ワン・チャンス

才能はあっても、それを発揮できる場がない、評価されない、その時点以前に、相手にされない。そして、だれもが思いもしなかったチャンスをつかみ、花開く！だからこそ、映画になり、話題になり、奇跡とか、素晴らしい！！と絶賛されるのだが、こういうケースが多いのが、イギリスの話が多いのは、やっぱイギリスの階級社会が厳としてあるからじゃないかと、映画を見ながら感じる。

小さい頃からぱっとしなかったポール。いじめられながら、それでも大好きオペラを歌い、自分を理解してくれる女性にも出会い、地道に生きてきた。その歌の才能は、彼の周囲では評価されており、学校でも学び、小さな舞台に立つこともあったが、花開くことはなかった。そして、最後の最後、望みを託して「ブリテンズ・ゴッド・タレント」というスター発掘番組に出場。いかにもダサい、ぱっとしない風貌に、場内は失笑。誰も期待のかけらも持っていないところに、見事な歌声を披露。彼は一躍スターになる。

こうなるってわかってるから、安心して見られるし、ちゃんと感動するところで感動させてもらう。裏切らない映画。いじめっ子のにくったらしいのもお約束、そいつをぎゃふんと言わせるとこも用意されてるだろうなあ～の期待を裏切ることもない。王道のサクセスストーリーを見せてもらった。

素材自体が見事な物語。ただし、これは奇跡でもなんでもなく、ポールにとっては、ちゃんと才能が開花し、それが評価されただけのこと。何よりだ。

◎◎◎○

「ワン・チャンス」

監督　デビッド・フランケル
出演　ジェームズ・コーデン　アレクサンドラ・ローチ　ジュリー・ウォルターズ　コルム・ミーニー　ジェミマ・ルーパー