バスde温泉

バスで行く温泉旅日記

聖地から美人の湯へ・南海電車と路線バスの旅@和歌山

2009-10-12 08:27:35 | ☆バスde温泉(近畿)

関西人はなぜか各私鉄を「○○電車」と呼びます。なんでかと考えてみたら「阪神」「阪急」「近鉄」「南海」と呼ぶと、野球のチームと紛らわしいからなんでしょう。今では「阪神」だけになってしまいましたが…濃ゆいオッサンたちで賑わっていた大阪球場や日生球場がまだあったワタシたち世代が子どものころ、大阪の子どもたちの多くは林間学校として高野山を訪れました。ワタシもそのひとり。初めてクラスのお友達と入るお風呂、お約束の「枕投げ」、先生に叱られての正座…無垢だったころの思い出がよみがえってきます。あれから30余年。社会の波に揉まれ、人生の垢にまみれ、そのうえ酒に溺れるようになって、まっしぐらにオッサン化していくワタシ。自身を反省するため、梅雨時ではあるが、久しぶりに高野山で身も心も洗い流そうと思いました。ついでに、龍神で温泉も…エヘ

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前置きが長くなったが、で、高野山へ行くには、当然ながら南海電車です。大阪球場のあった難波駅から高野山行きの特急「こうや」に乗り込みます。電車は高野山ではなく極楽橋駅が終点。

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この駅は高野山へのケーブルカーの乗り継ぎのためだけに存在する駅で、乗客のすべてがケーブルカーに乗って高野山に至ります。このケーブルカーは特急電車と一連のものとして取り扱っているようです。

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改札を出て、駅前の南海りんかんバスの事務所で護摩壇山までの切符を求めると、副長と呼ばれる人が出てきて少々狼狽している。なんでも、このバスは客がいなけりゃ走らせない予約制らしいのです。知らなかった…ともあれ、出発予定時間までかなり時間があったので、バスを手配してくれることになりました。副長がバスの手配をするため奥の部屋でバタバタとしている。

「こんな日に龍神に行く変な客が一人現れたから、悪いけど行ったってくれへんか?」
「ええ???車、ありませんよ」
「どんなんでもかまへん、動くやつ出して!」

っとまあ、勝手にこんな舞台裏を想像してみましたが…

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無事、急行バスの切符を手に入れ、ケーブルカー連絡の路線バスに乗って高野山の中心地に向かいます。真言宗の総本山「金剛峰寺」や美しい朱塗りの「根本大塔」など、高野山の寺々を参拝したあと、ここから奥の院へ歩くことにしました。 

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街中では名物の胡麻豆腐や数珠の店のなかに、「般若湯」と記した看板を掲げたお店が…酒屋のことです。真言密教の大道場では大っぴらに酒とは記せないからですね。

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歴史上の有名人のお墓が立ち並ぶ杉木立の中を相当歩いた先に奥の院があります。境内では、多くの人たちが熱心に「南無金剛遍照…」と唱えています。ワタシも混じって日ごろの悪行を懺悔。

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奥の院には広大な霊園があり、大企業や資産家などが、さまざまな趣向を凝らしたお墓を建立しています。ロケットの形をしたのが飛行機を作っている会社「新明和工業」。コーヒーカップの形は「UCC」などなど。「奥の院口」のバス停付近には土産物屋や食堂が並んでいて、ここで昼食。ついさっき懺悔したことも忘れて生ビールをキューっと一杯。さんざん歩いたので旨さもひとしおです。 

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そんなこんなのうちにバスの時間となり、バス停に護摩壇山行きのバスが迎えに来てくれました。バスは急遽手配したであろう観光タイプ中型のふそう「エアロミディ」です。そして予想通り、乗客はワタシひとり。標高の高い高野山から、さらに上に向かっていきます。以前は有料だった高野龍神スカイラインは全区間2車線のよく整備された道路で、和歌山最高峰の護摩壇山の山頂を越えていきます。標高が高くなると周囲に霧が・・・いや、雲だ。それまで見えていた景色が全く見えなくなりました。やはり梅雨時に来たのは失敗だったかな?

