「津幡町ふるさと歴史館 れきしる」にて、企画展「暮らしのどうぐ展」が始まった。

<現代は昔に比べて「道具」が進化していて、便利な生活が送れています。
昔の「道具」は知恵を使い快適に生活ができるように工夫されていました。
また、電気がない時代に暮らしが便利になれるよう工夫され、
環境に優しく、今でも使えそうなものや現役で使っているものもたくさんあります。
今回は当館が所蔵する「道具」の一部を
「食べる・暮らす・学ぶ・遊び」をテーマに150点展示しました。>
(※れきしるパンフレットより引用/抜粋 原文ママ)


漆塗りの食器類。
町内・寄贈者の家に明治時代から伝わるものだとか。
美しい金蒔絵からわかる通り、普段使いよりやゝ豪華版。
堅牢重厚な作りは輪島塗か。
冠婚葬祭・節句などの折に活躍したと推測できる。
つまりは、季節の変わり目や人生の節目に封を解かれ、
「行事食」を供する役割を与えられた道具だ。
その器に口を付ける時、人は喜びや悲しみを感じてきたに違いない。

一方、卓袱台の上に並ぶ様子は日常の食事風景を再現したもの。
四人家族のようだが、こうして同じ時間に同じ食卓を囲むことは、
今では案外珍しいかもしれない。
ご飯、汁、香の物、お菜--- 4つの要素で構成された「一汁三菜」。
焼魚、煮物などは「れきしる」スタッフさんの手作りサンプルとの事。

中でも「梅干し」の出来栄えは、自信作だと聞いた。
確かに、じっと眺めていると生唾がわいてきた。

そろばん、教科書、ガリ版用のヤスリ。
僕が少年だった頃、津幡小学校にはガリ版専用の小部屋があったと思う。
インクで指を汚しながら、何度かローラーを動かした記憶がある。
ロウの紙にガリガリと音を立てつつ鉄筆で書いたのは、クラス報の類。
画像に写るメーカー「王冠ヤスリ工業株式会社」は、存続しているのだろうか?

おはじきは縁遠かったが、ビー玉ではよく遊んだ。
細かなルールは忘れてしまったが、誰かとの対抗戦だったと思う。
地面に掘った穴に投げ入れたり、指定のビー玉に当てたりして、
成功率を競い合ったはず。
勝者への報酬も、敗者の負債も、やはりビー玉だった。

展示されている道具達は、どれも飾りじゃない。
人が使い、人と共に暮らしの一部を担ってきた。
そして、役目を終え「れきしる」に並んでいる。
馴染みのあるものも、そうでないものもあるが、
観賞するうち彼らが現役だった頃が思い浮かぶ。
それはどこか甘酸っぱい感慨を抱かせてくれた。
「れきしる」企画展「暮らしのどうぐ展」の開催期間は2022年6月12日まで。
5月5日は開館時間を延長し、こどもの日ナイトミュージアムを実施。
また、同じ5月5日~11日までの児童福祉週間は、
親子で来館すれば無料で見学できるとの事。
時間と都合が許せば、足を運んでみてはいかがだろうか。
