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映画・演劇のレビュー

小路幸也『東京バンドワゴン ラブ・ミー・テンダー』

2017-08-08 19:38:40 | その他

 

番外編である。昭和40年代を舞台にして、今回は我南人と秋実さんの出会いを中心にしてワンエピソードで見せる。お話はいつも通り、よく出来すぎていて、嘘クサいところもあるけど、でも、なんとも心地よいから、素直に騙されようと思えられる。そして、幸せな気分になれる。こんなふうにしてあのふたりが出会ってやがて、結婚するのか、と。まだ40代の勘一さんや、何より我南人が20過ぎで、秋実さんは高校生なのだ。昭和40年代頃のうさんくさい芸能界の裏事情なんかも描かれて、楽しい。

 

この作品の心地よさの理由ははっきりしている。今では失われつつある家族の団欒がここにはあるからだ。大家族が肩寄せ合って暮らす。(まぁ、この世界自体がメルヘンなのだが。)それがなんだか素敵なのだ。今回の40年代ではまだ、この家は大家族にはなっていないのだが、周囲の人たち(他人のはずなのだが、家族のようにここにあつまるのは、レギュラーシーズンと同じ。みんなここに来れば幸せになれる。)もここにくれば家族になる。

 

東京バンドワゴンに来れば、誰もが幸せになれる。だから、みんなこの本を読む。なんと今回でシリーズは12作になる。(スピンオフ3冊含む) 毎年、たぶん1冊のペースで新刊が出ている。今から来年の新刊が待ち遠しい。

 

 

 


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