つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

まーこんなもんだろー

2005-08-19 21:24:08 | 恋愛小説
さて、いつのまにやら超えてしまったの第262回は、

タイトル:Miracle
著者:桜井亜美
出版社:幻冬舎文庫

であります。

幻冬舎文庫の夏の100鮮。

……いや、別に宣伝なんかしてないって(笑)
この時期は、どこの出版社もこんなんばっかなので、適当に手に取ってみるのにはいいんだよね。

たぶん、人気があるとか、売れてるとか、そういうのをしっかりと選んでくれているはずなので、普段手に取らなさそうなのを読むいい機会になる。

そんなわけで、名前だけはおぼろげに記憶にあったので、どんなもんかと拝見。

ちなみに、初版が今年の8月になっていて、びっくり。
へー、新しいんだぁ、と読んだあとになって気付いたけど(笑)

さて、話はとにかく男だろうが女だろうが誰もが虜になってしまうほどの美女、宝生聖良(セイラ)と、心臓に病を持って入院している若手弁護士の堂本維吹紀(イブキ)とのラブストーリー。

セイラがナースとして勤めていた病院での医療過誤による患者の死亡や、イブキの義理の弟のカイジとの間にある憎しみなどを絡めて話は進められている。

まぁ、裏表紙の煽り文句、
「聖と俗、邪悪と無垢。その間を激しく揺れ動く女が、真実の愛に目覚めるまでを描いた恋愛小説。」
と言うのに、まぁ、偽りはないだろう。

セイラの幼いころに読んだ絵本との絡みや、イブキとの関係、カイジとの関係、パトロンたちを利用するセイラの姿などなど。

そうしたのが、とてもクリアで、すっきりとした文章で描かれているので、読みやすい。
個人的にはストーリーよりはむしろ、このクリアな、文章表現のほうがよかった。

透明感があるとか、クリアとか言うと、すごい綺麗なイメージに聞こえるかもしれないけど、そういうクリアさではなく、ある意味、何も遮るものがない、と言う意味でのこと。

つまり、煽り文句で言えば「聖と俗」「邪悪と無垢」の区別がはっきりとしていて、場面や1章ごとの雰囲気がとてもよく伝わってくる。

だから、邪悪な面を見せるところでも、そういう暗いものがストレートに入ってくる、と言う感じ。

こういうところはいいんだけど、ストーリーは、まー、こんなもんだろー、ってくらいかな。

まぁ、ラストのあれに感動するひともいるんだろうし、それは好みだからいいんだけど、結局そんな終わり方か、と思ったくらいふつー。

悪いとは言わないし、それなりにまとめたとは思うけど、物足りなさはどうしても残った。

文章から受ける感じがよかっただけに、残念なところ。

でも、短編集でもあったら買ってみよう、くらいには読める作品だったかな。

あ、それとセイラのようなタイプのキャラはなかなか書かないから、こういうキャラで話作ると面白いかも、とは思ったな。


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