迷宮映画館

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私の、息子

2014年11月13日 | わ行 映画
見逃しそうだったのを、ちょろっと見つけて鑑賞。2013年ベルリン国際映画祭で金熊賞と国際映画批評家連盟賞をダブル受賞したのをあとでから知った。見た数は少ないルーマニア映画だが、どれもピリッと効いているのが多い。

いい年になっても息子を溺愛し、あれやこれやと世話を焼いては、うざがられている母親。んな、とっとと子供らには自立してもらって、親の立場を放棄したいと思っている自分にとっては、絶対に相いれない。年齢を重ね、自然に子供と離れていくのが普通だと思うが、そうならなかったのはどうしてだろう?という疑問の方が頭をよぎった。

なにか特別なことがあったのか。子供の方がいつまでも、親を頼っていたのか。頼られていることに喜びを感じてしまっていたのか。

そこに事故の知らせ。もちろん子供のことを心配する。しかし、息子は加害者。相手を車で轢いて死なせてしまった。息子が取り締まられている警察に直行した母は、とにかく息子に不利にならないように、なりふり構わず取調べさせ、陳述書を変えたり、傍若無人にふるまう。有力者である母親に、警察もあまり強いことを言えない。

ありとあらゆる方法で、罪をもみ消そうとする母。母の行動を見て、息子は逆切れ。30過ぎてるようだが、マジにただのガキ。それでも母親はめげない。これぞ母の鑑(?)!自分のやってることが、息子のためであり、息子の将来のためであり、息子の幸せのため。そのことに一切のぶれはない。

ルーマニア語の原題は知らないが、英語の題が「CHILD'S POSE」。胎内にいるときの胎児のポーズのことだとか。赤ん坊にとっては、心地いい姿勢であっても、大人の身には苦痛そのものであるというのが、題の由来することらしい。

共感を得ようとするものではないし、こういった親子関係の方が圧倒的に少ないが、なぜか妙に気持ちがわかる作りがうまいんだろうなあ。見ていて、「オレオレ詐欺」を思い出した。今は、そういわないか。会社の金を使ったとか、事故を起こしてしまったんで、示談したいから金が欲しい・・とか言って、金をだまし取ろうとしたと。

もし、自分に子供からそんな電話がかかってきたら、迷わず警察に行って、自分のしたことを償って、反省しろ!というと思う。起こしてしまった罪は消えることはない。隠そうとする方が間違いで、もしそんな考えを持っていたら、償いに導くのが親の務めではないかと。大げさに言えば、ひき逃げしろ!と言ってるようなもんではないかと思った。

どっちにしろ、お天道様を真っ当に見れないような生き方はしちゃいけない。そうするのが親ですよ!と言いたかったのがこの映画の主旨かな。

こちらが日本版のポスター。



絶対に英語版の方がいい。

◎◎◎○

「私の、息子」

監督 カリン・ペーター・ネッツアー
出演 ルミニツァ・ゲオルギウ ボグダン・ドゥミトラケ イリンカ・ゴヤ ナターシャ・ラーブ フロリン・ザムフィレスク


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