烏帽子岩と二本の剣 九合目
期日 : 2003年10月 26~27日
メンバー : 単独
コースタイム
一日目 天気 晴後曇
須玉IC7:10=尾白川渓谷駐車場770m 8:40~50―休憩9:50~1:00―笹ノ平10:36―昼食 11:17~32―刃渡り11:45―刀利天狗12:08―五合目小屋(屏風岩)12:38~56―急な梯子と鎖13:38―七丈小屋13:42
二日目 天気 快晴
七丈小屋6:23―八合目御来迎場6:52~7:00―垂直大岩鎖場 7:12―駒ヶ岳神社7:43―山頂7:49~8:45―烏帽子岩と二本剣9:11―八合目御来迎場9:45~50―梯子と大岩10:01―七丈小屋10:18~41―五合目屏風岩(小屋跡)11:23―刀利天狗11:58―刃渡り12:09~12―昼食1965m12:20~40―笹ノ平12:51―竹宇駒ヶ岳神社14:00―駐車場14:06=名水公園760m 14:20~15:30=帰路へ
時間 12:39、登り6:18(4:52+1:26)、下り 6:21、距離19.2km、標高差 2996-770=2266m 累積標高差2517m
甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根 ルート1
甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根 ルート2
甲斐駒ヶ岳 黒戸尾根ルート標高
記録、感想
一日目
今週末も天気が良いとの予報。今年最後の3000mとして三大急登の黒戸尾根経由甲斐駒に行くことにした。予報では土曜日は天気がよく、日曜日は曇時々晴のとの事。
道を間違え尾白川渓谷駐車場に予定より一時間遅れの8時40分に到着。七丈小屋までコースタイム7時間の予定であるから、遅くとも4時半には小屋へ着くとの予定。「ビスターリ」の気持ちで出発。尾白川渓谷駐車場から竹宇駒ヶ岳神社に向かう。尾白川渓谷や日向山をハイキングする人が多い。
尾白川渓谷周遊路分岐
竹宇駒ヶ岳神社は昨年の失火で焼けてしまってまだ再建されていない。吊橋を渡り十二曲りのジグザク道を登ると右方向に再び尾白川渓谷の標識。直進し樹林帯のU字型に切れ込んだ落ち葉が積もった道を登っていく。昨年の雨乞岳の登山道を思い出す。急坂を登り痩せ尾根を登るがなかなか粥餅石につかない。コースタイムより遅れているのではないかと不安になる。北西には木々の間より白いガレのある日向山が見えた。笹が多くなり平になると急に小さな標識が見えた。どうやらここは笹ノ平らしい。粥餅石方面へはガレの通過が危険なため新しい巻道になっていた。コースタイムは2:30のところ1:46で来たことになる。
ここで20kg程の大きなザックを背負った人に追いつく。こちらは寒くて長袖なのに半そでのシャツである。テント持参らしい。それにしてもかなり早い。紅葉がなくなりシラビソなどの針葉時樹林になった。11時になったので昼食。南方向に木の間から地蔵岳、観音岳が見えてきた。その上に富士山。すばらしい。すぐに刃渡りに到着。両側が切り落ちた道。しかし鎖が付いており安全に渡れた。日向山、八ヶ岳などが見えた。
刃渡り、鎖がある
展望良好
また、大武川をはさんで鳳凰三山、富士山、尾白川をはさんで鋸岳が見えた。ここを通過すると三段の梯子。登りきると刀利天狗の祠ピークに到着。さすが信仰の山である。駒ヶ岳教として江戸時代から大正まで盛んに登られたとのことである。
刀利天狗手前の水平梯子
刀利天狗 四合目
黒戸山の北側、シラビソや苔むした木々の間をゆるく巻いて下ると林が切れ五合目小屋に着いた。五合目小屋は皇太子が昼食を取られたところである。今は営業していない。中はきれいで充分使用可能である。前には、まだ青い木を載せた屏風岩がそびえていた。その向こうには六合目ビークと甲斐駒の頂上と八合目がはるかかなたに見えた。でも七丈小屋までは一時間のコースタイムであるから少しのんびりする。
黒戸山の西五合目から甲斐駒ヶ岳山頂と六合目ピーク
ここで東京から来た人に会う。何でも昨夜出て韮崎の駅で一眠りして登ってきたとの事。疲労で膝が痛くなりのんびり登っていくとのことであった。初めて言葉を交わせる人と会って何か人恋しくなった。休んでいると先ほど追い越してきたテント泊の人が着いた。速いな。
下ると五合目鞍部に屏風小屋跡があった。もう小屋は取り壊されてない。鞍部は屏風岩と言われており、祠やたくさんの石碑があった。本当に信仰の山である。