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乗り継ぎの護摩壇山には有料の展望台「ごまさんスカイタワー」があり、時間待ちの間に入場できるか運転士に聞いてみると…
「お客さん、今日はアカン。何にも見えんよ。お金のムダ」 

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護摩壇山に着いたら反対方向から龍神自動車のバスが迎えに来てくれました。車両は日産ディーゼル・富士重工の中型で、なんとワンステップ。今やこんな山岳路線にもワンステ導入が進んでるのですねぇ。そして、またまた乗客はワタシひとりです。

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「美人の湯」と称する温泉は、アルカリ性のヌルヌル感が特徴です。日本三大美人の湯と呼ばれているのは、島根県の湯の川温泉、群馬県の川中温泉。そして、その中でもいちばん名の通っているのが和歌山県の龍神温泉でしょうね。

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翌朝、龍神を早々に脱出し、田辺に向かいました。さすがに朝の便は地元の老人や小学生たちを乗せているので賑やかです。整備された道路を通るので田辺までは1時間ちょっと…もう龍神を秘境とはいえませんね。残念ながら温泉に満足できなかったので、このあと明光バスに乗って白浜に行ったのは内緒です。

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余談ながら、2009年の夏限定で熊野交通が高野山と那智勝浦をダイレクトに結ぶ熊野・高野アクセスバスが運行されたので乗ってみました。高野山から龍神まではほぼ同じルートを走るが、龍神は大型バスが入れないので、残念ながら通過することになるが、護摩壇山からの見晴らしを楽しむことができたと思います…ええ、このときも霧だったのでなんも見えなかったので…(涙)

  • 訪問日:2005年6月22~23日
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紀伊半島を縦断する乗り継ぎ路線バスの旅@吉野・熊野

2009-10-11 13:17:42 | ☆バスde温泉(近畿)

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自宅から近鉄特急に乗ること1時間足らず、吉野の手前、大和上市駅では、山登りのベストシーズンのこの時期、大台ケ原への臨時バスが発着しています。駅を出てバス乗り場に歩いていったところ、奈良交通の車掌がワタシに向かって叫んでいる。

「臨時バス、もうじき出るでぇ」
「いや、大台ケ原へ行くのちゃうねん、『杉の湯』で乗り継いで入之波に行くんやけど…」
「えっ、その便、だいぶ前に出てもたで」
「いや、知ってる。河合行きのバスに乗って、大迫ダムのバス停から歩くことにするねん。」
「そーか、ほなええけど。かなり距離あるで。まぁ歩けんことはないと思うけどな……」 

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今回のバスの旅では、国道168号線を縦断するいつもの新宮特急バスではなく、それより東側、大台ケ原の登山ルートでもある国道169号線を縦断し、途中、入之波温泉に寄って熊野市に抜けることにしました。大和上市から乗ったバスは吉野川に沿ってずんずん上流に向かいます。車両は小型の日野「レインボー」旧タイプ。完成間近な大滝ダムを越えると、このバスの終点「杉の湯」です。

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ここには川上村営の温泉があるが、ここに浸かっているだけの時間がなくてパス。ここで上北山村の河合行きに乗り換えます。待ち時間の間に、道の駅で柿の葉鮨をゲット。河合行きのバスが再び吉野川に沿って上ります。今度の車両も小型車、いすゞのMRです。

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やがて、大迫ダムが視界に入ってくるようになり、バスがダムの麓からてっぺんに登り着いたら「大迫ダム」のバス停。ここで降りました。ダムの上辺を渡り、人も車もほとんど通らないダム湖の右岸を温泉目指して歩く・歩く。5キロほど歩いて、ようやく入之波温泉の入り口に到着しました。 

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入之波から、今度は1日2本しかないうちの1本、夕方のバスに乗って柏木の集落に戻ります。(現在、奈良交通のこの路線は廃止され、川上村営のやまぶきバスに変わっています。)

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ここでさらに奥の河合へ行くバスに乗り換え、大台ケ原を越えて上北山村に向かいました。国道169号線は168号線よりかは整備が進んでいて、バスの乗り心地も悪くない。しかしこのバス、最初から最後までお客はワタシ一人。大丈夫なんだろうか…

