統一部報道官のブリーフィング
韓国政府は27日、統一部報道官のブリーフィングを通じて、6.15共同宣言の南北共同行事に対し不許可の方針を表明しました。北が当局間の南北対話を拒否しながら南の民間団体を相手に共同行事を提案するのは、「通民封官(政府を圧迫するために民間団体を活用する)」戦術で南の国論分裂を目論んでいるとの非難です。
韓国政府の心情を理解できないわけではありませんが、相互不信が深まり政府間の対話が困難な時こそ、民間次元での交流は大きな意味を持つと思います。南では「民」と「官」の区分が明瞭ですが、北の体制はそうではありません。「民」が即ち「官」であるとも言えます。
それならば、南の政府も民間団体が主催する行事にスポンサーなりオブザーバーとして参与し、影響力を発揮すればいいのではないでしょうか。
政府の不許可方針を批判して、野党(民主党)の報道官は次のように指摘しました。
「政府当局間の対話に固執して民間の対話や接触を拒否するのは、これまでの南北交流の歴史を見ても過度に硬直した態度だ。2000年の南北首脳会談に先立って、故チョン・ジュヨン会長(現代財閥のオーナー:訳注)が牛の群れを引き連れ北を訪問した。これは“通民封官”でなく“先民後官(民間交流を先行させ政府間交渉が後続する:訳注)”である。統一部の不許可方針を超越したパク・クネ大統領の決断を促す」。
一方、「6.15共同宣言実践南側委員会」は28日午前11時に記者会見を予定しています。政府の不許可方針を受け南の統一運動団体がどのように対処するのか、続報をお待ちください。以下に紹介するのは、統一部報道官の会見内容を伝える本日付け『聯合ニュース』の記事です。 (JHK)
原文のサイト http://www.yonhapnews.co.kr/politics/2013/05/27/0503000000AKR20130527065951043.HTML?template=2087
(ソウル=聯合ニュース)[2013-05-27 11:28送稿]
政府、6・15共同行事を不許可…北に「言動の自制」を要求
政府は27日、北が提案した6・15共同行事への民間団体参加を許可しないと発表した。さらに北当局に対し、政府間対話に速やかに応じるよう促した。
また、パク・クネ大統領を実名で非難(5月25日付、国防委談話:訳注)した北当局に強い遺憾の意を表明し、今後の言動の自制を要求した。
キム・ヒョンソク統一部報道官はこの日、声明を通じて「北が開城工業団地に関する南北当局間の対話提案を引き続き拒否する一方で、民間団体を相手に6・15南北共同行事の開催を提案する矛盾した姿勢をを見せている」として、北の“通民封官”政策を批判した。
キム報道官は「北のこのような態度は真意が疑わしいだけでなく、南内部の葛藤を助長しようとする旧態依然な行動であり、深刻な憂慮を禁じ得ない」と述べた。
また、「北が南北関係の改善を真に望むなら、南の民間企業や団体と接触するのではなく、一日も早く南北当局間の対話に応じて信頼を積むことが必要だ」と強調した。
さらに、「北は切断した開城工業団地の軍通信線を先ず復元しなければならない」とし、「我が方が去る14日に提案した開城工業団地に関する南北当局間の実務会談を受け入れ、原資材と完成品の搬出問題から至急に解決しなければならない」と指摘した。
キム報道官は最後に「政治的意図が多分な6・15南北共同行事にこれ以上執着せず、北が速やかに南北当局間対話に呼応するよう、もう一度促す」と明らかにした。
これと関連してキム報道官は、ブリーフィングで「北が当局間対話に応じず、民間に対してはとうてい実行不可能な内容の政治的行事を提案した」とし、「このような行事は望ましくないので、6・15共同行事を政府としては許可しないとの判断だ」と説明した。
これに対して「6・15共同宣言実践南側委員会」の関係者は、「政府が民間の創りだす流れに乗って当局間接触につなげる機会を自ら遮断した」とし、「北の真意を疑う前に、わが政府に真意がないことを露呈した」と批判した。
統一部はまた、北がパク・クネ大統領の実名を挙げて激しく非難したことに対し、強い遺憾を表明し即刻中断するよう促した。
キム報道官は「北が公的なメディアを通じて、口にするのも憚られる、引用すらためらうような発言をしたことは極めて遺憾」とし、「即刻に中断しなければならない」と表明した。
彼は「南北関係の健全な発展のためには北が言動を自制し慎まねばならない」と強調した。
これに先立ち北は、国防委政策局報道官の談話でパク大統領の実名を挙げ、低俗な表現を動員して非難した。
(訳注:この件に関する経緯を整理すると以下のとおり。パク大統領は去る23日、米CSISのジョン・ヘイムリ所長一行に面会した席で「キム・ジョンウン委員長が引き続き韓半島の緊張を高めている。経済発展と核開発を同時に併行するという、成功するはずのない賭博を試みている」と非難した。それを受け、北の国防委は25日の談話で「傀儡大統領パク・クネの発言は無謀なことこの上ない妄言であり、極悪な対決本性を表わしたもの」と応酬した。)
キム報道官はまた、北のチェ・リョンヘ特使が最近訪中して対話の意志を明らかにしたことに対して、「私たちは基本的に言葉ではなく行動が重要だと見なしている」とし、「中朝両国におけるこのような動向が、北にとって国際的な義務と国際社会に対する約束を遵守する契機になることを期待する」と明らかにした。