習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『ノウイング』

2009-07-13 22:57:24 | 映画
 『アイ、ロボット』のアレックス・プロヤス監督最新作である。そりゃぁ、期待する。いくらニコラス・ケイジ主演だからといって、ただのアクション・パニックものにはしないだろう、と思った。予告編はなかなかおもしろい。だが、あのパターンはもう見飽きた。だいたいシャマランの『ハプニング』という先行作品がある。彼のパターンにはなるまい、とは思ったが。  いやぁ、驚きましたね。ネタばれになるが、言ってしまう。こ . . . 本文を読む
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小路幸也『残される者たちへ』

2009-07-13 22:30:37 | その他
 いったいどんな話になるのだろうかと、結構楽しみにしながら読んでいたのだが、途中からただのSFになってしまいがっかりだ。別にSFを差別するのではない。良質のSFはSFを感じさせないのだが、この小説はそうじゃなかった、というだけのことだ。小路幸也が『東京バンドワゴン』とはまるでタッチの違う作品を書いたということは興味深いのだが、着地地点を見誤ったのではないか。安易な展開はせっかくの設定を殺すことにな . . . 本文を読む
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堺市民ミュージカル+劇団きづがわ『炎の街から』

2009-07-12 22:02:25 | 演劇
 戦争を題材にした舞台は数々あるが、それをミュージカルにするって、なんだか大胆だ。実は来週うちの高校で演劇鑑賞なんてのがあり、(毎年やってる。秘密だが、あまり興味ない。だが仕事なので、しかたなく見る。去年は劇団往来だった。その前はミクル劇団。まぁ、そんな企画です。人権学習とかの一環らしい。)そこでなんとミュージカル「火垂るの墓 -ほたるのはか- 」(もちろん原作は野坂昭如だ!)なんてのをするらしい . . . 本文を読む
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『いけちゃんとぼく』

2009-07-11 10:47:24 | 映画
 原作を読んだとき、いくらなんでもこれの映画化は不可能だ、と思った。簡単そうに見えて普通にやれば、失敗は目に見えている。それでも、やるのはただのくだらない映画の量産の一環か、それとも勝算があるのか。ほんとは見る気はなかったのだが、なんとなく見てしまった。だが、見て正解だった。実によく出来ている。  だいたい始まって20分くらいまでは、あかんわ、と思っていた。CGのいけちゃんが安っぽいのは仕方ない . . . 本文を読む
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『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破』

2009-07-11 10:27:52 | 映画
 前作(『序』)を見たとき、あまりにTV版そのまんまのリメイクに驚きあきれた。しかも、最後ははっきり「つづく」なんて出てくるし、映画であることをバカにしたような終わり方だと思った。まぁ、このシリーズには常識なんか通用しないし、そんなものを求める観客もいないだろうから、あれで十分観客は納得したのだろう。ヤシマ作戦を中心に構成された前作を受けた今回は、実に面白い映画に仕上がっている。これも予定通りか? . . . 本文を読む
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『群青』

2009-07-11 09:42:33 | 映画
 こういうファンタジー映画はかなり難しい。しかも、表面的にはリアルなお話のようにも見えるから、この映画が寓話であるということに気がつかない人は、この映画のストーリーに不自然さを感じて、ついていけなくなるかもしれない。正直言うと僕もついていけなかった人のひとりだ。映画がリアリズムの文体で語られるし、寡黙な映像は、わざとらしいドラマ性を希薄にする。そこに監督である中川陽介のねらいがあるのだが、そこが空 . . . 本文を読む
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片山恭一『宇宙を孕む風』

2009-07-11 09:15:11 | その他
 久しぶりに片山恭一を読んだ。『世界の中心で愛を叫ぶ』が1大ブームになる直前、あの本を読んで、、その意外に淡白な筆致に心惹かれた。でも、残念ながらそのインパクトはあまりに弱く、それ以降数冊読んだだけで、手に取ることはなかった。それより何より、あの空前のブームが訪れ、映画化作品の大ヒットで、この作家は純愛文学の中心に置かれてしまい、全くの誤解を受けることになる。少なくとも、僕はあの映画のおかげで、彼 . . . 本文を読む
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空晴『いってきますの、あと』