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このルートで熊野へ抜けるには、その日のうちの乗り継ぎ便がないので、どうしてもどこかで泊まるしかありません。上北山村の中心地、河合には上北山温泉があるので、ここで泊まることにしました。上北山村営の「ホテルふれあいの郷かみきた」は、川上村営の「五色湯」と同様、こんな場所にしては立派なホテルになっています。

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翌朝、熊野市に行くためには1日1本のバスの乗ることになるのだが、バスの出発は7時18分。ホテルの朝飯をかっ喰らって慌てて乗り込みました。例によって運転手さんとわたしの二人っきり状態で北山川沿いを下ります。

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池原ダムのダム湖が広がると下北山村。ここで国道169号線から、険しい道の国道425号線に変わります。(2006年10月をもって、この路線は「下桑畑」止めとなり、乗り継ぎは不可能のようです)

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車内は下北山から病院に通う老人たちで、そこそこ賑やかになって少し安心。車窓から熊野灘が望めるようになってくると三重県熊野市です。この熊野市駅でバスを降ります。バスはこの後、新宮駅に向かっていきました。ここから次の目的地の湯の口温泉に向かうのだが、既に午前中の便は出たあと。やむなくタクシーを使うことにしました。余計な出費もさることながら、旅のポリシーに反することに後ろめたさを感じてしまうが…紀和町(平成の大合併により現在は熊野市)の中心部を抜け、北山川に面する観光・保養施設の瀞流荘へ着けてもらいました。

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この瀞流荘の裏手に廃坑になった紀州鉱山の坑口があり、観光用に復元されたトロッコが、瀞流荘と湯の口温泉を結んでいます。古く奈良の大仏の建立にもここの銅や金が使われたとの記録が残っているこの紀州鉱山は、戦前に現在の石原産業が買収後、積極的に機械化が推進され、銅をはじめ各種のレアメタル類を産出。戦後、国際相場の暴落で採算が悪化し、遂に1978年に閉山となったとのこと。

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戦時中、労働力の不足を補うために強制連行されてきた朝鮮人やイギリス人の墓地が残っていて、そんな、多くの人たちの血と汗の滲んだこのこの場所に温泉を求めるのはいささか胸が痛な…

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それはともかく坑道を行くトロッコ、乗り心地は悪いが、なんか地球の内部に進んでいくような感じで実に感慨深い。鉱山の名残をとどめるこのトロッコは全国的にも貴重なものといえます。この坑道体験するだけでも値打ちあり!

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再びトロッコに乗って瀞流荘のバス停へ。ここから南紀広域バスの小型車で熊野市へ戻ります。バスはいすゞ「エルガミオ」のワンステップ車、ショートボディはチョロQみたいですね。

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熊野市からJR東海の特急「南紀」で松阪へ、ここで近鉄特急に乗り換えたら大阪まで一直線。です。松阪には例の美味いもんがあって少し心残りだが、タクシー代に思ってた以上の出費があったので今回はパス。例のもんはいずれ…

訪問日:2005年7月12~13日

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日本最長路線バスの旅(3)@十津川・熊野

2009-04-01 23:19:03 | ☆バスde温泉(近畿)

バスde温泉@十津川村役場~十津川温泉の続きです。

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十津川温泉からさらに南下、熊野を目指します。

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特急バスは午後の便だけなので、午前中に熊野に行けるのは十津川村営バスだけ。日野リエッセが主力の村営バスは、村民の通学や通院の重要な足を担っています。バスは狭い土地に民宿や旅館の建ち並ぶ蕨尾の集落の中を走り抜け、再び山間へ。

十津川の支流の先には十津川の源泉と、さらに遡ったところに上湯温泉があります。この秘湯が実にいい!

