六甲1号の出撃にっき

撮影ロケの出撃模様のほか、日々の雑感なんかも綴ったものです。

美しい山陰の海と迂回貨物撮影

2018-10-02 |  出撃 at 中国地方
 .災い転じて福じて福となす
 7月に主に中四国地方を襲った豪雨でJR西日本・四国の多くの路線が被害に遭い、とりわけ影響が大きかったのが、山陽本線の三原-海田市間の被害で、当初は復旧まで数ヶ月と言われて、人の移動はもとより、物流への影響が非常に大きく、企業の生産活動にまで悪影響を及ぼしかねない状況でした。トラックや船への積み替えで苦労する中、もう1つの本線があるじゃないか! という話になりました。それが山陰本線です。
 しかしこの山陰本線、とっくの昔に貨物輸送をやめており、民営化後は旅客輸送に特化するため、線路設備も縮小されているので、山陽本線で走っているような20両編成の貨物列車など走れるような代物ではありません。
 オマケに牽引する機関車が風前の灯火で、愛知機関区に僅かに残っているDD51をやりくりするのですが、両数が足りずに重連できないことから、貨車も7両まで、1日1本だけという、本当に微弱なものとなってしましましたが、それでも山陰本線を経由して貨物列車を運転して東西の物流を担おうという心意気は間隙の知らせでした。
 7年前の東日本大震災の時は、東北本線の代わりに奥羽本線を使って北海道と、磐越西線を使って郡山とそれぞれ迂回の貨物列車を走らせ、私も福島県まで国鉄色DD51重連の貨物列車を撮りに行きました。
 当ブログも連日山陰トワイライトを撮影した記事にアクセスがあり、結構皆さん撮影地の参考になる物はないかと検索されているようです。


 .迂回運転スタートしたものの
 8月10日の伯備線の復旧を以って、JR西日本の機関車を借りての乗務員の訓練を行い、いよいよ同29日から現地を貨物列車が走るようになり、これは11月に山陽本線が復旧するまでに、出撃しておこうと思っていましたが、9月に入って中々天候に恵まれず、10月になれば少しは天気も安定するだろうと思い、10月に2週連続で有給休暇を申請していました。そんな矢先に悲報が・・・
 山陽本線は9月30日に全線復旧します。
 いや本来は朗報なんですが、これは大変な事になりました。一眼レフ撮影主体の頃と違って、雨の中撮りに行く気はあまりないし、岡見貨物や国鉄時代に三保三隅で混載貨物も撮ってるし・・・
 でもおそらく山陰本線で、それもDD51自体が牽く貨物列車はもう二度と見ることはないだろうということで、9/27・28の2日間で現地に行きました。当初は9/21・22にしようかと思ったのですが、21日が雨予報になり、22日だけの1発勝負になるのもしんどいので、最後の週休日となる27・28日にしました。

 .いよいよ出撃 1日目
 肝心の天気ですが、中々安定せず、秋雨前線の上下次第で変わるので、天気予報も振り回される状態。強気の天気JPとクレームを恐れてなのか弱気予想なウェザーニューズのどちらを取るかで悩みますが、もうこれ以上先延ばしできないので、天気JPを信じて出撃することに。
 あしは地元発での全行程レンタカーで、2月以来の2度目の大型三脚と、そして今年初めての脚立持ち出しというフル装備です。もう一眼レフでの撮影も今年は6回目(もしかすると今年最後かも)と大幅減少してる最中の撮影行です。
 晴れていれば、出来るだけ美しい山陰の海が見える非電化区間を中心に撮影すべく、最悪電化区間やEF64牽引区間は割愛でもよいつもりでプランニング。27日の方が天気が良いと見て、1日目は上り列車から撮影することにしました。
 それぞれのカメラの個性が分かるように、並べて掲載してみました。

 (1) 折居-三保三隅

 (↑ 左:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 1発目は30年ぶり位に訪れた折居-三保三隅のカーブ。今は完全な撮影名所となっていて、昔とはまるっきり変わっていました。景色は家が建ってしまった以外はほぼ変わりませんが。
 朝4時半に到着して三脚をセット、置きゲバとして、先へ行く事もできますが、もう車を停める場所がこの時点でほとんどないため、追っかけで来ても車を停めれずにアウトになるケースもあるので、ここから撮影を始める事にしました。案の定パトカーが来て、駐禁取ってました。
 三脚を2本持っているので、左右少し離れた2ヶ所に立てて撮ることにしました。そして来ました

 (↑ 左:ビデオカメラ 中:一眼レフ 右:コンデジ)
 美しい山陰の海をバックに走るDD51牽引貨物、最高です。国鉄色ならなお良いのですが、そこまで贅沢は言えません。