2009-07-11 08:52:14 | 演劇
 空晴を見るのは今回で3回目だ。正直言うと、ちょっと気が重かった。ものすごい人で、予約を入れなくては見れないらしいし、彼らのファンによる集会のようなものにお邪魔するのは、気が退けた。悪い芝居ではない、そんなことは知っている。暖かくて、いい気分にさせられる小さな芝居だ。いつも。でも、あまりにやさしすぎて、僕の趣味ではない、というのも今までの経験からわかっている。  だが、見に行ってよかった。今まで . . . 本文を読む
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『劔岳 点の記』

2009-07-11 08:23:40 | 映画
 魂の映画である。しかもそれを熱く語るのではなく、淡々と語る。でも、十二分に木村大作監督の思いは伝わる。圧倒的な映像の力を、さりげなく見せる。これ見よがしではない。ほんとうに自分の目で見たのならもっと凄いと感情的になりそうな風景だ。だが、これは風景を見せるための映画なんかではない。彼らの生き様を追いかけるだけの映画だ。それがなんなのかは各自が考えればいい。  浅野忠信がすばらしい。何も言わず、謙 . . . 本文を読む
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『ウルトラミラクルラブストーリー』

2009-07-11 07:39:37 | 映画
 ようやく一番見たかった映画が見れた。物事には順序というものがあって、大人なので見たい順に映画が見れるわけではない。でも、なんか不条理だなぁ、なんて思いつつ、半分見ることをあきらめていたのだが、ようやく見れてうれしい。  6月は仕事が忙しくてなかなか映画館に足を運べなかったが、今週、たまっていた映画をほぼ見ることが出来て、ほっとした。だが、その反動ですさまじい量の仕事がたまっている。あちらを立て . . . 本文を読む
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baghdad cafe『ワタシ末試験』

2009-07-08 08:09:59 | 演劇
 これは『期末試験』にひっかけたタイトルで、「期」のところに「ワタシ」(私)を入れただけ。そんなタイトルだったなんて、見るまで知らなかった。高校生にとって、この期末試験が終わると、夏休みがやってくる、そんな時間の物語。  期末の後は、夏休みだけではない、冬休みのときもあるし、春休みもある。いずれにしても子供たちにとって長期休暇直前の関門がこれだ。この芝居が描くさわやかな時間は、すてきな時間迎える . . . 本文を読む
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『蟹工船』

2009-07-08 06:43:42 | 映画
 SABU監督の新境地なのだろうが、全然面白くない。彼が頭で作ったような映画を見ても面白いはずがないと思っていたが、ここまでつまらないとは、別の意味で驚いた。走らないSABUなんてSABUじゃない、だなんて言うほど彼のファンではないが、走りを禁じられて、ビジュアル重視の映画として、小林多喜二である。見る前から、なんか、想像を絶した。怖いもの見たさに近い感覚で劇場に足を運ぶ。  始まってしばらくは . . . 本文を読む
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『アイ・カム・ウイズ・ザ・レイン』

2009-07-08 06:07:37 | 映画
 トラン・アン・ユン監督が『夏至』以来5年ぶりに放つ新作。ロス、ミンダナオ、香港を舞台にした表面的にはアクション映画。しかも、ハリウッドからジョシュ・ハートネットを主演に招き、彼が追う行方不明の青年を日本から木村拓哉。香港のマフィアに韓国からイ・ビョンホン。ジョシュの親友であり現地の警察官としてショーン・ユーという国際色豊かな超豪華キャストを組んだ大作映画である。いつものようにフランス資本で、言語 . . . 本文を読む
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尼崎ロマンポルノ『機械少女』

2009-07-05 23:39:31 | 演劇
 前作から3ヶ月。これだけ短いスパンで新作を公開するなんて、乗りに乗ってる。3年前の作品の再演である。初演の時も思ったのだが、お話自体に欠陥がある気がする。辺境の村、因習に縛られたこの村の閉鎖性。舞台設定と、機械少女というタイトルとがまるで噛み合わない。『機械』が『奇怪』であるのはわかるのだが、あくまでも『機械』であるのなら、それが何を意味するのか、きちんと提示してもらいたい。  2つの体がくっ . . . 本文を読む
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『ばけもの模様』

2009-07-05 23:20:56 | 映画
 石井裕也監督の『剥き出しにっぽん』を見たときは、感想を保留した。扱き下ろすのは趣味ではないが、好きでもないものを無理して誉めても仕方ないし、というか、おもしろいのだが、なんか好きになれないって感じたのだ。それってなんだろ? 実はかなり気になっていた。  そこで、今回続々リリースされた彼の作品から、最新作であるこの作品を見ることにした。だが、僕にはあかんかった。何が言いたいのやら、とんと伝わらな . . . 本文を読む
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