スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

読書三昧 (9)(インパラの朝)

2013年01月11日 | 雑感
 中村安希著 『インパラの朝』



ユーラシア・アフリカ大陸を二年かけ(684日)・予算180万・47ヶ国をまわった旅の記である。

26歳のうら若き女性が、、、しかもひとりで


目的地に到着がずれ込み、夜中真っ暗闇に放り出されることもあり身の安全を図るため、、、二つのリュックを前後にベルトで結びつけ、ミッキーマウスの覆面をしサングラスをかけ帽子をかぶり、黒手袋、、ヤクザ歩きで切り抜けてきたこともあったとのこと。

さらにリンゴやオレンジを常備しナイフで鋭くえぐり、クールに食べ威嚇をも、、、あらんかぎりの事前調査と知恵を絞り身の安全確保に努めたという。

素晴らしい旅行記はたくさんあります。
中村稔著『サハラの風神』・沢木耕太郎著『深夜特急』・中尊寺ゆつこ著『アフリカンネイバーズ』等が印象に残ってましたが、この『インパラの朝』は群を抜いて面白い、いや凄い!

第7回 開高健 ノンフィクション賞受賞作です。

本の中でこう記している。

『アフリカの貧困を見極めて、貧困の撲滅を訴えて、自愛に溢れる発想を誰かに示す はずだった。先進国の豊かな知恵を貧しい人に紹介し、不幸そうな人を探して幸福 を与える夢を描いた。
 けれど、あてがはずれてしまった。なぜなら、予想していた貧困が思うように見つ からなかったからだ。想像していたほど人々は不幸な顔をしていなかった。
 私はしばらく混乱し、テーマも話題も失った。そしてある時、愕然とした。私がや ろうとしていたことは、旅の意義に逆行していた。既成概念を設定し、そこから逆 算しようとしていた。〔…〕
 アフリカは教える場所ではなくて、教えてくれる場所だった。助けてあげる対象で はなく、助けてくれる人々だった。アフリカは貧しい大陸ではなく、圧倒的な豊か さを秘めた、愛されるべき大陸だった』、、、と。


中村安希(1979年京都生まれ、三重育ち)
    カルフォルニア大学卒業・日米3年間の社会人生活を経て2006年旅に出た。
    現在は、国内外で写真展・講演会をする傍ら、世界各地の生活・食料・衛生環境を取材中。

    

  下記はブログ「安希のレポート」です。最新は北朝鮮とのこと。
    
クリックしてみてください

それにしても、凄い女性もいるものです。

昨年欧州の旅をした時、旅するバックパッカー女性の数には驚きましたが、ある意味では既に男女逆転の時代に突入しているのかもしれません。

『インパラの朝』以後、『食べる』 『Beフラット』を出版。最新作『愛と憎しみの豚』も1月25日出版予定とのこと。彼女は北朝鮮レポートでもあるように、政治に関しての切り口も鋭い。ちなみに上の『Beフラット』は政治に関しての著作とのこと。

これらの三冊も是非読んでみたいと思います!

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