つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

ホタルとマユの三分間書評『ショートショートの世界』

2008-05-07 22:50:22 | ホタルとマユ関連
さて、久々の新書な第968回は、

タイトル:ショートショートの世界
著者:高井 信
出版社:集英社 集英社新書(初版:'05)

であります。


―ラノベ目録作っちゃいました―


 「皆さん、こんにちは。二度目の登場のホタルです」
 「マユっす~♪」
 「随分御機嫌ですね。何かいいことありました?」
 「以前から管理人に作らせてたライトノベル目録がようやく完成したからな、そりゃ上機嫌にもなるぜ。もっとも、これでしばらく鞭と蝋燭の出番がなくなるかと思うと、ちと寂しい気もするが」
 「(完成までの経緯は聞かない方が良さそうですね~……)
 例によって、最新の投降覧の【☆『目録へのショートカット』兼『総合案内板』】から行けますので、興味のある方はチェックしてみて下さい。
 「本当は1ページでまとめる予定だったんだが、予想以上に冊数が多かったので、やむを得ず二つに分割した。現時点では、【ライトノベル一覧表(その1)】に電撃文庫、富士見ファンタジア文庫、富士見ミステリー文庫の三レーベル、【ライトノベル一覧表(その2)】にそれ以外の文庫の作品をまとめてあるが、記事数の増加によっては変更する可能性もある。これはgooブログの文字数限界の関係なので、ご理解頂きたい」
 「電撃ばっかりかと思いきや、意外に他の文庫も読んでますね」
 「だな。ガガガ文庫はまだいいとして、まさかZ文庫にまで手ぇ出してるとは思わなかった」
 「でも何でわざわざ目録にしたんですか? カテゴリーにしちゃった方が色々便利なのでは?」
 「ラノベの定義がかなり曖昧だからだ。仮にカテゴリーを作ったとしても、既存のジャンルとかち合っちまう」
 「単純にレーベルで判断すればよろしいかと。実際、ほとんどの方がそうされてると思いますし」
 「それが一番確実ではあるんだが……例えば、その他のとこにある『フェンネル大陸偽王伝』とか『星界の紋章』は一般レーベルだけど明らかにラノベだろ? ここらへんを追及しだすとかなり面倒なんだよ」
 「講談社NOVELSはある意味ライトノベル・レーベルなのでは? ――って、確かにキリがなさそうですね、この話」
 「だろ? だからそこの『その他』分類は完全に主観で決めてるし、記事編集時に悩みそうだからラノベカテゴリーも作ってない。ここら辺は、適当なとこで割り切るしかねぇと思う」
 「でも、『GOTH――リストカット事件』とか『六番目の小夜子』までライトノベルに分類するのは乱暴な気も……」
 「言うな……マヂでキリがねー」
 「ではそれは置いといて、私は一つだけ不満があります」
 「そういう時って、一つぢゃねーことの方が多い気がするが……ま、いいや、言ってみな」
 「なぜ一迅社文庫が入ってないんですか?」
 「一迅社……聞いたトキねーな。どこの会社だよ、それ?」
 「マユさんともあろうものが何て不勉強な……百合姫を出してるとこですよっ!」
 「だからあたしの前でそのテの話をするなっつーとろうが! あと、まだ出てねーだろ一迅社文庫!(2008年5月20日創刊予定)」
 「出てます! 私の心の中では出てるんです!」
 「解った……解ったからさっさと戻ってこい」