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ここには十津川独特の人力ロープウェイ「野猿」が観光用に残されています。こんなもの、今では生活の手段として使うことはないが、これはあくまで観光用。いちど乗ってはみたものの、けっこうしんどい。毎日使ってたら相当腕力がつくでしょうね。

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山肌の道をクネクネ走っていると、眼下に二津野ダムが見えます。ダムってそれ自体が高いところにあるのに、それをはるかに見下ろす位置にバスが走っている…高所恐怖症の人には耐えられないかもしれませんね。

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まもなく急峻な山肌に、七色バイパスのニョッキリと立つ高架橋が現れます。七色の高架橋です。こんなところに壮大な構造物!日本の土木技術に脱帽。

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七色の集落を過ぎると十津川村ともお別れとともに、そしてここから和歌山県、熊野路です。奈良と和歌山の県境を越えると、今まで荒々しかった流れが一転、川幅が広がり、穏やかな流れに姿を変える。それとともに、十津川から熊野川へ、再び呼び名が変わります。

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さっきまでの急峻な景色とは一転、空が広がるにしたがって、なんだか神々しい気が満ちてきたように感じる。そろそろ熊野本宮です。大水害以前、熊野本宮大社はこの広々とした河川敷の中洲、大斎原(おおゆのはら)にありました。ここには現在、ニョッキリ屹立している鳥居のみが旧社地を示しています。

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現在、西の丘に移設された本宮があり、多くの参拝者でにぎわっています。本宮のシンボル「八咫鳥(やたがらす)」は、神の使者で三本足のカラスで、日本サッカー協会のシンボルマークでもある。サッカーの日本代表のユニフォームにもこのマークがあるのはよく知られていますね。

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石段を登っていくと本殿が現れます。社殿は大きいとはいえないが、ここが全国の熊野神社の総元締め。蟻の熊野詣の目的地です。

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バスは熊野本宮の停留所を出ると、一旦国道168号線から別れて湯の峰温泉へ続く国道311号線の旧道の山道をクネクネ進みます。すれ違いの困難な細道ではあるものの、一般車のほとんどが新道を使うため、離合に難儀することはほとんどありません。

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本宮大社から湯の峰温泉までは、「大日越え」と呼ばれる熊野古道のもあります。ある日、ここを気まぐれに歩いてみました。しかし、この道は山越えルートなので、日ごろの運動不足の身にはけっこう辛いものが…。それでも、美しい杉木立の中にところどころに社や石仏が現れる。まさしく世界遺産の古道!

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バスが峠を下り、車内に硫黄臭が漂ってきたらまもなく小ぢんまりした温泉街が見えてきました。湯の峰温泉です。旅館の軒と軒の間をバスがギリギリ通り抜けたら湯の峰温泉のバス停。

目の前に小さいお寺と湯の峰温泉の元湯、そしてこの周りが湯の峰の実に小さな温泉街です。

続く…

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日本最長路線バスの旅(2)@十津川・熊野

2009-03-29 10:05:22 | ☆バスde温泉(近畿)

バスde温泉@大和八木~十津川村役場の続きです

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奈良交通のシンボル、鹿のマークが誇らしげなこの車両は、大和八木・新宮間を走り抜ける、日本一長距離のこの特急バス用に造られた、日野の1ドア車です。

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この種車は各地で走っているポピュラーな日野のHUだが、山岳路線のための高出力のエンジンを積み、小回りが必要なため車長はやや短めです。

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また、空調もエンジン直結式ではなく、観光バスのようにサブエンジン方式。車内は2人掛けのシートが並び、補助席もある。しかしやはり路線バス…シートはリクライニングしません。

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日本一の長距離を走る路線バスのため、整理券番号も100を越える。そのため、車内の料金表示もえげつないことになっていたが、最近、液晶ディスプレーに付け替えられて、かなり判りやすくなりました。

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十津川村役場の南隣には道の駅があり、ここに無料の足湯があってマイカーで来る観光客の絶好の休憩場所になっています。そしてその2階には十津川産の蕎麦を使った蕎麦屋があります。

また、この近くにも、まるで民家のような蕎麦屋もあって、実は個人的にはこちらのほうが好なんです。

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十津川村役場からは再び、よくぞこんなところに道をつけたと思うぐらいのV字渓谷を縦断する絶叫酷道区間。小型車同士の対向も覚束ないような道です。反面、エメラルド色の川に流れ落ちる滝や、春には花、初夏には新緑、秋には紅葉の絶景を楽しめます。

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それでも、天候によりしばしば通行止めになるこの国道に業を煮やし、この区間をトンネルで一気に抜けるバイパス工事が始まっています。通行にも苦労が多いこの区間、反面、最も自然が美しい区間でもある。もし、バスがバイパスを走るようになるのなら、この景色を楽しめなくなりますね。

