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太平洋沿岸を飛ぶ (23) - 英虞湾

2010-02-06 | 中部
英虞湾は、志摩半島と先志摩半島との間に抱かれた志摩半島中最大の湾。わが国最大といわれる隆起海食台地が侵食を受けて細かい河谷が刻まれたのち、ふたたび沈降して生じたもので、典型的なリアス式海岸となって波静かな内湾に没し、そのなかに賢島、多徳島、土井ヶ原島、天童島、横山島など大小の島々が浮かぶ。その女性的な自然の美しさと、水面を埋める真珠養殖いかだの群は奥志摩の代表的景観として国際的に知られ、伊勢志摩国立公園の中心である。

古くからこの内湾では「志摩の白玉」(天然真珠)で知られるアコヤガイを産するほか、定置網でイワシをとってカツオ釣りの餌を供給していた。また湾内の多徳島は、御木本幸吉が1890年(明治23)初めて真珠養殖に成功した所で、以来英虞湾は養殖真珠のメッカとなった。

英虞湾の「あご」とは「波静かな海」という意味。「ご」が静かと言う意味で「あ」は「ご」を強調している。

鳥人と呼ばれるアメリカ人曲芸飛行士アート・スミスが1926(大正6)年来日し各地で飛行した際、この志摩の空を飛んだ。
飛行機が好きだった御木本幸吉は、自分の庭先で飛行機を飛ばすといって、多徳島の養殖場に突貫工事で滑走路を作り、そこで一大イベントが行われた。飛行機など見たこともない志摩の人々は船に乗り大挙して押しかけ、見物人は二万人を数えたという。スミスの機体は、カーチス・ヘッドレス・プッシャーという複葉機だった。

幸吉は、英虞湾にノース・ウェスト航空の国際定期便を呼ぶ計画が持ちかけられ、乗り気であったらしい。八十人乗りの飛行艇が就航することになっていたとか…



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