
中盤で非常に親切な人(私のお気に入り)に拾われるのですが、その時も、「嫌だったら一ヶ月で逃げます」と言い切ったりしている。
空想家で反骨心の塊という不思議な人物、エバ・ルーナ。
そんな彼女を取り巻く環境はリアリズムに満ちています。
感情に流されやすい彼女を支える人々の言葉は非常に重く、現実的です。
人物および政情不安な国の描写が見事で、物語をがっしりと支えています。
ただし、日本人の肌には合わないかも……ピンとこない人は多分沢山いる。
ステレオタイプなキャラクターに食傷気味な方にオススメ。
サブキャラおよびそれにまつわる話が非常に多彩で、読ませます。
カメラマン、移民者、娼婦、軍人、政治家、ゲリラ、両性具有の天使(笑)等々、主人公であるエバを忘れてしまうぐらいバリエーションがあります。
いったい何人ストックしてるんだか……。
ハードカバー、字ぎっしり、入手困難となかなか手強い相手。
読む場合は気合い入れましょう、半端な気持ちだと挫折します。
ちなみに『エバ・ルーナの物語』、先に読んで正解でした、私は。
読み進めていく過程で、聞いたことのある名前や地名がちらほら出てくるのが楽しかったので(笑)。
誰がおやっさんなのかと。
そうか、非常に親切な人がお気に入りなのですね。
私はエバのおばあさん代わりのエルビーラがお気に入りです。
どうも、エバの無謀なところを面白がっていた節がある。
そんなお茶目なところが好きです。
力石が誰なのかを考えてはいけない。(笑)
ええ、お父さん役の彼がお気に入りです。
後は天使ともちろん、エルビーラ。
彼女はさりげなく凄いひとですよ。
×に入ってぷかぷか流れてきた時、一発で解りました。ああ、やはりあっさり記憶の中に消えてく人じゃなかったなーと。(笑)
彼の奥さんも、なかなかいい味だしてますよね。
私は『エバ・ルーナのお話』のほうがまだなので、早くそっちも読みたいです。
というか最近気付いたのですが。
ロルフ・カルレの名前は、ロバート・キャパのもじりですかね。
戦場カメラマンといったら、キャパが有名ですし。
アグア・サンタの人々は味があって面白かったです。
『エバ・ルーナ』を読んだなら、『~お話』の方もオススメです。この二つはセットですね、私の中では。
ロバート・キャパ!
それは思い付かなかった。
そういえば、彼はハンガリー→ドイツ→フランス→アメリカとあちこちを転々とした人でしたね。
キャラが立っている人ばかりなので、元ネタ探しをするのはなかなか楽しそうです。
エバは何不自由ない環境で蝶よ花よと育てられた訳じゃないんですからねぇ。
親切そうな男が娼館の黒服じゃないという保証はない国ですから、むしろあっさり信じる方が先行き心配です。(笑)