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…新自由主義は、国際資本主義を左辺するという理論的企図を実現するためのユートピア的プロジェクトとして解釈することもできるし、あるいは,資本蓄積のための条件を再構築し経済エリートの権力を回復するための政治的プロジェクトとして解釈することもできる。…新自由主義化は、グローバルな資本蓄積を再活性化する上であまり有効ではなかったが、経済エリートの権力を回復させたり、場合によっては(ロシアや中国)それを新たに創出したりする上では、目を見張るような成功を収めた。
…このことが意味するのは、労働組合の力と対決すること、競争的フレキシビリティを妨げるあらゆる形態の社会的連帯を攻撃すること、福祉国家の諸政策を解体ないし縮小すること、公営住宅をはじめとする公共企業体を民営化すること、減税、企業家のイニシアチブを奨励すること、外国投資を強力に引きつけるために有利なビジネス環境をつくり上げることであった。彼女はあの有名な宣言を行ったー「社会などというものは存在しない。存在するのは男、女という個人だけだ」
と。さらにつづけて「家族」をそこにつけ加えた。
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「新自由主義」デヴィッド・ハーヴェイ,作品社