さいかち亭雑記

短歌を中心に文芸、その他

自作紹介

2017年08月18日 | 現代短歌 文学 文化
考えてみれば、自分の短歌作品をこのブログに載せたことがなかった。
ここ二年程の歌の中から抄出する。


バラードしかかからぬ酒場に富士山のうしろの雲がのしかかり来る

『泥鰌庵閑話』読みつつ思ふ このところ減退したるものは何なる

妄想をモウゾウと訓み大き蛇山めぐりする里に佇む

里の女あかり持ち来るしののめの胸苦しきまで雲うねる見ゆ

大島が今日は見えたり大島は苦しむひとを常になだむる

監視され生きるのが楽 アイドルの声に包まれ眠るのが 好き?

猫の眼にカメラを仕込み女主人たとへば上戸彩を毎日見るにや

武器輸出解禁したり軽々と国是を捨つる動物(アニマル)の国

南沙諸島の埋め立てにより減る稚魚の膨大な影 ネットを覆ふ

文明史の真実なれば土地と水と荒れたる国は早晩ほろぶ