「草原の植物は連帯して生存しているものです。特に霧ヶ峰草原の植物はその連帯性が強く、群生しているところに特徴があります。連帯共存している植物群落に有料道路というメスを入れれば、植物は必ず死にます。このビーナスラインの延長には、キリガミネヒオウギアヤメのほか数十種類の貴重な植物の群落があります。有料道路を造れば、それらの群落は分断され、死滅することは確実です。植物を分類すると、門-網-目-科-属-種に分かれます。キリガミネと頭につく植物はこの種に当たります。あらゆる科学的根拠から四千年ないし五千年前に交雑して出来た種類と考えられます。その霧ヶ峰にしかいないという植物が、二十種近くあるのです。亡びたら、二度と帰らない自然なのです。有料道路を取りやめることはできないものでしょうか」
牛島春雄は、小林に向かって哀願するように言った。
(新田次郎著『霧の子孫たち』より)
1964(昭和39)年5月10日に、中信高原スカイライン、愛称「ビーナスライン」が、長野県企業局により茅野-蓼科-白樺湖間が開通した。
さらに1968)(昭和43)年7月21日には、白樺湖-霧ヶ峰強清水間、11.7kmが竣工。
引き続き、八島線が旧御射山遺跡を通って、八島ヶ原湿原のへりをかすめて建設されようとしたとき、道路建設計画が自然や文化などの破壊になるとして、この有料道路建設に疑問の目を向けていた「諏訪の自然と文化をまもる会」を中心とした県下の学者や文化人・住民などによる、猛烈な反対運動が起こった。
私事ですが体調を崩したりなどして暫くPCともご無沙汰でしたので、こちらへ伺う事も遠のいておりました。
いつの間にか八ヶ岳編~人気の山ですよね。アクセスの良さと自然保護の問題とは永遠に乖離するものなのでしょうね、偶然ですが新田次郎の本、また読み返しているこの頃なんです。
風nさま。
こんばんは。
いつもご覧いただきありがとうございます。
私も、「ビーナスライン」を利用して、霧ヶ峰や美ケ原の素晴らしさを知った一人として、たいへん複雑な心境です。
しかし、もっと長いスパンでものごとを考えることがひつようなのでしょうね。
難しいことですが。
お身体たいせつにしてください。
では、おやすみなさい。