つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

立春、上越にて①。

2023年02月04日 21時00分00秒 | 旅行
                    


僕は今、津幡町にはいない。
新潟県・上越市を再訪しビジネスホテルで草鞋を脱いだ。
大浴場で汗を流し、買い込んだ惣菜を肴に酒盛り。
朝早くから巡った行程を反芻しながらキーボードを叩く。
しかも、上越の場外舟券売り場で投票した競艇レースをスマホで観戦しながら。
--- 日常を離れた「旅」と「旅打ち」、そして「独り」。
これは、個人的に「至福」の時間なのだ。



さて、立春ながら上越の残雪は多い。
路上の雪は取り除かれているものの、路肩・歩道・屋根には雪の山。
昨年のクリスマス~先日の大寒波の折は、
さぞ忍従・苦労を強いられたことと察する。
履物にブーツを選んで正解だったなと思いつつ、僕はまず「高田世界館」へ向かった。
(※以下、太字は高田世界館HPより引用/抜粋)



<歴史的な文化遺産として>
高田世界館は1911年 (明治44年) に芝居小屋「高田座」として開業しました。
5年後の1916年 (大正5年) に「世界館」と改称、常設映画館となりました。
その後「高田東宝映画劇場」「高田セントラルシネマ」「松竹館」等
名称を変えつつ営業が続きました。
現役で営業している映画館としては日本最古級と言われ、
当時の趣を残す建物は国の登録有形文化財や近代化産業遺産にも指定されています。






<取り壊しの危機>
2007年まで、常設館として最後にあたる「高田日活」(成人館)として営業を続けていました。
しかしながら、その年に起こった中越沖地震などの影響により雨漏りが酷くなり、
建物の老朽化が深刻な問題になっていきました。
個人オーナーによる運営ではもはや映画館を維持することが難しく、
廃業と建物の取り壊しの危機に迫られていたのです。






<NPOの設立>
そんな中、同館を地域の財産として残そうという市民の有志や
映画ファンが中心となって保存活動が始まり、
2009年にはNPO法人「街なか映画館再生委員会」が発足。
個人オーナーから高田日活の譲渡を受け、新たな体制による運営がスタートしました。
以来、歴史的な建造物であるとともに
街に界隈を生み出す施設でもある映画館の
再生保存・活用に向けての活動が具体的に検討され始め、
その再生のための募金運動も活発化していきました。

<「再生」へはまだ道半ば>
現在ではメディアへの露出も少しずつ増え、
全国でも有数の文化財として注目されるようになってはきましたが、
老朽化の問題が解決されたわけではありません。
今後も耐震補強、冬場の防寒対策などの課題を抱えています。
ですが、そうした中でも映画館として
日常のコンテンツを提供できるくらいにまで持ち直すことができました
建物保存が目下の課題であった高田世界館でしたが、
今は保存の先にある「活用」へとステージが上がりつつあります。
常駐の職員の設置を経て、今後は街に賑わいを生む
文化施設・コミュニティスペースとして定着していくことが望まれます。






本日は作品鑑賞をするタイミングが合わず、館内見学に留まる。
上映時間の合間を縫った10分間余りの慌ただしいものだったが、
それでも時を経た風合いは充分に感じられた。
また、地元の熱心な映画ファンたちが交わす会話も耳に挟む。
文化施設・コミュニティスペースとして定着が進んでいるようだ。
尚、1階観客席の後ろ、壁際に「アーケードゲーム機」が放置されていたのは、
前述「成人映画館」時代の名残だろうか。

さて、今観光のメインイベント「高田瞽女(ごぜ)」による
「門付け(かどづけ)」の再現である。



瞽女とは江戸時代から昭和39年まで活動していた盲(めしい)の女旅芸人。
信州 、関東・東北地方から一部北海道まで渡り、語り物や歌い物を唄い歩いた。
娯楽が少なかった当時、農村部では農閑期にやってくる娯楽として歓迎されたという。
最盛期の明治半ば、上越・高田には90人近くの瞽女が暮らしていたそうだ。
冬、演奏会開催に先立ちPRのため家々の玄関先でパフォーマンスをしたのが門付け。
こうした文化を知ってもらおうと再現が行われたのだ。

--- ひと言でいえば「とても良かった」。
三味を爪弾き小唄を口ずさみながら、伏し目がちに歩く一行を眺め、
蘇ったかつての情景に浸ることができた。
高田瞽女に関する僕の思案は、回を改めて披露したいと思う。





歴史絵巻が練り歩いた場所は「雁木(がんぎ)通り」。
雁木とは、おもに冬季の通路を確保するため、
家屋の一部やひさしなどを延長したもので、豪雪地の生活の知恵だ。
高田地区に現存する雁木の総延長は、日本一。
およそ一年前の投稿同様、雁木のある風景のスナップで結びとしたい。
但し、今回は「モノクロ」である。










                       

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2 コメント

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りくすけさんへ (Zhen)
2023-02-05 17:23:38
こんばんは

モノクロームの「雁木のある風景のスナップ」、味があります。特に3枚目。

いい旅、してますねぇ~。

では、また。
Zhen様へ。 (りくすけ)
2023-02-05 22:55:12
コメントありがとうございます。

旅の達人・Zhenさんのお褒めに与り光栄至極。
今回は割合長い距離と時間、彷徨いました。
どこも似た構造ですが、同じ風景はなく、
雁木通りは一種の迷宮だと実感した次第です。
楽しい時間を過ごせました。

上越旅はもう1、2回続きます。
よろしかったら覗いてやってくださいませ。

では、また。

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