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絶叫区間では、突然野生動物に出会ったりします。ある時、野生の鹿の家族が突然バスの前に飛び出してきました。キキー!!っと急ブレーキで避けると、難を逃れた鹿は谷底へ逃げていきました。運転士の苦労も多いが、鹿のマークのバスが鹿を轢いたらシャレにならん。

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玉置山の登山口である折立の集落を過ぎると、エメラルド色の川が再び広がり、この街道三つ目のダム湖が広がります。前身は1864年創立の「文武館」である十津川高校(このあたりも「街道をゆく」参照のこと)を過ぎたら、バスは十津川の中心、平谷の集落にある「十津川温泉」に到着。

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ここには奈良交通と十津川村営のバスターミナルとなっていて、ここで15分ほどの休憩があります。このバスターミナルの中にも温泉が引かれ、トイレの手洗いが温泉という、温泉好きにとって最高の贅沢が味わえます。

続く

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日本最長路線バスの旅(1)@十津川・熊野

2009-03-28 17:06:13 | ☆バスde温泉(近畿)

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もう何度このバスに乗ったんだろ…以前に住んでいた大和高田市の自宅近くの国道でよく見かけた、デコチンに誇らしげに新宮駅という文字が記されている奈良交通の特急バスです。いつか、このバスに乗って紀伊半島を縦断したいものだと思っているうちに、ある日、ようやく実現することができました。たまたま思いつきで乗ってみたこのバス、これ以後バスで行く温泉ひとり旅にはまり込んでいくきっかけになったのです。

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近鉄八木駅とJR新宮駅の長躯168kmを、約6時間半かけて結んでいる、1日3本のこの新宮特急バスは、高速バスではなく、普通の路線バスとしては「日本最長時間走行路線」。特急と名乗りながらも、新宮市内の一部のバス停を通過するだけで、実質的には各駅停車と何ら変わりません。

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近鉄電車で大和八木駅にやって来た観光客や、地元の買い物客を乗せ、定刻に八木駅前を出発、国道24号線を西へ、このあたりはロードサイド店や大きなショッピングセンターが林立していて、車の通行量も多い。大和高田市付近でバスは南下、御所市付近まではほぼ市街地です。

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1時間半ほどで五條バスターミナルに到着、ここで最初の休憩です。このバスターミナルでは、この地域名物の柿の葉寿司の売店もあり、このお陰で長時間の乗車でも飢えることはありません。五条駅でJRからの乗り継ぎ客を乗せた後、ここから終点の新宮まで、特急バスはずっと国道168号線(十津川街道)を走り抜けます。

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吉野川を渡り、県立五條病院を過ぎると、バス専用道の分岐点が現れるが、特急バスはバス専用道ではなく、このまま国道168号線を走ります。バス専用道は、国鉄が五條と旧大塔村の阪本を結ぶ予定だった建設中の五新線の路盤を、開通を諦めてバス専用道に転用したもので、これについてはこちらを…

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この専用道分岐を過ぎたあたりから街の家並みが疎らになってくるとともに、だんだん山に入っていき、梅林で有名な賀名生(あのう)にさしかかります。ここは南朝ゆかりの場所で、後醍醐天皇の皇居のあった地。亡命政権とはいえ昔の首都。それにしても傾斜の急な土地に家が張り付いている様子は異様です。ここに住んでる人たちって、毎日が登山ですね。

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短いトンネルを越えると城戸です。ここは旧西吉野村の中心で、専用道を走るバスはこの城戸が終点。ここの交差点にある信号機を最後に、後は十津川村役場前まで1本の信号もありません。五新線の建設中止のために存在意義のなくなった廃墟の橋を見ながらさらに上へ、天辻峠を目指してバスのエンジンが唸ります。

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そして、登りきったところに新天辻トンネルが口をあけています。「新」といっても昭和34年完成のかなりのベテランで、トンネル断面も狭く、大型車同士がようやく対向できる程度の幅しかありません。この峠が分水嶺で、後は新宮まで延々上流から河口へ天ノ川(十津川)に沿って下るだけです。

