つばた徒然@つれづれ津幡

いつか、失われた風景の標となれば本望。
私的津幡町見聞録と旅の記録。
時々イラスト、度々ボート。

目と舌で楽しむ美の共演。

2018年07月02日 22時41分20秒 | 草花
今年も早や半ばを越えた。
平成最後の夏。
ここ北陸は、なかなかに厳しい暑さが続いている。
今のところ雨量は少ないが、湿度は高い。
散歩の折の眼福は、鮮やかに咲く紫陽花だ。

学名の「Hydrangea」は、ギリシャ語の「水」と「器」から成る。
水を好み、乾燥すると生育が覿面に悪くなる植物が、
これだけ美しさを誇っているのは、やはり湿潤である証だろう。

露に濡れ、陽の光を照り返し、実に元気。
大ぶりの花に見えるのは「装飾花」。
萼片が巨大化したものなのは、よく知られた話。
装飾花の下に、小さなホントの花が見えているのが判るだろうか。

紫陽花が盛りをむかえる頃、石川県・加賀地区の菓子店は、夏の繁忙期を迎える。
毎年7月1日(旧暦6月1日)の「氷室開き」の際の縁起物「氷室饅頭」だ。
津幡町の「加賀藩たかくら」でも店頭に出店を出し、
蒸したてを提供しながら引きも切らないお客を捌いていた。

加賀藩では、藩政期から冬場に積もった雪を「氷室」と呼ばれる保冷庫に保存。
夏場に取り出して氷として利用しながら、幕府にも献上していた。
その際に、無病息災を願ってお饅頭を食べていた習慣が、今に受け継がれてる。
皮の色は白、赤(薄い桃色)、緑(読みは「あお」)。
僕は、緑を選択。

齧り付くと、薄い塩味でほんのり酒の香りが漂う皮の中から粒餡が顔を出す。

やはり旨い。
美しい花と美味しい味の共演は、どちらも夏の風物詩である。

「文月や 花も味もある 便りかな」
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする