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南北関係の改善に向けて

2014年01月11日 | 南北関係関連消息

洪思徳(ホン・サドク)「民族和解協力汎国民協議会(民和協)」代表常任議長



 2014年の幕明けとともに、南北の最高指導者が新年のメッセージを表明しています。1月1日、金正恩国防委第一委員長は新年辞を発表し、「南北関係の改善をもたらす環境作りが必要」と説き、「同じ民族なのに互いに誹謗し反目し合うことは外部勢力を利するだけだ」と強調しました。そして、「民族を重視し統一を願う人なら、誰とでも手を携えて行くし南北関係の改善に向け積極的に努力する」と宣言しました。

 これに対し韓国政府は「北の真意が疑わしい」と否定的な反応を見せていましたが、6日に開かれた朴槿恵大統領の新年記者会見で、「旧正月(1月31日)を機に離散家族の再会を実現しよう」と提案しました。翌日、大韓赤十字社が実務会談の10日開催を提議したところ、北は朝鮮赤十字会ではなく、祖国平和統一委員会(祖平統)書記局が9日に回答を寄せました。

 「拒否」の回答でしたが、いくつかの条件が付与されています。先ず、旧正月は厳寒の季節であり時間的にも差し迫っている点を指摘しています。そして、「南で他ならぬ事が起きず、我が方の提案も同時に協議する意思があるなら、よい季節に対座できるだろう」と、余韻を残しました。北が言及した“他ならぬ事”は3月~4月に予定されている米韓合同軍事演習であり、“我が方の提案”は、中断されている金剛山観光の再開です。

 祖平統書記局の文書には「大規模軍事演習が予定され銃砲弾が飛び交うようでは、離散家族が心穏やかに出会うことができるだろうか」と皮肉った箇所があり、北も「南の真意を疑う」ことに変わりはないようです。相互不信の溝は深いですが、今回の北の回答は「実務会談への拒否」であって、「離散家族の再開事業」そのものへの拒否ではありません。赤十字ではなく祖平統が前面に出てきたのも、離散家族の再会事業だけではなく、南北関係全般に渡る交渉の意欲を持っているからだと判断されます。

 恒例とはいえ、米韓軍事演習が北を挑発し南北関係を悪化させてきた側面を看過してはなりません。中止できないまでも、その規模と期間を縮小することで関係改善へのメッセージを送るなら、演習が終わる頃には「対座するにふさわしい季節」を迎えることができるのではないでしょうか。(JHK)

 以下に、1月7日付『プレシアン』の記事を要訳します。ホン・サドク「民族和解協力汎国民協議会(民和協)」代表常任議長のインタビュー記事です。
 http://www.pressian.com/article/article.asp?article_num=10140107165458&Section=01



「南北の交流協力に消極的なのは恥ずかしいこと-対北コメ支援、4000億ウォンあれば可能。1945年体制を克服すべき」

ホン・サドク「民族和解協力汎国民協議会(民和協)」代表常任議長が、北朝鮮に対してもう少し果敢で積極的な行動を取るべきだと主張した。民間交流の重要性を強調したホン議長の主張は、パク・クネ大統領が新年記者会見で明らかにした構想に沿ったものだけに、今後の南北交流協力が活性化するのか注目される。

ホン議長は民和協のウェブ・マガジン『民族和解』に掲載されたインタビューで、昨年、南北交流が不振だったのは北朝鮮の内部事情のためだと述べている。「惜しむらくは、私たちがもう少し果敢で積極的な行動を取るべきだったのに、出来なかった」と自評した。彼はまた「何よりも、民間団体が人道的支援のために準備した物品すら十分に送ることができなかったのは、誰が何と弁明しようとも遺憾なことだ」と強調した。

チャン・ソンテク処刑で北朝鮮内部の情勢が不安定になり、南北関係にも否定的な影響を及ぼすのではないかという質問に対して、ホン議長は「今回のチャン・ソンテク粛清過程を見れば、キム・ジョンウン委員長が非常に果敢な決断力を有しているようだ。そういう果敢性を北朝鮮の改革・開放の方向に導くことができるならば、南北関係の発展と改善にも大いに役に立つだろう」との見解を表明した。

ホン議長はその間、南北間の協力事業がまともに展開できなかったことに関して、「政府も恥ずかしいと考えるべきだ」と指摘した。彼は「北朝鮮が開城と平壌、新義州を連結する高速鉄道および高速道路の建設を、中国との合作で推進するという報道があった。これはまさに南北交流と協力を疎かにした結果である。中国にこのプロジェクトを持って行かれたことを、韓国政府は恥じるべきだ」と政府に反省を促した。

彼はまた、「投資先がなくて悩んでいる国内20大企業の遊休資金が500兆ウォン、国民年金は400兆ウォンだ。わずか15兆ウォンに過ぎない工事を受注できなくて中国が請け負ったのは、あまりにも残念なこと」と語っている。ホン議長は「通行料の収益を北朝鮮がすべて徴収するとしても、韓国の政府と企業が担うべきプロジェクトだった」と表明した。

最後にホン議長は、「南の力量を発揮して1945年(分断)体制を克服しなければなければならない。北の同胞たちには年間100万トンの米が不足しているが、4000億ウォンあれば簡単に解決できる。私たちにはその何十倍もの力量があるのに、その力量を使えずにいる」と指摘した。そして「能力や力量だけを見れば、私たちが解決できる問題だ。地球上に残っている最後の“1945年体制”を克服しなければならない」と付け加えた。

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