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広大なダム湖が見えてくると阪本。ここはもし五新線が開通していれば終点となるところで、貫通したまま放っておかれた鉄道トンネルの開口部があります。鉄道としての存在価値を失ったこのトンネル、現在は宇宙線の影響を受けない地中深い環境を生かし、大阪大学核物理研究センターがニュートリノの研究を行っているとのこと。まあ少しは役に立っているようです。

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実に狭いトンネルで猿谷ダムの横をを越えると旧大塔村役場です。この大塔や宇井のあたりでは、急峻な山に民家がへばりついていて、恐ろしく狭い道を大型のバスがギシギシと抜けていく。運転士のプロの技を見ることができます。

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宇井の手前では大規模な地すべりがあったため、数年間は対岸の県道を迂回していたが、2008年に復旧工事が完了し、現在、迂回はなくなっています。この地すべりは、崩れ落ちる様子が撮影されており、国土交通省近畿地方整備局のサイトでも公開しています。リアルに地面が崩壊する様はかなり貴重!

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城門トンネルを抜けると、ここから十津川村です。といっても、ここから村の中心にまではまだまだ遠い。なにしろ日本一広い村だからね。十津川村に入るとともに、川の名が天ノ川から十津川に変わります。バスは上野地バイパスを通らずに、上野地の集落に分け入り、ここで再びの休憩。

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この休憩の間を利用して、全長297m、高さ54m。鉄線橋としては日本一の長さを誇る「谷瀬の吊り橋」のスリルを味わうこともできます。ただし、この橋を渡り切ってしまうと、バスの出発時刻に戻ってこれなくなるので必ず途中でUターンのこと。

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この辺りの河原が広いのは明治22年の大水害で、山崩れによって土砂が堆積したためとのこと。この水害はかなり悲惨のものだったらしく、168人もの死者を出し、僅かばかりの農地失った村民は新天地を求めて北海道に移住し、新十津川村(現在は新十津川町)となりました。ちなみに、この洪水で川の下流の中洲にあった熊野本宮は全壊し、現在は丘の上に再建されています。でもまあ、このへんの経緯は、司馬遼太郎の「街道をゆく」での格調高い文章で味わってもらったほうがいいかも。

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十津川街道をさらに下ると、川幅が広がって水を湛えるようになってくる。風屋ダムです。九十九折の坂を下ってダムの根元を通り抜けると、2車線の快適な道になり、バスのスピードも上がります。

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トンネルを2つ、3つ越えたら十津川村役場。ここに十津川村に1箇所しかない信号機と、湯泉地温泉があります。ここで途中下車して温泉を楽しむこともできます。

続く

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高速バスで行く南紀・共同湯三昧の旅@白浜

2009-01-10 12:52:29 | ☆バスde温泉(近畿)

Img_7569 一般的に、白浜って軽薄なイメージがあって、団体旅行のオヤジやオバハンたちがいく所と、永い間その程度の認識でした。

確かに駅の旅行カタログスタンドにささっている白浜温泉のパンフレットには、いかにもって感じの巨大ホテルと、パンダやイルカが表紙を飾っている。

しかしこの辺りの温泉は意外にも優れた泉質なのです。

Img_7546 大阪から白浜へはJRの特急くろしおを使うのが一般的だが、このところ急激に乗客を増やしているのが明光バスと西日本JRバスとの共同運航の高速バスです。

この路線、利用好調により大増発され、ほぼ2時間おきに発着していて所要は3時間チョット。

しかも片道2700円と実に格安で、これなら気軽に白浜の湯を楽しむことができます。

Img_7547 大阪・難波のバスターミナル、OCATでバスを待っていると西日本JRバスの新型のセレガが現れました。

8時20分発のこの便は満席で、しかも、2台続行とのこと。

日野自動車のセレガは、2005年にいすゞ自動車と共同開発した車で、いすゞではガーラとして若干のデザインを変えて販売している車です。

Img_3306 新しいだけあって室内デザインも洗練されているが、バスが阪神高速に入ると、そのパワーを実感することができました。加速が実にいい。

ただ、シートもサスペンションも堅めに設定しているようで、高速道路のジョイントがゴツゴツと響いてくる。

乗り心地より走りを重視しているようです。

Img_3312 阪神高速湾岸線で港大橋を渡ると、ここからしばらくは大阪湾を望みながらの快適クルージング。

阪和自動車道の現在の終点、田辺で高速を降り、田辺の市街地を経由して白浜へ向かいます。

白浜では家族連れやカップルや若いグループばっかりで、おっさん独り、なんだか居心地が悪い。それでもめげずに共同湯めぐりを敢行します。腰にタオルをぶら下げて…

Img_7649 白浜温泉の中心、白浜バスセンターから明光バスの椿温泉行きに乗りました。

バスは日野のレインボー。

このバスセンターから白浜駅を経て国道42号線を南下します。

Img_3264 国道は整備されているものの、海岸線のためカーブが続きます。

車窓には紀州灘が美しいが、結構なスピードなのでしっかり掴ってないと飛ばされそうになる。

前方に旅館街が見えてくると椿温泉です。

Img_3247 バスを降り、国道に沿った温泉街を歩くが人がいなく、どことなくひっそりとしている。

しかも、温泉街から少し離れたところにバブル期の遺物、高層リゾートマンションが建っていて景観を壊しています。

廃墟かと思いきや、そこそこ人は住んでいるようです。

ここなら毎日温泉に浸かれる余裕の生活。ワタシもリタイヤ後はこんなライフスタイルもいいかも。

Img_7665 さらに歩くこと約10分、地中海風ファサードの旅館が現れました。ここが関西屈指の名湯の宿、富貴です。

よく見るといささか年季の入った建物であるのが解るし、地中海風なのはファサードだけ。

しかもそのファサードには和風な書体で富貴と看板が掲げられている。なんだかチグハクやなあ。

Img_7666 案内されて部屋に通されるのだが、廊下を歩くとギシギシ響くし、襖のシミも古臭く感じるし…はっきりいって、マイナスポイントばっかり。

それなのにまたまた来てしまいました。ここには、と、実に心地いい温泉があるからです。

Img_7674Img_7668  客室は純和風ではあるものの、ヨーロッパの町並みを描いたリトグラフが飾られていて、ここでもチグハグ。

それでも、窓を開けると潮騒が響ぎ、遠くに貨物船が往来する。

これまでのマイナスポイントを大逆転させるほどの、見事なオーシャンビューです。

Img_7702Img_7690  食事は食堂でいただくのだが、至って普通。

白味噌仕立ての鍋が濃厚で旨い程度かな。

オバチャンが一人だけで甲斐甲斐しく仕切っているが、少々忙しない。

Img_7697Img_7698_2  歓楽街も何もない静かな温泉地では、温泉に浸かる以外は寝るだけです。

宵っ張りには信じられないような時間に布団に入る。

そして潮騒の音を聞きながら目を閉じたら、程なく意識が遠くなってきます…

Img_7688 翌朝、まだ明け切らぬ早朝にむくむくと起きだし、眠い目をこすりながら温泉へ。

早寝した理由はこれ。誰もいない源泉浴槽でまどろむことができるのです。

睡眠と覚醒の間をさまよいながら温泉のぬるま湯に浸かっていると、魂が抜けていくかのような浮揚感。熱いお湯だとこうはいきません。

これぞ宿泊者の特権ですね。そのうちだんだん外は明るくなってくる、気づくと2時間近く入浴していました。

Img_7708Img_7710  朝食も至って普通だが、ここには温泉粥がある。

このお粥、もう他はいらない、これだけでいいと思うほど美味いんですね。

多少ツッコミどころがある旅館だが、この温泉がある限り、関西での最上級の旅館といってもいいんではないかな…

Img_7712Img_7713  椿温泉のバス停から白浜駅まで昨日辿った道をバスで戻ります。

現れたバスは最新型の日野ポンチョ。今回、初乗車です。

このクルマはコミュニティーバス用の小型車で、もちろんノンステップで、今後、各地で活躍するんではないかな?

Img_7723 新車の軽快な走行を暫し楽しんだら早くも白浜駅。ここでは、特急くろしおで到着した観光客を明光バスがリレーしています。

このバスの車体色、まんま近鉄バス。明光バスは近鉄の子会社なので、お古が廻ってくるようです。

車体塗り替えすらままならない地方のバス会社の苦労がうかがえますね。

  • 訪問日:2008年7月21日・22日

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