つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

寒中見舞い。

2023年01月22日 19時19分19秒 | 日記
                          
寒中お見舞い申し上げます。

2月3日までは二十四節気の最終節「大寒(だいかん)」。
本日(2023/01/22)の北陸は割合穏やかな気候ながら、
明後日からは、列島上空に今季最強の寒波襲来!と盛んに耳にします。
日本海側、太平洋側でも大雪に警戒が必要で、寒さも厳しくなる見込み。
どうかお気を付けくださいませ。

さて、江戸時代の浮世絵に描かれた冬の描写を観ますと、
お江戸・日本橋には雪が積もり、富士山も真っ白。
当時、積雪量は多かったようです。
14世紀半ばから19世紀半ばにかけては、いわゆる「小氷期」。
特に江戸時代中期頃は非常に寒かったんだとか。
記録によれば、冬に隅田川が凍結したそうですから、相当なものです。

--- 先人はどうやって寒さを凌いだのか?
気になった僕は、ちょうど「津幡ふるさと歴史館 れきしる」で始まった、
冬の民俗資料展示「暖房器具のいろいろ」へ足を運んでみました。



『家のつくりやうは、夏をむねとすべし。冬はいかなる所にも住まる。
 暑き頃わろき(悪き)住居は、堪へがたき事なり。』

「吉田兼好」が著した『徒然草』の一節にあるように、
満足な冷暖房装置のなかった頃、家は“夏の住みやすさ”を優先。
風通しのよい建物にしないと、暑さや湿気で健康を害する恐れアリ。
冬は厚着や採暖、そして「気合い」で乗り切るのだ!
そんな感じでしょうか?



エアコン、ストーブ、床暖房など夢のまた夢。
空間を暖めるテクノロジーはなく、機密性の低いお家は隙間風がぴゅーぴゅー。
寒さに震える体を温めたい時に使ったのが「火鉢」でした。
その歴史は古く「清少納言」の随筆『枕草子』に「火桶(ひおけ)」が登場します。
燃料は燃焼時間が長く、火力が安定し、煙の出ない木炭。
炭火には輻射効果があるので、小さくても体の芯まで温まり、
火事の危険性も低いという訳です。



また火鉢は、多機能アイテムでした。
暖房器具としてはもちろん、湯を沸かしたり、鍋を煮たり、お餅を焼いたり。
「長火鉢」の本体には引き出しが付いていて、
湿気を嫌う海苔や茶葉、煙草などを収納していました。
なるほど、生活の知恵ですね。

長火鉢を見ていると、置屋の女将が木枠に肘をつき、
煙管を吹かしながら小言を言う時代劇のワンシーンを思い出してしまいました。



時代は下って、昭和。
個人的にノスタルジーを感じるのは「湯たんぽ」、
そして「電気行火(あんか)」でしょうか。
寒い冬の夜、お湯を注ぎタオルでくるんだ湯たんぽが寝床の足元あると安心しましたが、
暖かさが朝までもたないのが玉にキズ。
いつしか役割を担うのが家電に変わり末端の冷たさから解放された時は、
そりゃあ嬉しかったのを覚えています。



掘り炬燵。
置ごたつ。
携帯懐炉。
館内には見かける機会が少なくなった暖房器具が並んでいます。

この民俗資料展示を観覧するといつも同じモノを感じます。
それは「息遣い」。
殆どすべてが「誰かが使った物」ばかり。
人の温もり封じ込めた陳列に、心を動かされてしまうのです。

冬の民俗資料展示「暖房器具のいろいろ」は、3月26日(日)まで開催。
機会と都合が許せば、足元にお気を付けてお出かけになってはいかがでしょうか。

最後に繰り返しになりますが、
拙ブログをご覧の皆さま、どうか寒さに負けずお身体ご自愛くださいませ。
では、また。

令和五年 大寒
りくすけ
                            

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