―どんな本?―


 「さて、今日の紹介ですが、ショートショート(以下、SS)好き必携の一冊『ショートショートの世界』です」
 「世にも珍しいSS専門の解説本だ。作品集はそれなりにあるが、解説オンリーの本ってのは多分国内初なんじゃねーかと思う」
 「不用意にそういうこと言っちゃうと、後でツッコミが入るかもですよ?」
 「その時はその時さ。
 ざっと内容を書くと、第一章『ショートショートの定義』がSSについての様々な意見と、著者の考えるSSの定義。第二章『ショートショートの歴史』が作家及び作品紹介をメインにしたSS歴史絵巻。第三章『ショートショートの書き方』がSSを書くにあたってのちょっとした方法論、といったとこだ」
 「お作法を学んで、過去作を読んで、自分で書いて! と、まさに至れり尽くせりの内容ですね。これなら、SSって何? というビギナーの方にも安心してお勧めできます」
 「ところがそうはいかねぇんだな、これが。元々興味がない読者の場合、無味乾燥な解説を長々と読まされて閉口するのがオチだ」
 「そこまで固い解説でした? 私は非常に丁寧で解りやすいと思いましたけど」
 「一番のネックが第二章だ。189ページ中の100ページ、つまり半分以上を占めてるんだが……この作家がいい、この作品が凄い、星新一万歳っ! そんな話ばっかりで、はっきり言ってうぜぇ
 「(うっわ~、言っちゃった)
 必要なことを書いてるだけですよ。これから読み始める人にとっても、著名な作品以外を読みたい人にとっても、オススメ作家&作品を知ることは重要ですし、星新一がSSの巨人だったのは紛れもない事実です」
 「なーにが、SSに関わる人すべては星新一のデビューした年を深く心に刻み込んでおかなければなりません、だ。偉人崇拝も大概にしやがれ。こういう奴が、結果的にジャンルの衰退を招くんだよ!
 「はいはい、どうどう、いーこいーこ。お願いだから、まずは落ちついて下さい。カタログとしては優秀ってことで第二章には目をつぶるとして、他の章はどうですか?」
 「(こいつになだめられるようになったら、あたしも終わりだな……)
第一章で提示されている、SSの定義については……ま、そんなもんじゃねぇの? って感じかね」
 「『約二十枚以下のアイディア・ストーリー』という、あれですね。私も賛成です。息抜きにちょっと読んでみるのに最適な長さだと思います♪」
 「もっと突っ込んだ説明があったろ? 『初めにアイデアがあり、そのアイデアを最も効果的に生かすために登場人物を決め、ストーリーを構築する――アイデア最優先の物語』って奴だ。もっとも、こういう細かい定義付けはジャンルの寿命を短くするがね。実際、SFやミステリは古い定義を破壊することで命脈を保ってるわけだし」
 「それについては、飽くまで自分の理想とするSSの定義だと言及されてますよ。別にこれ以外の定義を完全否定してるわけじゃないんだから、あまり拘らない方がよいかと」
 「でもなぁ……青い鳥文庫等の児童書で子供達が星SSに触れることはSSの未来にとって明るいことだと考えます、みたいなことを書かれると……激しく萎えるんだよ。過去の呪縛なんぞ捨てちまって、キャラ物ショートショートとか、連結ショートショートとか書かない限り、いつまで経っても狭っ苦しいSS村の中だけで盛り上がってるって状態からは脱出できねーぜ、きっと」
 「ちなみに第三章ですが、アイディア・ストーリーを書くにあたってのヒントが簡潔に示されています。SS以外の作品を書く際にも参考になるので、物書き志望の方は一度目を通しておくと良いかも♪ ただ、ページ数はそんなに多くないので、既にディープな知識を蓄えていらっしゃる方にはちと物足りないかも知れませんが……」


―結論言っちゃいます?―


 「ショートショート好きの方は必読! と言っていいでしょう。上でも言いましたが、SS名作カタログとしても御利用頂けます。まだ知らない、素晴らしい作品に出会えるかもです♪」
 「入門書としては落第だ。あたしなら、この本より先に『ショートショートの広場』を勧める。あれで様々な作品に触れ、自分に合いそうなジャンルだと感じたなら、こちらも読んでみるといい」
 「まったく……最後までネチネチと。少しは褒めるところを探す努力をしたらどうですか?」
 「とにかくSSが好きで、自身もSS作家で、ついでに星新一信者っていう著者らしい内容だわな。SSは面白いんだ! みんなそれを知らないだけなんだ! 触れれば必ずこの面白さが伝わる筈だ! あ~うぜぇうぜぇ。お前の近場にもいないか? 自分の村の素晴らしさを延々と語って下さる鬱陶しい奴がよ」
 「うっさい、年増。屁理屈ばっかこねんな」
 「道理を知らねぇ餓鬼が吠えてんじゃねぇっ!」



→『つれづれ総合案内所』に戻るぜ。