習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『恋に至る病』

2013-07-20 06:46:06 | 映画
 現代版『転校生』ではないか。でも、ちょっと生々しいか。高校生と先生という、少し大人の話であるだけではなく、セックスが描かれるのもその理由だが。主人公のキャラクターが、異常で、あんなへんな女普通じゃない。彼女があこがれるシャイな先生も、あれはシャイなんていう可愛いものではない。ただの変人だ。うまく人と接することができない。対人恐怖症気味な男で、あれじゃぁ先生なんて仕事はできない。でも、彼女はそんな . . . 本文を読む
コメント

『ハハハ』

2013-07-20 06:44:58 | 映画
『ハハハ』である。なんとも安直。このタイトルはどうなのか、と思った。まぁ、原題がこうなっているのかもしれないが、不思議なタイトルだ。映画自体はいつものホン・サンスなのだが、今回はいつもにもまして、笑える。(だから、ハハハか? というか、別に笑えるものを作っているわけではないけど。)  男2人が飲み屋でしゃべっている現在の時間はモノクロのスチール写真で見せて、話の中で描かれるこの二人が語るそれぞれ . . . 本文を読む
コメント

百田尚樹『海賊とよばれた男』上

2013-07-20 06:43:01 | その他
今まで避けてきたわけではない。でも、なんか本屋大賞を取っちゃったから、今頃読むのが、気恥ずかしい。しかも、それってなんだか時流に迎合しているみたいだし。だいたい百田尚樹自体、食わず嫌いで読んでなかったからよけいだ。毎回作品によってタッチを変えるカメレオン作家なんていう噂にもひるんだし。  僕は不器用だから、何をしてもいつも同じだ。僕が好きになる作家もいつも同じ作品ばかり書くし。そんなこんなで、 . . . 本文を読む
コメント

『コン・ティキ』

2013-07-17 07:58:44 | 映画
この地味な大作映画を諦めることなく、作り上げた製作のジェレミー・トーマスは偉い。興業的な成功は望めない映画に大金をつぎ込み、妥協することなく完成させる。使命感もあったのかもしれないが、これは一応娯楽映画だ。芸術的な野心作というわけではないのに、この壮大なプロジェクトに挑み成し遂げる。 キャスティングも地味。まるでスターを使ってないから、ネームバリューからの動員も望めない。ハリウッド大作の凡庸 . . . 本文を読む
コメント

『殺人の告白』

2013-07-17 07:54:22 | 映画
 ザ・韓国映画。って感じ。超重量級大巨編。激しいし、重くて暗い。でも、スクリーンからは目が離せない。まずアクションで、次にドラマで、見せる。でも、その間にも派手で過激なアクションは満載だ。ストーリーも2転3転する。どんだけやるねん、というくらいに、あの手この手だ。このねばり、しつこさ。これぞ往年の韓国映画。『シュリ』の時代に戻った気分だ。最近の軽やかでおしゃれな韓国映画とは一線を画する。これは貴重 . . . 本文を読む
コメント

くじら企画『ドアの向こうの薔薇』

2013-07-16 23:37:04 | 演劇
 『大竹野正典劇集成Ⅱ』発刊記念公演である。昨年に引き続き今年も大竹野の芝居が見られる。この稀有のことを楽しもう。彼が亡くなり、それでもくじら企画は芝居を続々と作り続ける。最初は亡くなった大竹野正典、作、演出というクレジットで、上演された。そんな不条理がやけにリアルだった。死んだのに、まだそこにいる。そして、今も彼はこの世界で芝居を実際に作り続けているのだ。そんなふうに感じさせられる。さすがに今で . . . 本文を読む
コメント

劇団せすん『なんつったって? アイドル』

2013-07-16 23:17:56 | 演劇
 さびれた町の活性化のため、ご当地アイドルを擁して再建を図る、という話だ。シャッター通り商店街になった町の中心にある居酒屋が舞台。そこはもとアイドルだった女性が営んでいる。寂れゆくこの町の最後の頼みの綱である企業が工場を閉鎖するという噂の中、なんとかして、生き残りを図ろうとする青年会の会長(でも、中年のオヤジだが)と、その元妻の市役所の職員。犬猿の仲になっている彼らを中心にして、ここに集まる人たち . . . 本文を読む
コメント