五合目鞍部屛風岩 祠と長い梯子
祠の脇から長い梯子を登り、2262mピーク(地図上の屏風岩)を越して下ると二重の六丈橋。橋を渡り梯子を登ると、六合目不動岩。威力不動の石碑と剣が三本あった。高度感のある急な三段梯子と鎖場を登ると七条小屋に到着した。
白く尖った屋根のすてきな小屋である。さっそく宿泊の手続きをしてビールを飲む。うまいこと。小屋はすでに四組到着しており話で盛り上がっている。
垂直な梯子を登ると七条小屋
65才くらいの御夫婦は鋸岳や穂高など厳しいところを登っているとの事であった。小屋はストーブが入り暖かかったので移動したくなかったが、今日は宿泊者が多いため、素泊まりの我々二人は第二小屋に行くことになった。後で頂上に行って来た人と三人でウイスキーのお湯割を飲んで盛り上がった。やっぱり山の話をしながら飲む酒はおいしい。
二日目
二日目の予報は曇であったが、台風が太平洋を通り過ぎたため快晴になった。寒い為早出せず6:23に出発。もう一人の人はすでに出発。サブザックに水筒とカメラとゼリーを入れ出発。
小屋の上のキャンプ場を過ぎてしばらくゆるい道を登っていく。梯子を一つ登り右側の大岩を過ぎると八合目御来迎場に6:53に着いた。花崗岩の鳥居はすでに壊れ片側の柱だけ残っていた。石碑はしっかり残っているが残念であった。ここは樹林限界を越したところでハイ松と低い木が多い。
八合目御来迎場 鳥居は壊れている 展望が良い
八合目えぐれた鎖場
下には黒戸山、雁ヶ原、八ヶ岳、金峰山や鳳凰三山、摩利支天、鋸岳などが見えた。
すばらしいところだ。ここから鎖場を登りオーバーハング気味の鎖場を登りトラバースして急な岩の登り。二本の剣が立てられた大岩の下の急坂を登るとゆるくなり、まもなく駒ヶ岳神社本社に到着。お参りをして頂上へ急ぐ。
烏帽子岩の西側を登ると上に出た 二本の剣が立てられている
駒ヶ岳神社本社 山頂が見えた
白い花崗岩の道を登って行く
甲斐駒ヶ岳山頂
頂上には四人組が展望を楽しんでいた。天気がよく360度見渡せた。今回で三回目であるがこんなに天気が良いのは初めてだ。鳳凰三山、富士山、北岳、間ノ岳、悪沢岳、荒川岳、塩見岳、兎岳、奥穂高岳、槍ヶ岳、大岩山、雨乞岳など数え切れない。
まもなく、ベテラン夫婦(糸魚川から来た人)や足をいためた人も到着。北沢峠からの登山者も着いた。
鳳凰三山と富士山
仙丈ヶ岳アップ
頂上からのパノラマ 350~40度
8~70度
90~140度
130~185度
170~240度
260~360度
285度 中央アルプス、御嶽山
300~325度 鋸岳
甲斐駒ヶ岳山頂標識にて
展望はいくら見ても飽きないが名残を惜しんで下った。頂上直下の北側の斜面は少し雪があったので慎重にコースを見極めながら下だった。しばらく下ると二本の剣が立てられた烏帽子岩に着いた。登る時は下ばかり見ていてわからなかった。こんな大きな岩に剣を立てるなんて昔の人の力はすばらしいと感心し驚いた。狭い岩の急坂を、鎖を頼りに下りトラバースするとオーバーハングの所に着いた。
スムーズにおりて、足場が切られた鎖場を降りると八合目の御来迎場。右側は摩利支天の岸壁、左側は横蓮谷の岸壁が見渡せる。ここまで下るとかなり暖かくなった。
烏帽子岩と二本の剣
烏帽子岩(右上)から降りて来たルートを振り返る かなり急坂
八合目から降りて来た道を振り返る 烏帽子岩、V形の岩が良く見えた
八合目か御来迎場
八合目から黒戸山
大岩の下の梯子を降りると七丈小屋に着いた。残っていたおにぎりとパンで二回目の食事をとり、ザックを背負うと軽くなったはずなのにまだ重く感じた。四段の梯子を下り、橋を渡ってさらに四段の梯子を下ると五合目鞍部に着いた。ここから眺める甲斐駒と屏風岩は少し紅葉があるが、鋭く聳え立っており厳しく見えた。
七条小屋に別れを告げる
六合目の急な梯子の下を下る
四合目の長い梯子を下って屛風岩に着いた
残っていたおにぎりとパンで二回目の食事をとり、ザックを背負うと軽くなったはずなのにまだ重く感じた。四段の梯子を下り、橋を渡ってさらに四段の梯子を下ると五合目鞍部に着いた。ここから眺める甲斐駒と屏風岩は少し紅葉があるが、鋭く聳え立っており厳しく見えた。
黒戸山のトラバースは、こけが生えたシラビソが茂っていかにも南アルプスという樹林帯を下った。
帰りは、名水公園の露天風呂で一浴し、露天風呂を独り占めして堪能し帰路についた。