開城工団を撤収する会社社長「職員を安全に…家族は常に不安」

昨日の中日新聞には失望した。

このことに関する記事で、
見出しがこうなっていた。

開城工団　韓国一社　完全撤収へ
開始以来初
北の揺さぶり影響

これじゃあ、北のせいでという風にしか読めない。
実際はどうなのか。
この社長さんのお話のどこをとっても北のせいと思わせる言葉がない。
中央日報のことだから、そういう言葉を期待していた可能性高いけれどだ。

要は、南北関係の悪化により開城工団事業が視界不透明になったことが原因であり、企業家としては当然の判断としか言いようがない。

問題は、なぜ、視界不透明になったのかということだ。
それを北のせいだと思い込んでいるこのソウル特派員の築山英司記者に、私は怒っている。

これは明日、抗議しないといけないな。

ソウル支局にも電話するけれど、
本社にしっかり抗議しておこう。

http://japanese.joins.com/article/article.php?aid=116461&servcode=500§code=510

開城工団を撤収する会社社長「職員を安全に…家族は常に不安」
（ 中央日報Joins.com 2009.06.10 12:49:53 )


初めて開城（ケソン）工業団地から撤収するという意を明らかにしたスキンネットのキム・ヨング社長（４１）は「長い間、当社の職員の安全について悩んで下した決定だ」とし「ある職員の家族は私をつかみ、泣きながらどうか北朝鮮には行かせないようにしてくれと哀願してきた」と話した。

「初めは海外バイヤーに南北経済協力の次元で生産された製品ということで大きく訴える力を持っていたが、今はむしろ納品時期に合わせることができないという不安感となっている」と述べた。キム社長は１９９４年、毛皮事業を始めて９７年９月、開城工業団地に入居した。昨年の売上は６２億ウォンで、このうちの２５億ウォンを開城工業団地を通じて上げた。９日午前、ソウル九老洞（クロドン）にあるスキンネット事務所でキム社長に会った。

－－開城工業団地から撤収を決意した理由は。

「事業家として決断を下さなければならないと思った。職員の安全問題をいちばんに考慮した。昨年末から開城工団への通行が制限されて以来、南北関係が冷え込んで工団に常駐または出入りする職員の家族たちが心配するようになった」

－－南北実務者接触が１１日に予定されている。そのときまで待ってみることはできなかったか。

「日々大変だった。１１日の決定がどう出るか期待することはできない。それで勇気をふりしぼった」

－－これまで開城工業団地で利潤を残さなかったか。

「開城工業団地に投資した資金は保証費、設備費など５１万ドル程度だ。２００７年９月に入居したが、累積赤字が１３万ドルだ。昨年までは北朝鮮勤労者たち技術教育名目だと思って我慢した。しかし今後も南北関係が現在のままだったら、これを乗り越える方法はもうないと判断した」

－－再入居するつもりはないか。

「昨日、開城工業団地で北朝鮮勤労者班長に会い『必ずまた帰ってくる』と言った。しかし職員の安全が保障され、通関・通行・通信などいわゆる“３通問題”が解決されなければならない。開城工業団地で企業の経営がある程度保障されたとき、また行くことができる」

－－開城工業団地で生産した物量はどのようにするのか。

「中国の北京に工場が１つある。そちらに回すつもりだ。開城工団物量が全体の４０％程度になる。中国は開城工業団地より単純人件費が高いが、経営環境を考慮すれば悪くない方だ」

－－撤収を考慮している他企業もあるか。

「当社は投資規模が比較的小さいため損失も大きくない。しかし投資額が数十億に達する企業は何もできない状況だ」

－－北朝鮮で人件費を上げると言っているが。

「開城工業団地に入居した多くの企業は中国と同じぐらいの経営権が保障されれば北朝鮮が要求する水準まで賃金の引き上げをする意向もある。今回、政府間接触でもこの点を強調しなければならない」




ちなみに、中日のWEB版の記事も載せておく。
記事から受ける印象の違いを私は問題にしたい。

ここには、私が問題にしている見出しがない。
そもそも共同配信のものではないか…

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2009060901000307.html
韓国企業が開城工業団地から撤収　稼働以来初めて
2009年6月9日 12時12分

　【ソウル９日共同】韓国統一省報道官は９日、南北協力事業である北朝鮮の開城工業団地に進出している韓国企業１社が完全撤収を決め、８日に同団地の管理委員会に「廃業」を届け出たと発表した。同団地が２００４年末に操業開始して以降、完全撤収を決めた企業が出たのは初めてという。

　報道官によると、北朝鮮の２回目の核実験実施や、同団地で韓国企業、現代峨山の韓国人男性職員が拘束されるなど、安全問題への不安が高まったことも撤収理由の一つとみられる。

　同団地をめぐっては１１日に南北当局間の実務会談が予定されているが、北朝鮮側が労働者の賃金の大幅引き上げなどを要求した場合、撤収を決める企業がさらに増える可能性がある。

　韓国メディアによると、同社は衣料製造会社で、投資額は小規模。最近は製品の注文が減少していた。報道官は「同団地を安定的に維持、発展させる政府の方針に変わりはない」と語った。

　同団地には今年３月末時点で韓国の約１００企業が進出。韓国から陸路で運び込まれる原材料を使って北朝鮮労働者約３万９千人が衣料など軽工業品を製造している。