昨日だった、父とかつてのあやめ池遊園地の跡地を通ったときに、「昔、ここにな、市川右太衛門の映画撮影所があってん。竹林とかな、いっぱいあって、時代劇によかってんで~」と父が言う。ええ~、こんな所に映画撮影所があったなんて、初めて聞きました。そりゃ、昔から遊園地があったのは知っているが、撮影所なんて、父の勘違い、かな。市川右太衛門って、もう知らない人がほとんどかもしれない。北大路欣也さんのお父さんです。昔々の旗本退屈男を演じた役者さんです。
で、さっき急に思い出してパソコンで調べてみた。市川右太衛門がプロダクションを起こして独立し、現在の奈良市あやめ池北1丁目に撮影所を、1927年に建設したとある。父の言うことは、本当だったんだ。撮影所は1941年に閉鎖されたらしいけど、遊園地とほぼ併設だったんだろうね。この撮影所では、結構映画が量産されたらしいよ。そんな文化芸術の軌跡も、かつて賑わった遊園地の喧噪も、今はあとかたなく。小学校と幼稚園が建てられ、池の向こうにはマンションが建設されている。そして、住宅地や商業施設、医療施設ができるらしいけど。ま、しょうがないのか。子どもの頃に、深夜の遊園地動物園から聞こえたライオンの咆哮が、今も頭の中にある。昔はそれだけ、静かだったんだ。今は代わって、深夜でもうるさいバイク音が聞こえる。でも、いや~、知らなかったな~、あやめ池に映画撮影所とは。