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『10.4宣言』から6年

2013年10月04日 | 南北関係関連消息

『10.4宣言』の6周年を記念する民族統一大会(2013.10.3,韓国江原道高城郡)



 6年前の2007年10月4日、盧武鉉大統領と金正日総書記はピョンヤンで首脳会談を開き、『南北関係発展と平和繁栄に向けた首脳宣言(以下、10.4宣言)』を採択しました。
 2000年6月の第1回首脳会談で採択された『6.15南北共同宣言』を具体化させた『10.4宣言』は、文字通り、南北関係を発展させ民族の平和と共同繁栄を目ざす実践綱領でした。

 とりわけ第4項では、南北が協力して朝鮮戦争の終結と平和体制構築に向け、主動的な役割を推進すると宣言しています。
 「南と北は現在の休戦体制を終息させ、恒久的な平和体制を構築していくべきとの認識を同じくし、直接関連した3カ国または4カ国の首脳らが朝鮮半島地域で会い、終戦を宣言する問題を推進するため協力していくことにした。」

 また第3項の「西海での偶発的衝突防止に向け共同漁労水域を指定し、この水域を平和水域とする」、第5項の「海州地域と周辺海域を包括する”西海平和協力特別地帯”を設置し」などは、そのまま履行されていたなら、2010年秋の痛ましい軍事衝突(延坪島砲撃)は未然に防止できたと思われます。

 しかし、李明博政権から朴槿恵政権へと継承されるなか、『10.4宣言』の意義は大きく損なわれています。何よりも、国家情報院が南北首脳会談の対話録を違法に流出させ、与党がそれを恣意的な解釈で歪曲して昨年の大統領選挙に悪用したことが、今も尾を引いています。

 両首脳が合意した「北方限界線(NLL)」から「平和協力特別地帯」への転換は、画期的な未来志向の発想でした。対決の産物である「線」を和解の象徴である「面(地帯)」で覆うことにより、平和共存への道を切り開いたからです。

 朴槿恵政権と与党は、”盧武鉉大統領が金正日総書記の歓心を買うために領海問題で譲歩した”と批難しています。”北方限界線を放棄した”との主張ですが、部分的に公開された首脳会談対話録のどこを読んでも、そのような解釈は成立しないでしょう。ところが、保守メディアを総動員しての宣伝に、国民世論も少なからず影響されているようです。

 留意すべきなのは「北方限界線」が、決して国際法的に有効な境界線ではないという事実です。南が一方的に主張しているだけで、北はそれを承認しておらず、米政府ですら境界線として認定していません。もちろん、休戦協定の合意事項でもありません。

 『10.4宣言』は南北の当局間で交わした貴重な合意であると同時に、南北海外同胞の平和と繁栄への意志が込められた全民族的な叡智でもあります。『10.4宣言』を蘇生させ、着実な履行を推進したいものです。

 10月3日、「6.15共同宣言実践南側委員会」が主催する「10.4宣言の6周年記念民族統一大会」が、江原道の高城郡で開催されました。『統一ニュース』の関連記事を要訳して紹介します(http://www.tongilnews.com/news/articleView.html?idxno=104356)。(事務局)



『10.4宣言』の履行が即ち南北関係の原則
  -『10.4宣言』を順守し実践することが、私たちにとって最高の統一運動だ-


  
 『10.4宣言』6周年をむかえて「6.15共同宣言実践南側委員会(以下6.15南側委)」は3日午後、江原道(カンウォンド)高城郡(コソングン)巨津邑(コジンウプ)の浜辺公園で、「10.4宣言の6周年記念民族統一大会」を開催した。

当初、この大会は去る7月4日の「6.15共同宣言実践民族共同委員会、南北海外共同委員長団会議」で共同開催すると決定されていた。しかし、離散家族再開事業の延期などで南北関係が冷却期に入った点を考慮し、分散開催として開かれた。

この日の民族統一大会で「南北海外共同委員会」は決議文を発表し、『10.4宣言』の実践を強調した。決議文は「歴史的な6.15共同宣言と10.4宣言を順守し実践することは、私たちの時代における最高の統一運動である。南北関係の原則も、相互信頼の出発点も、民族の志向と要求が含蓄されている南北の諸共同宣言を尊重して徹底的に履行するところにある」と強調している。

決議文はまた、「ここ数年の南北関係の現実は、南北共同宣言を離れてはいかなる南北関係の改善も期待できないことを証明している。南北共同宣言の履行に向け多方面な接触と対話、協力を再開し活性化していくために、積極的に努力するだろう」と明らかにした。

