さて、久々にこの方な第433回は、
タイトル:三月は深き紅の淵を
著者:恩田陸
文庫名:講談社文庫
であります。
恩田陸の書く、四章構成の連作中編。
どの章も謎の本『三月は深き紅の淵を』をめぐる話になっていますが、それぞれの物語は独立しており、連結性は皆無です。
『第一章 待っている人々』……読書好きという理由だけで、会長が主催する年一回の『春のお茶会』に誘われた鮫島。彼はそこで、作者を明かさず、コピーを取らず、たった一人の友人に一晩だけ貸し出すことが許された本の話を聞かされる――。
頼むから、架空の本の賛美を延々聞かせるのはどうにかして下さい。現実でも、熱烈なファンが語る褒め言葉のオンパレードってウンザリするのに、読者が読むことのできない本についてまでやられたんじゃたまらない。
『第二章 出雲夜想曲』……隆子と朱音、二人の編集者は列車で出雲を目指していた。謎の本『三月は深き紅の淵を』の作者を突き止めるために――。
朱音が語る、作品のために作品は存在するという論理は醜悪。この人の論理に従うと、本書は物語を貶めていると思うぞ。ま、朱音の考え=作者の考え、じゃないんだろうけど。
『第三章 虹と雲と鳥と』……十一月の末、公園の崖下で二人の少女の死体が発見された。彼女達を知る人々は、その死に疑問を抱くが――。
最初に出てきた穂積さんて、何だったの? というツッコミは入るものの、四つの章の中では一番読める話。残された人々が過去を追う過程で、隠された二人の少女の愛憎が見えて来るミステリ調の展開は面白い。
『第四章 回転木馬』……最低レベルのメタ小説。作者自身が登場して、『三月は深き紅の淵を』を書いている時の心情と、それに派生して生まれた物語について一人称で語る。『麦の海に沈む果実』の原形となった話や、『黒と茶の幻想』の名前も登場する。
あの~、私は小説論の講釈を読みたい訳じゃないんですけど。
自分の小説に対する思いを語りたいならエッセイ書いてね。
以上!
売り確定。
――【つれづれナビ!】――
◆ 『恩田陸』のまとめページへ
◇ 『つれづれ総合案内所』へ
タイトル:三月は深き紅の淵を
著者:恩田陸
文庫名:講談社文庫
であります。
恩田陸の書く、四章構成の連作中編。
どの章も謎の本『三月は深き紅の淵を』をめぐる話になっていますが、それぞれの物語は独立しており、連結性は皆無です。
『第一章 待っている人々』……読書好きという理由だけで、会長が主催する年一回の『春のお茶会』に誘われた鮫島。彼はそこで、作者を明かさず、コピーを取らず、たった一人の友人に一晩だけ貸し出すことが許された本の話を聞かされる――。
頼むから、架空の本の賛美を延々聞かせるのはどうにかして下さい。現実でも、熱烈なファンが語る褒め言葉のオンパレードってウンザリするのに、読者が読むことのできない本についてまでやられたんじゃたまらない。
『第二章 出雲夜想曲』……隆子と朱音、二人の編集者は列車で出雲を目指していた。謎の本『三月は深き紅の淵を』の作者を突き止めるために――。
朱音が語る、作品のために作品は存在するという論理は醜悪。この人の論理に従うと、本書は物語を貶めていると思うぞ。ま、朱音の考え=作者の考え、じゃないんだろうけど。
『第三章 虹と雲と鳥と』……十一月の末、公園の崖下で二人の少女の死体が発見された。彼女達を知る人々は、その死に疑問を抱くが――。
最初に出てきた穂積さんて、何だったの? というツッコミは入るものの、四つの章の中では一番読める話。残された人々が過去を追う過程で、隠された二人の少女の愛憎が見えて来るミステリ調の展開は面白い。
『第四章 回転木馬』……最低レベルのメタ小説。作者自身が登場して、『三月は深き紅の淵を』を書いている時の心情と、それに派生して生まれた物語について一人称で語る。『麦の海に沈む果実』の原形となった話や、『黒と茶の幻想』の名前も登場する。
あの~、私は小説論の講釈を読みたい訳じゃないんですけど。
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