ふんでノート ~ちいきづくり・まちづくりと日本語教育

ちいきづくり・まちづくりと日本語教育をつなぐことを,「場づくり・人づくり」から進めていきたいと思ってつらつら書くノート

トークサロン

2007年10月05日 02時06分33秒 | 人づくり・場づくり
火曜日、おもしろい集まりがあった。

「多文化共生はマジョリティの幻想」ということをテーマに参加者みんなで語り合う集まりだったんだけど、外国人に対する取り組みだけでなく、周縁化される人たちと共に取り組む活動に関わっている人たちのトークサロン。主催者のcocoroom(声と言葉とこころの部屋)は本当におもしろくて、代表の上田假奈代さんもめちゃくちゃおもしろい人でした。活動の分野は違うけど、スタンスは同じだなぁと。出会えて、話ができて純粋にうれしいと思える人でした。

話の中ではっとしたのは...。

戦後、旧植民地出身者が将来帰国する時のために民族学校を設立したが、「日本人」であるということを理由に日本の学校に通うことが義務づけられ、民族学校が軒並み潰されたこと(阪神教育闘争なんかもそれ。戦後、唯一厳戒令が出されたのはこの時...やったっけな?)。そして民族学校をつぶした後、憲法発布直前、天皇の最後の勅令により旧植民地出身者は外国人であるとみなされ、国籍をはく奪されたこと。公立学校への進学は義務でないどころか恩恵でしかないこと(もちろん、今の学校の状況ではリスクが大きいので義務化すべきとは思わないけど)。つぶしにかかってるよなぁ。

高度経済成長時に日本は都市部が地方からの若者を労働力として一手に吸収したこと。諸外国ではこの段階で移民の問題が出始めることが多いが、日本は単一民族思想もあり、また地方に余剰な労働力もあったせいもあり、地方の若者を活用したこと。その時の若者が徐々に年を重ね、安価な労働力として期待できなくなったバブルの頃に「不法」滞在の外国人が労働力として利用されだしたこと(この時は「不法」滞在をわりと黙認)。産業界で労働力の不足が言われ出して、またバブルも怪しくなり、世の中明るい希望だけでなく不安も出始めた頃に、「不法」滞在の外国人ではなく合法的な労働力、しかもできれば教育の手間が省け、日本社会ともうまくやっていけると期待できる日系人を受け入れはじめたこと(二世、三世に「日本人の血」が流れているからといって簡単になじめるだろうって安直な発想よなぁ)。さらに技術移転を建前として研修生という名の単純労働力の移入を始めたこと。そういった研修生や日系人が働き出したことで、高度経済成長時に地方から出てきた人たちと仕事の取り合いが展開されていること。また、同時に地方での過疎化が深刻な状況になってきていること。

いろいろな社会問題がそれぞれ取り組まれているけど、全部つながる話なんだということにはっとした。一億総中流社会とかいう言葉の裏で、地方の若者や「不法」滞在の外国人や日系人、研修生、派遣なんかが安価で融通のきく労働力として使われるけど、その裏で常に「底辺」が作られてきたこと。しかも、気が付けば全部「自己責任」で。

もともと社会の構造としてパイの数が限られているのに、生きるか死ぬかをかけたシビアな椅子取りゲームが展開されているのに、非正規雇用の人・派遣の人、あるいは野宿者たちの存在が「自己責任」で一蹴されてしまうこと。

そういえば、以前、市野川容孝も朝日新聞でも同じことを言ってたなぁ。

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メット。

2007年10月05日 01時26分27秒 | もろもろのこと
常識だとか、マナーだとか、それが何なのかそれ以上説明を必要とされない言葉ってたくさんある。しかも、使われ方によっては、それが人の間に序列関係を生み出したり、権力関係を生み出す言葉ってある。

そういった言葉が全くの無意味だとは思わない。でも、一旦、「それっていったい何なんやろか」「ここで説明をそれで終わらすのってどういった人間関係を生み出すのか」って感じである種規範として流布しているものを問い返す力って外国人に限らず、多様性を認めようとする時にはとても大事だと思う。

DVを受けている人、過剰に男性・女性であること、あるいははざまだったり揺れ動く中でプレッシャーを受けて苦しんでいる人、日本人であること・らしくあることを強いられ自尊感情が持てない人。

実態はないのに、言葉として出た途端に実態を伴うかのように振る舞い、序列・権力関係を作り出すのって本当に恐い。

...今、平気でそれをやってしまう人が身近にいて。まだ、よく分からないけど、やるときやらなあかんわなぁと思い始めてます。話して通じなければ、それまで(もう既に通じてないんやけど)。とことんまでやったらなあかんのかなって、ちょびっと感じてます。

...メットはかぶりません(笑)。
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