これは百万年書房(凄い社名だ!)から出ているエッセイシリーズ『暮らし』の3冊目。毎回いろんな人に依頼しているみたいで、今回は僕のマリ。彼女の私家版小冊子をベースにした書き下ろし。エッセイだけど、まるで短編小説の趣きがある。ここには彼女の人生観が詰まっている。だいたい彼女の小説自体がエッセイに近い。自分の体験をそのまま形にしているみたいだし。『書きたい生活』を読んだ時、これって彼女そのまんまじゃん、と彼女のことなんて何も知らないくせにそう思った。
あの時のまんまで、今回はエッセイ集。最初からとてもいい。叔母の死と兄の結婚を描く『ひかりのうた』を読んだところで、これは凄いと実感。軽くないけど、重くない。とてもバランスがよく、心地よい。後半の音楽との日々を描く『呼吸と放出』シリーズや、恋愛観、体験を綴る『確かに恋だった』なんて絶品。
まだ、駆け出しの新人だけど、いや、新人だから、こんなにも初々しくて輝いているのだろう。このままの勢いで創作を続けて欲しい。