東野圭吾『夢幻花』、百田尚樹『夢を売る男』

2013-07-16 23:14:41 | その他
 本の帯にはいつも大袈裟なことが書かれてあるけど(宣伝ですからね)ついつい信じてしまい、だまされる。今回も『「こんなに時間をかけ、考えた作品は他にない」と著者自ら語る会心作!』というのに、やられて読んでしまった。もちろん、つまらないわけではないし、そこそこ楽しめるけど、まぁ、それだけ。  結構さわやかな青春もの、で、ミステリで、読んでる分には悪くはない。冒頭の2つのプロローグが結構ドキドキさせら . . . 本文を読む
コメント

『100回泣くこと』

2013-07-16 23:13:13 | 映画
 100回泣くわけではないから、このタイトルは大袈裟なのだが、そういう極端なところが、中村航作品の魅力で、この話だってやりすぎでそこにはリアリティーはない。でも、嘘臭いか、と言われると(確かに嘘臭いけど)気持はわからないでもない。こういう気持ちは誰にも確かにあると思う。ストーリーとしてはリアルに程遠いけど、自分を悲劇のヒロイン、主人公とするのならば、わかる。その渦中にある人は客観的に周囲が見えない . . . 本文を読む
コメント

『ミツコ感覚』

2013-07-16 21:58:38 | 映画
 これは嫌な映画だ。この後味の悪さは普通じゃない。しかも、こんなにも嫌な映画をここまで確信犯的に作る才能って、かなり凄い。監督はソフトバンクのCM(犬のお父さんとその家族のやつ)を作った人らしい。あのCMの不条理も半端ではないが、この映画の気味悪さも大概ではないか。  ラスト1分を切っても先が読めないという展開は凄いとしか言いようがない。オチがないわけではない。ギリギリまでどこに話が向かうのか、 . . . 本文を読む
コメント

『自縄自縛の私』

2013-07-11 21:39:42 | 映画
わざとこういうコメディタッチであからさまな芝居をさせているのだが、その意図がよくわからないまま、基本はシリアスでドラマを押し通す。緊縛という行為を特別なこととして捉えず、ちょっと変わったひとつの性癖として受け止める。(でも、抵抗ある人はまだまだ多いはず)人にはちょっと言い難いけど、人それぞれだから、人に知られないのなら、誰にも迷惑をかけるわけでもない。変態行為ではなく、趣味なのだ。 そのこと . . . 本文を読む
コメント

奥田英朗『沈黙の町で』

2013-07-11 21:36:46 | その他
いやな話だ。中学校の校内での死者。生徒だ。部室の屋上から転落。中二の男の子。それは事故か、自殺か?  4人のクラブの同級生によるイジメがあった。死の直前4人と一緒だったことで彼らは警察に拘留される。被害者と加害者。彼らの親たち。警察と学校。マスコミ。それぞれの立場から事件が描かれていく。ひとつの事件の背後にあるたくさんの人たちのそれぞれの思い。事件の真相はどこにあるのかが解き明かされていく。 . . . 本文を読む
コメント

baghdad café『トーク・アバウト・ハー・ライフ』

2013-07-08 21:46:46 | 演劇
 あるグループ・カウンセリングの風景がドキュメントされる。これは精神科の治療の一環としてなされているのか、それとももっと別の何かなのか。説明は一切ないから、よくわからない。進行を担当するカウンセラーから、自分の気持ちを客観描写で表現してみんなに語るように言われる。男女6人が、第三者として自分を話す。穏やかな空気で、静かな雰囲気のはずだった。  ひとりの女性が口火を切るように言われる。「さぁ、しゃ . . . 本文を読む
コメント (1)

重松清『また次の春へ』

2013-07-08 21:19:02 | その他
 『インポッシブル』を見た前後で、この本を読んだ。あの映画がすごいのは、スペクタクルシーンやサバイバルシーンがふんだんにあるのに、当然目的はそれを見せることではない、という、これまた当然の事実なのだ。あれだけ大変な作業をして津波の被害を再現し、そこに5人家族の再会という、ただ、それだけのドラマしか盛り込まない。てんこ盛りにはしないのである。その選択は正しい。ピンポイントでしか、語れないことがあるの . . . 本文を読む
コメント

原田マハ『ジヴェルニーの食卓』

2013-07-08 21:17:30 | 演劇
 4つの中編小説は、いずれも画家のもとで寄り添って生きた人たちの姿を描いたものだ。巨匠たちを描くのではなく、彼らのそばで彼らを信じて、見つめ続けた視線。  マティスを見つめた家政婦。そして、彼女のいた時期に、たった一度、彼のもとを訪れたピカソ。ドガのモデルになった踊り子。彼を見つめた女流画家。セザンヌを評価して、応援した画材屋のおやじ。ふたりを見つめたその娘。モネを支えた義理の娘。4人の画家と4 . . . 本文を読む
コメント