「その時」は、突然やって来た。
一昨夜、母親が亡くなった。
末期の肝臓がんを患い、余命一週間の宣告を受けてからちょうど8日目の夜だった。
臨終の数日前から夢うつつの様子だったが、
呼びかけには反応していたから、聴覚は残っていたと思われる。
肩で息をするようになり、時折、表情を歪め呻き声を発していた。
時間の問題。
それは明らかだったが、いつになるのかは分からなかった。
日中に見舞ってから数時間後。
危篤の報を受け病床へ駆けつけた時は、まさに命の火が燃え尽きる瞬間。
目を見開き、口も開いたまま。
身体全体を使い、かろうじて呼吸をしていた。
息を吸って、休んで吐いて。
休んで吸って、また吐いて。
そのリズムがスローになってゆき、息をしない時間が徐々に長くなり、やがて止まった。
彼女の闘病が終わったのだ。
医師によって死亡が確認された後、外に出て見上げた夜空は澄み渡り、
美しい星々が瞬いていた。
万感を込めて。
「さようなら」。

一昨夜、母親が亡くなった。
末期の肝臓がんを患い、余命一週間の宣告を受けてからちょうど8日目の夜だった。
臨終の数日前から夢うつつの様子だったが、
呼びかけには反応していたから、聴覚は残っていたと思われる。
肩で息をするようになり、時折、表情を歪め呻き声を発していた。
時間の問題。
それは明らかだったが、いつになるのかは分からなかった。
日中に見舞ってから数時間後。
危篤の報を受け病床へ駆けつけた時は、まさに命の火が燃え尽きる瞬間。
目を見開き、口も開いたまま。
身体全体を使い、かろうじて呼吸をしていた。
息を吸って、休んで吐いて。
休んで吸って、また吐いて。
そのリズムがスローになってゆき、息をしない時間が徐々に長くなり、やがて止まった。
彼女の闘病が終わったのだ。
医師によって死亡が確認された後、外に出て見上げた夜空は澄み渡り、
美しい星々が瞬いていた。
万感を込めて。
「さようなら」。
