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雲上を飛ぶ (40)

2010-03-24 | その他


JL907便(羽田発那覇行)は、JL958便(釜山発成田行)より若干高い高度を飛んでいた。
最接近の50秒前、東京航空交通管制部のレーダーの警報が作動したため、担当管制官は両機の接近を察知する。管制官はJL907便に35,000ftまで「降下」するよう指示、同機はこの指示に従い「降下」を開始した。実はこの指示は907便ではなく、958便に対して行うべきものであったが、管制官が便名を取り違えたために起きた誤指示であった。

まもなく907便と958便は接近、両機のTCAS(航空機衝突防止装置)が作動した。この時907便のTCASは「上昇」を指示したが、管制官の指示に従い「降下」を続けた。
一方、958便はTCASの指示通り「降下」した。

担当管制官を指導中の指導管制官が事態の悪化に気づき、907便に「上昇」の指示を出そうとした。しかし、この際便名を「957便」と呼び間違えたため反映されなかった。
一方958便のTCASは近づく907便に反応して「急降下」を指示、同機もこれに従ったため、両機はさらに接近した。

この日、上空の視界は良好で907便は、異常接近する958便を目視確認した。TCASは依然「上昇」を指示しており、管制からの新たな指示もなかったが、パイロットはとっさに急降下で、これを交わそうとした。
一方958便も異常接近する907便を目視、TCASは「急下降」を指示したままであったが、パイロットは「上昇」に転じる判断を下した。

この結果、907便は958便の直下20~60mを交差、空中衝突は回避された。


TCASと管制の指示の不一致が事態を悪化させたが、最終的にはTCASや管制の指示ではなく、目視によるとっさの判断で衝突を回避したことがわかる。


航空鉄道事故調査委員会は2002年7月、事故報告書を発表し、本事故を「主原因が管制官のミスにあり、これにTCASの運用規定の不備が競合したもの」と「複合原因」であることを明らかにした。



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