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映画・演劇のレビュー

御木本あかり『終活シェアハウス』

2024-06-21 06:10:00 | その他

少し期待して読み始めだけど、甘かった。読みやすいし、悪くはない。だけどまるで中身のない小説で、退屈。それなりのセレブ老人4人(小学4年の頃からの友人、みんな今68歳)が、自宅である二世帯マンション(息子の家族と暮らすために購入)で悠々自的に終活暮らし。シングルになった(離婚、子育て終了、死別等々)彼女たちは広々とした家で気の合う仲間と人生の第2ステージを謳歌している。さすがにそれだけでは退屈してくる。

 
アルバイトで彼女たちのマネージャー(雑用係)をしている学生である翔太の視点から彼女たちの毎日を描く。たわいない話が続く。
 
だが、終わりはいきなりやって来た。このシェアハウスのオーナー歌子の息子の事業失敗を尻拭いするためにこの部屋を取られてしまう。住処を失って引越し先は狭いし、この先どうなるのか。悠々自適からいきなりまさかの事態に。最後の100ページからが実はこの小説の本題である。
 
なるほどそう来たか! 4人はいきなり安定した生活から放り出されて、戸惑い悩むことになる。ずっとこのまま死ぬまで続くとなんとなく思った日常が崩れてしまい、改めて自分の今と向き合い答えを出す。
 
最終的などんでん返しは安易な展開かもしれないけど、気持ちいいラストだった。自分たちの楽園を取り戻すことで再びもとの生活を手にした。だけどこれは以前とは違う。自分たちの力で手にした老後。これこそが第2の人生だろう。

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