「そういう時は言い返さなければならないのよ」
バルカン半島出身のA子さんは私を熱心に説得し始めた。
世の中にはどこでも相手を面と向かって誹謗中傷する人物がいるものだ。多くの場合、私はその人との穏便な関係維持のために聞き流して黙っている。
A子さんはそんな私を激励しつづけた。
「そういう人たちはますます付け上りますから」
バスの運転手との口論を記事にしたことがあったな。「運転手と言い争う」
こうした浅い関係では後のことを考えなくていいからむしろ言い争い易いのではないか。
職場や学校、各種のグループなどで毎日、定期的に顔を合わせる人とはなかなか難しい。
私の最近の経験。
縫い物コースの指導者のB子さんだった。
ずばずばとはっきり本音を言うさっぱりした人、と書けば印象はいい。しかし、ちょいと機嫌が悪くなると、たちどころにその気分の悪さを私にぶつけていたものだからたまらなかった。
最後はこれだった。
街のイベントのために朝早くグループの仲間と集合することになっていた。私はバスの運行時間の関係上、うんと早くかうんと遅くしか来れない事をB子さんに言った。
「では、うんと早く来て、ウチで一緒に朝食にしましょう」と彼女は提案してくれた。
当日、約束どおり、朝早く土産のワインを持参で彼女の家に到着した。
その日の準備をしながら話していると、忙しさのストレスのためか、彼女はだんだんイライラしてきているのが明確になってきた。すると・・・
「朝食に人を招くなんて初めてだわ!こんな迷惑なことやっていられない!」
と言った。
何度もこのような急な気分の変化の発言を体験しているので「ああ、またかよ」としか思えなかった私。
黙って朝食を平らげた。
数時間後にはB子さんの機嫌は直ったが、私はすでに彼女の性格についていくことができないと悟り、縫い物コース出席を諦めた。
A子さんの言うとおりに、理不尽なことを言ったB子さんにすぐ言い返して、彼女の発言が私を傷つけているのを伝えていれば、B子さんは自分の言動に注意する機会を得たかもしれない。
言い争っていれば、私はもっとB子さんのその奔放な性格を理解して縫い物コースに今でも行き続けていたかもしれない。
日本の日本人にはなかなか理解しがたいことなのだが、こちらでは激しく言い争いをしても、そのテーマが終わると、ころっと普通に会話することなど日常茶飯事なのだ。
黙っていたら損することが多い。
先週、スーパーでばったりとB子さんに出会った。
私はちょいと躊躇したけれど、お互いにこやかに近況報告をした。
「ああ、りすさん、こんなに痩せちゃって。またコースに来て気分転換しなさい」
心の底からの歓迎振りを披露してくれた。(もう、行かないけれどね。彼女の家には訪問しようかなっ)
週末、近所のティーンエイジャーの女の子たちがウチに金魚をもらいに来た。
つい数年前までのちっちゃい小学生だったのが、義父の背丈をはるかに越えて成長していた。
ああ、いつまでも進歩がない私かも、と彼らの身体つきを観察して、自分のここでの精神の成長振りを振り返ってしまった。
バルカン半島出身のA子さんは私を熱心に説得し始めた。
世の中にはどこでも相手を面と向かって誹謗中傷する人物がいるものだ。多くの場合、私はその人との穏便な関係維持のために聞き流して黙っている。
A子さんはそんな私を激励しつづけた。
「そういう人たちはますます付け上りますから」
バスの運転手との口論を記事にしたことがあったな。「運転手と言い争う」
こうした浅い関係では後のことを考えなくていいからむしろ言い争い易いのではないか。
職場や学校、各種のグループなどで毎日、定期的に顔を合わせる人とはなかなか難しい。
私の最近の経験。
縫い物コースの指導者のB子さんだった。
ずばずばとはっきり本音を言うさっぱりした人、と書けば印象はいい。しかし、ちょいと機嫌が悪くなると、たちどころにその気分の悪さを私にぶつけていたものだからたまらなかった。
最後はこれだった。
街のイベントのために朝早くグループの仲間と集合することになっていた。私はバスの運行時間の関係上、うんと早くかうんと遅くしか来れない事をB子さんに言った。
「では、うんと早く来て、ウチで一緒に朝食にしましょう」と彼女は提案してくれた。
当日、約束どおり、朝早く土産のワインを持参で彼女の家に到着した。
その日の準備をしながら話していると、忙しさのストレスのためか、彼女はだんだんイライラしてきているのが明確になってきた。すると・・・
「朝食に人を招くなんて初めてだわ!こんな迷惑なことやっていられない!」
と言った。
何度もこのような急な気分の変化の発言を体験しているので「ああ、またかよ」としか思えなかった私。
黙って朝食を平らげた。
数時間後にはB子さんの機嫌は直ったが、私はすでに彼女の性格についていくことができないと悟り、縫い物コース出席を諦めた。
A子さんの言うとおりに、理不尽なことを言ったB子さんにすぐ言い返して、彼女の発言が私を傷つけているのを伝えていれば、B子さんは自分の言動に注意する機会を得たかもしれない。
言い争っていれば、私はもっとB子さんのその奔放な性格を理解して縫い物コースに今でも行き続けていたかもしれない。
日本の日本人にはなかなか理解しがたいことなのだが、こちらでは激しく言い争いをしても、そのテーマが終わると、ころっと普通に会話することなど日常茶飯事なのだ。
黙っていたら損することが多い。
先週、スーパーでばったりとB子さんに出会った。
私はちょいと躊躇したけれど、お互いにこやかに近況報告をした。
「ああ、りすさん、こんなに痩せちゃって。またコースに来て気分転換しなさい」
心の底からの歓迎振りを披露してくれた。(もう、行かないけれどね。彼女の家には訪問しようかなっ)
週末、近所のティーンエイジャーの女の子たちがウチに金魚をもらいに来た。
つい数年前までのちっちゃい小学生だったのが、義父の背丈をはるかに越えて成長していた。
ああ、いつまでも進歩がない私かも、と彼らの身体つきを観察して、自分のここでの精神の成長振りを振り返ってしまった。