さて、標語じゃないぞの第738回は、
タイトル:中国大盗伝
著者:駒田信二
出版社:筑摩書房 ちくま文庫(初版:H12 前初版:S51)
であります。
古っ!(笑)
単行本で出てるかもと思ってぱらぱらめくってたら、76年刊行のを再編集、ってあったから思わず……。
さておき、本書はタイトルどおり、中国もので、「盗」の文字が入っているとおり、中国の歴史などに登場する、何らかのものを「盗」んだ人物を、史実などをもとにして描いた短編集。
では、6話それぞれに。
「襤褸と錦――陳勝・呉広(秦)」
秦の始皇帝の時代、徴収された農民兵の班長である陳勝と呉広と言うふたりを中心にした物語で、任地へ赴く際に叛乱を起こし、圧政に苦しんでいた集団を取り込みながら進軍、ついに陳勝は王を名乗り、大楚を樹立する。
しかし、王となった陳勝は次第に叛乱のときの心を忘れるとともに、破竹の勢いをなくした軍は敗戦を繰り返すようになり、大楚はたった6ヶ月の幕を閉じる。
タイトルそのままの物語で、襤褸……日本語読みをすれば「ぼろ」を着た農民兵から錦をきらめかせる王にのし上がり、滅んだ国と陳勝の姿を描いたもの。
こうした時代らしい栄枯盛衰の物語。
「鼓腹の雑胡――安禄山(唐)」
安史の乱で有名な安禄山の物語で、その生誕から、いわゆる交易の仲介人を経て、張守珪のもとである部隊の小隊長になる。
そこから軍功を立て、唐の玄宗に取り入り、出世を遂げた後、乱を起こして皇帝を名乗り、息子に殺されるまでの障害を描いている。
歴史の教科書からでは絶対に知り得ない安禄山の姿というものを知ることが出来る作品。
「床下の義賊――無名氏(唐)」
これは名も残っていないある義賊の物語だが、その義賊が出てくるのはかなり後。
房徳は、学問を志し、試験を受けるも毎回落ちてばかり。女房にはつらく当たられている毎日だったが、ひょんなことから盗賊たちの頭目にさせられる。
だが、これは盗賊たちが逃げるための生け贄のようなもので、案の定捕まるが、そのときの役人李勉のおかげで逃げることが出来る。
その後、いわゆる県知事になった房徳は、命の恩人である李勉に出会い、妻の諫言に乗せられ、李勉の命をある者に狙わせるが……。
「黄金の蝶――無名氏(唐)」
まるで本物のように動く細工物を作る馬句田と言う人物の物語。
唐の代宗の時代、その細工物で近く侍ることを許された馬句田は、その細工の腕をもって宝物庫にある黄金をすべて蝶に変えてしまい、逃げ出す。
また、富裕な家の息子に取り入り、おなじようにその財産を蝶に変えてしまう話の二本立て。
「美女と崑崙奴――朱全忠(唐)」
唐の昭宣帝から禅譲を受け梁を建国した朱全忠の物語。
……だが、国をどうこうする話ではなく、その前の盗賊時代の話で、ある宦官の下僕となり、美女姉妹を利用して、その宦官の財産をくすねるのが中心の話。
「韓夫人の神様――孫神通(宋)」
皇帝の寵愛を失い、太尉夫妻のもとで養生することとなった韓夫人は病気の快癒に霊験あらたかだった二郎神の姿をした男と出会い、その男……道士孫神通とともに逃げる物語。
中国ものや、歴史ものに興味がなければ、まったくおもしろみのない短編集のような気がする。
ただ、そうでなくても、歴史の教科書には出てこない史実と知識に裏打ちされた、こうした裏話みたいな感じに読むにはいいんじゃないかなとは思うけどね。
物語として読むよりも、こうした読み方のほうがおもしろかったけど。
しかし、漢字のルビの少なさ……特に名前とか地名とかの名詞がつらいところはある。
まぁ、それでも短編だから手軽だし、借りるには適(爆)
……買えよ! と言う突っ込みは受け付けません(笑)
