迷宮映画館

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スパイ・ゲーム

2001年12月18日 | さ行 外国映画
1991年、中国の堅牢で名高い刑務所にアメリカ人が潜入、囚人を助けようとしたが失敗した。彼はCIAのエージェント、トム・ビショップ、時あたかもアメリカの高官が中国に訪問する直前。トラブルは絶対に避けたい。CIAは彼を見殺しにすることにした。その日はトムの直属の上司で、彼にスパイ術を仕込んだ選り抜きの捜査員が、退職をする日だった。それが伝説の作戦担当官ネイサンだ。荷物もまとめ、IDカードも今日でおさらば。目を瞑れば、すべて終わるはずだったが、そうはいかない。CIAも見捨てた一人の捜査員の命を、自分のコネと針を通すような細い綱渡りで助けることにする。

二人が始めて会ったベトナム戦争終結のあたりの時代から東西冷戦の真っ只中。ベイルートでの物騒な騒動などなど。作戦本部でトムのことを調べていくに合わせて、彼らの歴史、アメリカの歴史、世界の現代史が語られていく。80年代前半まで、ソ連が崩壊するなんて世界中の人の誰が予測していたであろうか。86年のチェルノブイリの原発事故をきっかけに世界は怒涛のごとく変化した。しかし、その前も後もCIAはいろんなところで暗躍してたんだろうなあと思わず納得させるうまい話の運びだ。

どこまでも非常なネイサンについていけなくなって袂をわかってしまったトム。でもきっとトムの歩んだ道はネイサンのそれだったろうと想像する。長年培ってきたコネや人脈をフルに駆使して、それこそハイテクのこの世の中でアナログ的に助け出そうとするネイサン。最後にそこまでするのといぶかしげる向きもわかる。でもこれはレッドフォードだから許される男の美学なのだ。この顔合せだからこそできる話なのだ。

「ノアはいつ船を作ったか?」この答えはものすごく簡単なのだけど、ものすごく重く、当たり前なんだけど、難しい。答えは映画の中でどうぞ。人生に必要なことです。 私的には非常に面白かった1本です。ただ、現代史が少々わかってないと理解できないところがあります。ちょっとだけ、勉強してから行きましょう。

「スパイ・ゲーム」

原題「Spy Game」 
監督 トニー・スコット 
出演 ロバート・レッドフォード ブラッド・ピット 2001年 アメリカ作品


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