「ブロモ」の語源は、ヒンズー教の神の“ブラフマ (Brahma)”であると言われている。
ブロモ山の中腹から高地に住むテンゲル(Tengger)族は、16世紀末にイスラム教のマタラム王朝によってジャワ島全土が席巻された時、ヒンズー教のマジャパイト王朝の残留者が山中に逃げ、ヒンドゥー信仰を守り抜いた。
この山の民は火山に恩恵を受けながら、また一方では火山の怒りを怖れながら生きてきた。
今なお、この地では、年に一度、テンゲル族に伝わる伝説の生贄儀式「カソド(Kasodo)」というブロモ山の怒りを鎮める荘厳な儀式が行われている。
テンガル暦12番目の月の満月の日にブロモ山の麓にたつヒンドゥー寺院で礼拝後、真夜中に火の神が住む火口に向って生きた鶏や羊、花や野菜、米、果物、菓子など様々なささげものを投げ入れ、祖先の霊を慰めるという。