 (2) 五十猛-仁万

 ここも定番撮影地で、寝台特急出雲の頃と10年ほど前にも行った事があり、勝手は知っている場所ですが、到着時点で凄い人。
 一番上の場所に上がって、静岡・東京から来た人の後ろから抜かせてもらう形にしてスタンバイ。その後も2人ほど上がってきて、もうキャパ飽和状態。まだ上り列車が来てない1時間前でこの状態でした。

 (↑ 一眼レフ)
 まずは普通列車で画角の確認をします。よしよし。これで下り列車が来る12:45まで山腹にヘバリ付いて待ちます。

 (↑ 左:一眼レフ  右:ビデオカメラ)
 11:55 上り貨物がやってきました。山の反対側にもたくさんの撮影者がいるのですが、正面から撮れるのものの、逆光になってしまうので、もうこの場所からでいいやと。50分後の本番を待ちます。

 (↑ 左:一眼レフ  右:ビデオカメラ)
 12:47 いよいよ下り列車をバリ順でゲット。こんなに天気がよいのですが、電化区間のある米子付近は雲ってたそうで、西側メインにして正解でした。

 (3) 岡見-鎌手
 こんなに天気が良いので、次に狙う場所はぜひあそこでと思っていたので、岡見-鎌手間の青浦鉄橋の海側からの撮影で、鉄橋脇から上り列車の撮影は岡見貨物が走っている時代に撮ったのですが、この場所はまだ訪れてなく、初めての訪問です。

 (↑ 左:一眼レフ  中:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 15:46 凄い強風で時より波が岩に当たってしぶきを上げる中、夕陽を浴びて一瞬顔を出す姿を捉えることができました。
 感動もそこそこに次の撮影地へ移動しましたが、山の影が落ちてしまい。そこでは特撮のみ行い、一般のカメラでは撮影してませんので掲載はありません。

 (4) 大歳駅
 途中で列車が遅れたため、日没真っ暗になってしまい、日原ー青野山では撮影できず、どこかでバルブ撮影でもしようと徳佐駅へ行きましたが、島式ホームでかつ真っ暗なのでやめて、山口市内の大歳駅へ来ました。
 ホームが若干オフセットでずれているのですが、それでも停目がホームから外れているので、動画メインとして、停車中の姿を静止画でショット。

 徳佐や篠目に比べれば街の中なのですが、それでも暗いのでこんなものです。
 これで1日目の撮影は終了。

 .2日目も非電化区間で撮影
 2日目は朝に山口線内で撮影してから山陰本線へ出ることにしました。しかしこの時季で日の出時刻も遅くなっているので、長門峡あたりでは暗いため撮影は難しいです。

 (5) 徳佐-船平山
 最初は地福駅東側の直線で撮ろうとしたのですが、南側の山が意外と高くて日が当たらない可能性があるので、徳佐で撮影することにしましたが、かなり冷え込んで8℃まで下がったため、モヤが掛かってしまいました。
 徳佐と言えば、SL撮影で有名なSカーブ外側で狙おうという人達が既に構えていましたが、そこは完全に逆光になるので、何とかの一つ覚えの如く待ち構えています。私は順光で撮れる東側の踏切手前でセット。無風好条件なので特撮機材も準備完了、一眼レフは無し。地元の爺さんも加わって2人で待ちます。
 その後上りの交換列車が通過して晴れて来ました、その状況を見て、モヤが晴れないSカーブ地点にいた人達が大慌てで私のいた場所に走ってきて、一気に10人位になりました。間に合わなかった人もいた模様。

 (↑ 左:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 6:57 意外とスピードを出して上り貨物がやってきました。
 ばっちり朝陽を浴びて走ってきます。この場所は線路脇の草がありますが、かろうじて先頭の部分は無いので助かりました。Sカーブの内側なら草がなかったのですが、光線の良さの方を優先しました。

 (6) 周布-折居
 2発目は山陰本線の西側区間で狙いますが、まだ撮影していない撮影場所でということで折居駅の東側で撮ることにしました。

 貨物通過の1時間前に到着したのですが、誰も居ませんでした。その要因は、おそらく日が当たらないのではということで、敬遠されたようですが、一か八かでここで待つことに。待っている間に私の姿を見つけて数人の人が上がってきてキャパ満杯に。

 (↑ 左:一眼レフ  中:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 9:11 長めの汽笛を鳴らして上り貨物がやってきました。
 一眼は手持ちで、残りの動画用カメラは三脚セットで撮影します。列車の側面はあまり写りませんが、青く美しい海をメインに入れる構図にしました。キャパが狭いので、どれも同じ場所からの撮影ですが。