決議文は引き続き「南と北、海外の全同胞が力と知恵を集めて、統一と平和繁栄の未来を作ろうとするのが南北共同宣言の基本精神である。相手の体制と制度を否定し、対話を政治目的に悪用してはならない」と南側政府を牽制した。

そして「せっかく整った南北間の対話と協力が中断され、正常化の道に入った南北関係が再び予測できない危機に直面することになった理由もここにある。同族間の反目と不信、対決をもたらすだけの誹謗と敵対行為に反対する」と主張した。

さらに「祖国統一の前途には依然として多くの難関が横たわっている。しかし、6.15南北共同宣言と10.4宣言を順守し履行しようとする私たちの意志は、どんな障害にも挫かれることはないだろう。これからも、6.15民族共同委員会の先導的な役割を積極的に高めていく」との決意を表明した。

この日の民族統一大会でイ・チャンボク「6.15南側委」常任代表は、「昨今の政治に対して怒りを禁じ得ない。その一つは順調に進行していた南北関係の悪化であり、他の一つは命がけの闘争で勝ち取った民主主義の後退だ」と政府を批判した。

イ・チャンボク常任代表は「左派だ従北だとレッテルを貼って平和統一運動を弾圧するのは、民主主義に対する挑戦だ。金剛山観光と離散家族の再会事業は直ちに実現されなければならない。そのためには相手に対する不信を捨て、自ら進んで信頼を積むという姿勢が必要なことは明白な事実」と強調した。

特に、政府が審議中の「第2次南北関係発展の基本計画」で西海平和特別地帯の項目が削除された事実に対し、「盧武鉉元大統領がNLL(北方限界線)を放棄したという虚偽事実を流布させ、10.4宣言を瓦解させようとする企図の一環だ。現政府が何度も強調してきた’既存合意の遵守’という原則にも背く」と指摘した。

大会ではまた、最近の離散家族再会行事の無期限延期と金剛山観光再開のための南北実務会談中止など、南北関係の状況を批判する各界の発言が相次いだ。

オ・ジョンニョル「韓国進歩連帯」総会議長は、「10.4宣言が誠実に履行されていたなら、朴槿恵大統領が語ったように、列車で釜山からシベリアを横断して大西洋まで行きたいという夢が、単なるたわごとでなく実現されていただろう」と話した。

また、オ・ジョンニョル議長は「ところで、朴槿恵大統領は’休戦ラインに平和公園を作ろう’と提案している。だが、その一方では西海平和協力特別地帯の建設計画を削除した。これが私たちの現状だ。大韓民国政府を国民の力で、国民の心で動かさなければならない。 どのような勢力が祖国統一の課題を妨害しても、民族の大同団結、自主統一への大道は必ず開かれる」と強調した。

キム・ハンソン「6.15学術本部」代表は、「南北赤十字社が、全面的な生死確認、自由な書信交換、面会の定例化に合意した。これを直ちに施行しなければならない。両親・兄弟・子供の関係は天倫だ。 天倫をまともに守れない民族の羞恥と苦痛を速やかに断ち切ろう」と訴えた。

大会には、キム・ジンヒャン「6.15共同宣言実践海外側委員会」のヨーロッパ地域委員会共同代表、キム・ウォンベク「6.15共同宣言実践海外側委員会」カナダ委員会委員など、海外側委員たちも参加し、連帯の意向を明らかにした。

キム・ジンヒャン共同代表は連帯の挨拶で「10.4宣言の合意という驚異的な事件は、私たちの民族には統一の希望を、人類にはコリア民族の気高さを知らしめた。しかし6年が過ぎた今、冷戦を訪仏させる相互誹謗と敵対心によって、世界で最も戦争の危険が差し迫った地域に転落した。非常に残念だ」と話した。

キム・ジンヒャン共同代表はまた、「多数の誠実な人々が基本権を享受し、分断した南北がこれ以上は歳月を浪費せずに交流して協力することが海外同胞の夢だ。6.15共同宣言と10.4宣言は必ず実践されなければならない。これが朝鮮半島の永久平和と統一への道だ。 わが祖国、錦繍江山の統一を目ざす道で故国同胞らと共に歩みたい」と語った。

この日の民族統一大会にはソウル、京畿、江原、光州などの「6.15共同宣言実践」各地域本部と女性本部、「統一の道」などの諸団体から4百人余りが参加した。参加者は行事を終えた後、江原道高城郡の巨津邑一帯を行進した。

「10.4宣言の履行」、「金剛山観光の再開」と書かれたプラカードを持った参加者たちは、「金剛山観光を再開して地域経済を活性化しよう!」とスローガンを叫び、高城郡の統一展望台に移動して行事を終えた。

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