ゆっくり読書

読んだ本の感想を中心に、日々、思ったことをつれづれに記します。

ネット規制

2012-12-29 19:16:24 | Weblog
中国の海外私費留学生の数が、もうすぐ年間20万人を越える。
これは、すごい数だと思う。
もちろん、とっくに日本人の海外留学生数を越えている。
たぶんここで人口比の話をしても、意味はないだろう。

中国人は、外国語を習得するのが速い。
先日、社員旅行でタイに行った時も、
中国人スタッフは、ガイドさんに教えてもらったタイ語をすぐに使いこなしていた。
ただ、実際にタイ人と触れ合うことがなかったので、使いはしなかったけど、
もしこれで、タイ語を母語とするタイ人と接していたら、
もっと格段にたくさん言葉を覚えて帰ってきたことだろう。

中国人にとって言語は、自分の要求を伝えるためのツールだ。
だから、言語は上手くなったとしても、
同時に相手の文化への理解が深まっているとは限らない。

日本人は、外国語を学ぶのはあまり得意ではないけれど、
相手の文化や習慣を尊重する気持ちは非常に強いので、
心は通じるけれど、言葉は通訳を介することが多いと思う。

これは、日本人に言霊の信仰があるからだろう。
「言い間違ったら恥ずかしい」というのは、表面的な理由であって、
その根底には、言葉という存在自体への尊敬の念があるのだと思う。

だから、「言い間違ったら恥ずかしいので、通訳さんにお願いしてるんですよ」というのは、
決して恥じることではなく、堂々と日本の文化として表明すればいい。
そう思う。

上海にいる日本人がよくこう言う。
「なんとか自分の言いたいことは言えるようになったんですけど、
 相手が何を言っているのか聞き取れないんですよ」と。
中国人はそんなことは言わない。
そもそも、たとえ中国語であっても、
中国人は相手が言っていることなんて、まともに聞いてはいないから。

だから、言葉の裏側にあるものを考える力って、ものすごく素晴らしい力だと思う。
気が利くって、本当に素晴らしい文化だと思う。

さて、中国の全人代が、Web上のアカウントの実名制を正式に決めた。
微博なども、実名を明かさないと利用できなくなるので、
私はその段階で使用を中止する予定だ。

政府への誹謗中傷を抑制する目的なのかもしれないけれど、
実際、微博で回ってくる写真には、目を覆いたくなるようなものが多いので、
私としては、複雑な気持ちだ。
実名制にして抑制するよりも前に、学校教育を変えたほうがいいと思うけど、
それをすると結局は共産党の一党独裁に響くのだろう。
公共や公衆、および個人の権利を共産主義のもとで歪め、
インターネットが急激に普及したからこうなってしまったわけなので、
自業自得のようなものだろうと思う。

いまは、中国は急速に豊かになっているし、海外留学に行ける人も増え、
今後も少しの間は内需に頼って、ゆるやかでも他国よりはマシなペースで
発展できるかもしれないけれど、
さて、それが頭打ちになったとき、もしくは環境破壊等でどうしようもなくなったときに、
どうなるだろう。

いま、中国人が馬鹿にしている東南アジアの国のほうが、
よっぽどネット規制がなくて、情報も自由に交換できる。

成金しかいない国って、非常に危ういと思う。


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