タイトル:中国大盗伝
著者:駒田信二
出版社:筑摩書房 ちくま文庫(初版:H12 前初版:S51)
であります。
古っ!(笑)
単行本で出てるかもと思ってぱらぱらめくってたら、76年刊行のを再編集、ってあったから思わず……。
さておき、本書はタイトルどおり、中国もので、「盗」の文字が入っているとおり、中国の歴史などに登場する、何らかのものを「盗」んだ人物を、史実などをもとにして描いた短編集。
では、6話それぞれに。
「襤褸と錦――陳勝・呉広(秦)」
秦の始皇帝の時代、徴収された農民兵の班長である陳勝と呉広と言うふたりを中心にした物語で、任地へ赴く際に叛乱を起こし、圧政に苦しんでいた集団を取り込みながら進軍、ついに陳勝は王を名乗り、大楚を樹立する。
しかし、王となった陳勝は次第に叛乱のときの心を忘れるとともに、破竹の勢いをなくした軍は敗戦を繰り返すようになり、大楚はたった6ヶ月の幕を閉じる。
タイトルそのままの物語で、襤褸……日本語読みをすれば「ぼろ」を着た農民兵から錦をきらめかせる王にのし上がり、滅んだ国と陳勝の姿を描いたもの。
こうした時代らしい栄枯盛衰の物語。
「鼓腹の雑胡――安禄山(唐)」
安史の乱で有名な安禄山の物語で、その生誕から、いわゆる交易の仲介人を経て、張守珪のもとである部隊の小隊長になる。
そこから軍功を立て、唐の玄宗に取り入り、出世を遂げた後、乱を起こして皇帝を名乗り、息子に殺されるまでの障害を描いている。
歴史の教科書からでは絶対に知り得ない安禄山の姿というものを知ることが出来る作品。
「床下の義賊――無名氏(唐)」
これは名も残っていないある義賊の物語だが、その義賊が出てくるのはかなり後。
房徳は、学問を志し、試験を受けるも毎回落ちてばかり。女房にはつらく当たられている毎日だったが、ひょんなことから盗賊たちの頭目にさせられる。
だが、これは盗賊たちが逃げるための生け贄のようなもので、案の定捕まるが、そのときの役人李勉のおかげで逃げることが出来る。
その後、いわゆる県知事になった房徳は、命の恩人である李勉に出会い、妻の諫言に乗せられ、李勉の命をある者に狙わせるが……。
「黄金の蝶――無名氏(唐)」
まるで本物のように動く細工物を作る馬句田と言う人物の物語。
唐の代宗の時代、その細工物で近く侍ることを許された馬句田は、その細工の腕をもって宝物庫にある黄金をすべて蝶に変えてしまい、逃げ出す。
また、富裕な家の息子に取り入り、おなじようにその財産を蝶に変えてしまう話の二本立て。
「美女と崑崙奴――朱全忠(唐)」
唐の昭宣帝から禅譲を受け梁を建国した朱全忠の物語。
……だが、国をどうこうする話ではなく、その前の盗賊時代の話で、ある宦官の下僕となり、美女姉妹を利用して、その宦官の財産をくすねるのが中心の話。
「韓夫人の神様――孫神通(宋)」
皇帝の寵愛を失い、太尉夫妻のもとで養生することとなった韓夫人は病気の快癒に霊験あらたかだった二郎神の姿をした男と出会い、その男……道士孫神通とともに逃げる物語。
中国ものや、歴史ものに興味がなければ、まったくおもしろみのない短編集のような気がする。
ただ、そうでなくても、歴史の教科書には出てこない史実と知識に裏打ちされた、こうした裏話みたいな感じに読むにはいいんじゃないかなとは思うけどね。
物語として読むよりも、こうした読み方のほうがおもしろかったけど。
しかし、漢字のルビの少なさ……特に名前とか地名とかの名詞がつらいところはある。
まぁ、それでも短編だから手軽だし、借りるには適(爆)
……買えよ! と言う突っ込みは受け付けません(笑)