「本当の勝者は誰だったのだろう」
1着は、4号艇で出走した“福岡の総大将”「瓜生正義」だった。
2着は、5号艇に乗艇した“長州の白鮫”「白井英治」だった。
3着以下は --- いない。
ゆうべ、大阪・住之江競艇場で行われた「第36回 グランプリ」優勝戦は、
悪い意味で「歴史に残るレース」になってしまった。
本番の並びは、1245スロー/36ダッシュ。
4対2の隊形。
スタート直後から捲りに出ようとする5号艇「白井」。
その動きをけん制して止めた4号艇「瓜生」が、
返す刀で1号艇「峰」に、目の覚めるようなツケマイ(※)を放つ。
(※旋回内側の艇にピッタリ「付けて回り」外から抑え込む高等技術)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/7a/3c/8d84f4e2d18b4b4d6835968f2349d5c9.jpg)
「瓜生」の攻めが決まった瞬間、「峰」はインの僅かなスペースから応戦しようとした。
しかし、これは無謀な苦し紛れ。
回り切れずターンマークに激突。
そのまま、もんどりうって横転。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/11/45/5569a34a4f5b286d6c5a24f8ec8d9890.jpg)
そこに、切り込んでいた2号艇「丸野」。
突貫体制で追いすがった3号艇「平本」。
最内を狙い加速していた6号艇「毒島」。
皆、避けきれず、次々と乗り上げ、転覆。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0c/2a/dbbad1c08fcd017b0cfffd9c4aca6c66.jpg)
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/64/3fb219d6b32426311c4b0a9b260f57cb.jpg)
複数が舟底を見せ折り重なる様子は、まさに死屍累々。
惨事と言っていい。
最後方にいた「白井」だけが難を逃れ、トップの「瓜生」に続いてゴールイン。
最後まで走り切ったのは二艇しかいない為、3連単、3連複は不成立。
このレースの発売総額42億7,000万円余りの96%、
41億1,000万円以上が購買者へ返還された。
開始からものの数秒で決着した前代未聞の日本一決定戦。
救いだったのは「白井」が残ったこと。
もし彼まで事故に巻き込まれたら、全不成立、全返還になるところだった。
そして、4人のレーサーが大事に至らなったことだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/37/be/bc3e20ef44c4dff0d8a7276fe79e436e.jpg)
勝ったのは確かに「瓜生正義」である。
たとえ事故にならなくても一着だった可能性はとても高い。
だが事故が起こらなければ結果は違っていたかもしれない。
それは、誰も見ることのできない「幻」となってしまった。
息を突かせぬ攻防も。
胸を躍らせる逆転も。
歓喜も祝福も、涙も。
僕の毒島戴冠の夢も。
すべてが幻と消えた。
「本当の勝者は誰だったのだろう」
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