 (7) 小田-田儀
 非電化区間の東側地域で最も有名なのがこの小田-田儀で、手軽に俯瞰撮影が出来ることから大人気の撮影場所になっているのですが、マナーが悪く、住民ともトラブルになっている他、狭い国道余地に無理矢理駐車して交通の妨げになるような不届き者がいて、交通安全週間の折、交通課にとっては切符切り放題で入れ食いなのかも。

 いい感じで撮れていたのですが、心配していた事態が起こりました。誰も止めていなかったバス停に平然と停める京都ナンバーのオッサンと、大声で話すその連れの男。
 こういう不届き者がいたので天罰が下ることに。そう雲配給です。
 列車の通過時刻が近付いてきた11時50分頃から雲ってきて、直前の特急列車の通過の時は完全に影状態。晴れろーという思いの中、通過時刻が迫ってきました。

 12:13 手持ちの一眼レフで何とか後ろの2両をカットして撮影しましたが、これだとトリミングしないと見れたもんじゃないですね。

 (↑ 左:一眼レフ  中:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 しかし三脚で固定していた位置だとこの通り、完全に雲落ち状態です。大声で話してたオッサンが『最低ヤー』とこぼしてましたが、三脚で望遠固定アングルにしてるとそりゃそうなるわなという所です。
 こうして見ると、意外とコンデジが健闘しているようです。

 (8) 浅利-江津
 さて昨日同様に下り列車を追っかけるので車を西へ走らせるのですが、大田市で交換する上り列車の撮影は光線が良いので、田儀-波根での撮影は割愛して、更に西へ進みます。

 (↑ 左:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 ここは左手に海を見ながらトンネルを出てカーブしてくる列車を道路橋から俯瞰できる場所なのですが、すぐ右側が国道なので、カットして撮るとなると、どうしても列車を右端に置くアングルになるので、昨日はここでの撮影をやめたのですが、時間に余裕があるので、今日はここで撮影しました。
 金網が高くて手持ちか三脚かの選択になるので、一眼レフはやめて、動画2台撮影にします。凄い強風で雲が次々やって来る状態でしたが、列車通過時には何とか晴れてくれました。

 (9) 石見津田-益田
 今回の最後の撮影となるのがこの場所で、昨日撮った人の話では、ここで撮っても山口線へ行くのは間に合わないとの事で、ここを最終地点としました。明日は仕事なので、あまり深追いするのも翌日の仕事に影響するので早く切り上げないといけません。

 遠田のカーブとして有名な場所なのですが、電柱が邪魔になるので、実際にアングルに納める事が出来る人数は限られています。
 私は列車主体で狙えるのと、電柱が写るものの左側に海を入れて写せるという、両条件を兼ねた場所でスタンバイします。

 16:10 まず交換の上り特急が通過します。この時でもまだ撮影者が立てる場所がないかと線路脇から入ろうとしてたので、少々危険な状態でした。
 そして

  (↑ 左:一眼レフ  中:ビデオカメラ  右:コンデジ)
 16:16 長い汽笛を鳴らして下り貨物がやってきました。夕陽を浴びて赤味を帯びた光線の中、美しく反射して通過してゆく貨物列車の姿は美しくさえあります。
 隣に居た青年は激Vやったぜ! と感動していました。

 これで2泊3日の山陰貨物の撮影は終了しました。心配された天気もほとんど影響されることがなくて、非常に良い結果に終わりました。この日のためではないですが、直前に新しいビデオカメラも買って正解でしたかな。
 迂回貨物万歳!山陰最高!
 関係者の方々の努力に感謝して、この撮影を締めくくります。

  オ  マ  ケ
 行程の途中に三江線の線路に沿って走る国道&県道経由で三次-江津間を抜けました。去年6月と9月に三江線沿線に繰り出していたので、このルートはよく知っています。そこで石見川本駅がどうなってるか現状を見てみました。

 ちょうど夕方に訪れたので、学生たちの帰宅のための輸送用にバスが3台集結していました。ここから各方面へのバスが出て、帰宅する生徒を送り届けることになっています。

 駅舎もそのまま活用され、待合室もそのまま利用できるようになっていました。これから来る冬場にはここでバスを待つ事になると思います。

 美しい山陰の景色と貨物列車を撮りに大勢の人が集まり、豪雨被害の影響で山陰DCの集客に影響が出ていた中、思わぬ形でJR貨物も山陰への集客に貢献した形になったのは不幸中の幸いかも知れません。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 新しいビデオカメラ購入 | トップ | 迂回貨物 最終日の粋な光景 »

コメントを投稿